今年は当日に 満濃池のゆる抜きへ 行ってきました。
感染対策の為昨年に続き規模を縮小して行われるということを、僕も事前に管理事務所に電話して聞いていました。
その週の天気予報を見ていると、その翌日からずっと傘マーク。
降る、降らないは別にして、香川は今年5月の半ばから7月中旬まで、こんな天気がずっと続きました。
ゆる抜き当日(満濃池は6/15と決まっている)の午前中は、曇りだったけれど、午後から雨、という予報だったので、当日ゆる抜き神事が終わった頃に、と思って出かけました。
僕は何時からゆる抜きが行われるのかを知らなかったのですが、結局、僕の行った時間とゆる抜きの開始時間が重なってしまいまして、満濃池のゆる抜きの瞬間をはじめて見てきました。
どのくらいの方が満濃池のゆる抜きに関心があるかは知りませんが、香川県、讃岐に初夏の訪れを告げる満濃池のゆる抜きのことにご興味がある方の参考になれば幸いです。
目次
満濃池のゆる抜きへ の行き方
もう満濃池の場所については、僕も何回か書いているのですが、さらっと書いておきます。
高松から満濃池までは車で約55分。
国道32号線から、綾川イオンで左折して、山の道を行くルートが恐らく一番早くて空いています。
最初はこの山道の運転が嫌だったけれど、慣れてきたのか、大丈夫になりました。

僕は毎回満濃池にはほたる見公園に車を停めるから、ほたる見公園の駐車場を目的地にしています。
もちろん歩くのが面倒な方は満濃池畔へ直接車で行くこともできます。

ほたる見公園の駐車場には、5~6台くらい車が停まっていました。
11時近くで、何台か帰ろうと出て来ていたので、これはもうゆる抜きは終わったのでは、と川を見ると…、

ムムム、水の流れが少ないです。
これは失敗、まだゆる抜けていなかった状態。

一瞬どうしようかな、もう一度出直そうか、とも思ったのですが、よくよく考えればゆる抜きの前にこの辺りに来るのははじめてです。
ゆる抜き前の感じも見ておこうと、公園の中へ入りました。
ほたる見公園のアジサイ

一応利用の自粛を呼びかける看板が入口付近にありました。
まあ、そういう呼びかけをしなければいけないことは理解しますが、普段から人の少ない(そしてこの日は誰の姿も見えない)ほたる見公園で、どうしたら感染が拡大するというのかを説明してほしいところです。
僕はほたる見公園のどこに感染リスクがあるのか、全く理解が出来ません。
看板を立てた方には申し訳ないけれど。
いつものようにほたる見橋から満濃池の堰堤を眺めます。


この後雨が降ってくるほどの曇りですが、はじめて目にする静かな流れの金倉川。
なるほど、この感じならホタルが飛ぶのも頷けます。
続いて、川の左側、水車小屋のアジサイへ。


毎年満濃池にくる時期は決まっているから、ここのアジサイを眺めるのもちょっとした楽しみの一つですが、今年は少し早めに咲いたのか、普段通りという感じではありませんでした。


水車小屋前のアジサイ、もう少し株を増やして川沿いに植えたらゆる抜きの季節にあわせてアジサイの名所になりそうなのですが、どうでしょうかね。

その前の時期には、ホタン園にボタンが咲くのでしょうか。

まあ、隣にまんのう公園があるから、という感じもしますが、まんのう公園ではゆる抜きはしないので、是非アジサイを頑張って植えてほしいところです。

普段は見かけない三角コーンが置かれていました。


分水樋門まで来ましたが、水が流れていませんでした。
水のない樋門も、もちろんはじめてです。

奥に水はあるから、少しずつ流しているのでしょうかね。

ここで僕は少し不安になりました。
「こんなに誰もいないなんてことがあるだろうか」
「まてよ、ゆる抜きは今日ではなかったのだろうか」
「いや、もしかして、今日は6/15ではなかったか。」
などなど…。
まあ、それでもいいや、と思い直し、先に進みます。

僕が見る時には、ゆる抜き後だから、この柵のところには、水がいつも溢れていますが、この時には降りることが出来ました。

もちろんいきなり水かさが増して来たらどうしよう、という気もしますが、その気配はないので、見てみます。

なるほど、ゆる抜きの前は、こんな静かな感じなのですね。


遠くの樋門からは、少しずつ出ているのか、白い水の流れが見えました。
何もない状態あから、いきなり水を放出するのではなく、少し出ている状態から出るのですね。

ここから見ると、本当に誰もいないように見えます。
思わず「誰かいますかぁ?」と叫びたいほど。

まあ、叫んだところで、いるのは悠々と泳ぐ鯉だけです。

この写真を撮っていると、空からポツポツと雨が降ってきました。
ああ、ゆる抜きの日に雨か、と思いながら上に向かいます。
普段なら、樋門の方へ注意が向いてしまうので、全く気が付かなった洪水吐。
ここにあったのですね。


ここにもしばらく水が流れていないようで、草木が茂っていました。
後述するけれど、ここで水が流れるのは「幻の滝」なのだそうです。



もう仕方がないから、このゆる抜き前の雰囲気を撮って帰ろうか、と思っていたら雨が強くなってきました。
これはいけない、土手を上がります。
雨の満濃池畔

雨の満濃池もはじめてです。

日本最大級の灌漑用ため池
日本最大級のため池 満濃池 | 香川県まんのう町観光情報 まんのう元気プロジェクトより引用
香川県内のため池の数は 登録されているだけで約1万4,600ほどあります。
香川県は雨が少ないうえ川が短く急なので 農業用に使われる水は52%もため池にたよっています。
そのため下流には数多くの農業用のため池が造られているのです。
満濃池はまんのう町に位置する日本最大級の農業用ため池です。

誰もいなかったほたる見公園とは違い、ここにはたくさんの車と人の姿もちらほら。
ゆる抜きの関係者とマスコミが多かったと思いますが、ああ、やはりゆる抜きがあるのだ、と思いました。

もちろんこのまま帰ろうかとも思ったのですが、とりあえず雨が小止みになるまで、屋根のついたところに、とかりん会館に向かいます。
かりん会館と満濃池吉井勇歌碑


と、ところが、近づいて行くと中は暗く、かりん会館もコロナの影響で閉まっていました!
(※その後電話で聞いたら7/12~通常通りに開いたそうです)


本当は「ゆる」があるというので、それもこの機会に見てみたかったのですが、仕方がありません。
周囲に置かれている看板などを見ることにしました。


なるほど、水の中で水を通すので、石像底樋管という管がいるのですね。
それを石で作っていましたよ、という内容でした。

敷甲石と蓋石とあります。
管の上の蓋と下の部分なのですね。
色が似ているので間違えそうですが、右上に置かれているのはプランターです。
その隣には両側石がありました。

かりん会館から降りて行く途中、石碑が見えたので、これはもしや、と立ち寄ってみます。
おお、ありました、吉井勇の石碑。
満濃池から少し離れたかりん広場の上に建っています。

水ならで慈悲のこころをたたえたり 大師の池はありがたきかも 満濃池かりん広場の吉井勇歌碑より

僕はこの場所に歌碑があることを全く知らなかったのですが、法然寺に讃岐十景碑を探しに訪れた際に知りました。
香川県にある吉井勇の石碑は3つというから、丸亀城、法然寺、そして満濃池で全て見ることができました。
今春訪れた最御崎寺でも見たから、吉井勇の句碑や歌碑、四国にも結構数があるのかもしれませんね。
満濃池のゆる抜きへ
かりん会館の横から神野神社をみたら、ちょうど神事を行っていました。
ちょっとあそこに行く勇気はありません…。

そのかわり、かりん亭横の建物で写真展をしていたので、そこでしばし雨宿り。

見て行っても良いですか?と中に入ると、香川県のあちこちの写真を飾っていました。
香川の花の名所がほとんど網羅されていました。
ここは○○ですね、なんて言いながらしばし香川のよさについてお話しました。
「幻の滝は、意外と7月の半ばくらいに出やすいんですよ」
「えー、そうなんですか」
「大体田植えが終わり、水が必要でなくなると放水量を下げるので、それで池の水が自然に溢れることが多いですよ」
と教えてくださいました。

インスタでも発信されているそうなので、今後も頑張ってください。
少し時間をおいたら、雨が上がりました。
そして配水塔の方には、人が集まっていました。

わあ、テレビでは何度か見たことがありますが、本当にあそこで「ゆる」を抜くのですね。
これを見たのが大体11:40頃。
これはもしかして、正午にゆる抜きが始まるのでしょうか。

本当のことを言えば、僕は今回「おちょうな岩」を見てみたかったのですが、その周辺は何だか物々しい感じになっているので、遠くから眺めるだけ。


この先にもアジサイが毎年咲いているのですが、今年はもう終わっていたようです。
先ほどは誰もいなかった堰堤と遊歩道に、皆さん集まってきていました。
なるほど、神事が終わり、ゆるが抜かれるという段取りなのですね。


分水樋門に係の方の姿も見えました。
なるほど、ゆる抜きの時間に合わせてスタンバイするのですね。
やはりその時間に来てみないと、わからないことがありますね。
普通に堰堤沿いを下りても良いのですが、僕は一度この森の中を下りて見たかったので、行ってみます。
満濃池のゆる抜きへ

ええと、僕は比較的気にしない方ですが、この奥で蚊が大群で待ち構えていまして、昨年の大坂峠古道以来の蚊の襲来。

こうしてカメラを構えると、4~5匹突っ込んできます。
これは大変。
さっと撮って下へ下りて行きます。
皆さん、ほとんど通る方はいないと思いますが、この道を通る際には、是非お気を付けください。

この道を降りて行くと、先ほどの遊歩道に出ます。

少し離れたところから見ようかな、と思ったのですが、ここも蚊の襲来。
日影はどこもだめでした…。
遊歩道沿いには、マスコミや関係者、一般の方などが少しいました。

ゆる抜きのはじまり
今回の動画は最初に比べて少し水の音が大きくなるので、ご注意ください。
最初は水の勢いがなく、静かに流れていたのですが、徐々に水の勢いが増し、

水の勢いで白い滝のように流れ始めました。
なるほど、「ゆる」を抜き始めると、こういう感じになるのですね。

しばらくすると、僕の知るいつものゆる抜きに。


水が流れ出すと、「わあ」という感じになるのですね。
もちろん歓声というほどではないのですが、マスクの中で皆さん何かを言っておられた。
「きたきた」
「でてきた」
「はじまったんちゃう?」
どの人もそんな感じです。
分水樋門の係の方達も、慌ただしく水門を開ける準備をしています。
静かだった下流の方も、水が流れ出すと、また雰囲気が変わってきます。

あまり伝わらないかもしれませんが、水飛沫も飛んできます。
最初は霧雨が降ってきているのかと思ったほど。
少し周囲の温度も下がっていくのを感じました。


僕ははじめてこの「ゆる」を抜く時間に来たけれど、なるほど確かにその変化を楽しみに、訪れる方が多いのも理解できるような気がします。
写真で見ると、ただ水が流れるだけなのですがね…。


しかし、樋門から水が溢れ、白い飛沫を上げて流れる様子は、確かにゆる抜き独特の景色です。


良い場所は順番に、という感じで上から、下から、と皆さん撮っていました。
地元の放送局やテレビ局やケーブルテレビ、新聞社も何社か来ていました。


やはり、誰もいないゆる抜きよりも、見ている方が多い方がいいですよね。


なんて、思いながら帰宅してテレビを見ていたら、「一般の方の立ち入りを制限し」なんて言っていました。
ムムム、制限されていたでしょうか、わかりませんでした…。
結構一般の方もいたので、全然気が付きませんでした。
しかし、テレビや新聞では、ほんの一部分しか出ないから、ゆる抜きの全体像はわかりません。


ちょっと繰り返しになるけれど、ゆる抜きで感染が拡がるとは、ちょっと考えにくいです。
もちろん混雑して、密集してはいけないと思うけれど、それでも何か食べたり、話をするよりも、余程リスクは低いと思うけのだけれど。
大体10分くらいでゆる抜きも見終わったので、車に戻ります。

ここに来た1時間ほど前には誰もいなくて、静かだった川岸も分水樋門も、大量の水が流れ、分流からも勢いよく水が流れていきました。

やはりこういう川の流れる感じが、僕の中のゆる抜きのイメージです。


まあ、少し考えてみても、この行事の何が面白いのか、ということを一言でまとめるのは難しいところですが、暑さが増してくる梅雨時、雨の少ない香川県、讃岐の地を潤す、貴重な水源からの放水が、皆さんに愛されているのも、何となくわかるような気がしました。

僕はきっと来年は正午には来ないだろうと思いますが、2年間出来なかった通常通りのゆる抜きが、来年こそはできると良いですね。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。