唐人駄場巨石群に行ったお話を書いておこうと思います。
唐人駄場とかいて「とうじんだば」と読みますが、足摺岬の西側にある観光スポットで、僕は若い頃から一度ここに行ってみたかったのです。
しかし、ただの巨石群なので、僕以外の方は奥さんお含めて概ね関心が薄く、いつかは行ってみたいスポットの一つでした。
今回は土佐清水の龍宮神社の帰り道で立ち寄ることにしました。
唐人駄場遺跡の巨石群にご興味のある方のさんこうになれば幸いです。
目次
龍宮神社から唐人駄場巨石群へ
場所はずっと前から知っているので、行こうと思えば行ける場所だったのです。
しかし、足摺岬や、大月の海岸なんかに行った前後では、どうしてもスルーしてしまいがちな位置にあります。
足摺テルメとか足摺スカイライン沿いならば、まだ行く方も多いと思いますが、そこから少し山側に入って行くのですよね。
夕方になると、深い山、森の奥に、入っていくのだってちょっと勇気が要ります。
今回訪れて一番驚いたこと(そして書きたいことでもありますが)は、足摺スカイラインを皆さん利用されていないことです。
15年くらい前までは、皆さんこの道を通っていたと思うのだけれど、ほぼ通る車はありませんでした。
ですので、雨や風で小枝が落ち、道路に散乱したままになっている状態です。
僕は若い頃、この辺りから帰ってきて小枝でパンクしてたことがあったので、とても慎重に運転しました。
しかし、あれだけ多くの車が通っていたスカイラインが、荒れている道をみると少し寂しい気もします。
書いておかないと忘れてしまいそうなので、書いておくと、学生の頃、弟と二人で高知から足摺岬まで来たことがあります。
鉄道で高知から中村まで行き、中村からバスで1時間45分。
その帰り道、トイレに行っておこうかな、と思ったのですが、バスの発車時刻が気になって、そのまま乗ってしまったのですね…。
すると、この足摺スカイラインを走っている辺りからお手洗いに行きたくなってしまい、その後1時間半ほど猛烈に我慢したことがあります。
あれからこれまで30年程になりますが、あれ以上お手洗いを我慢したことはありませんでした。
何度か「もう運転手さんにお願いして停めてもらおうか」と思ったのですが、もうすぐ、もうすぐ、なんて思いながら、乗っていました。
中村駅に着くと、一番に降り、トイレに駆け込みました。
普通の路線バスなら、途中で下りれ場良いのだけれど、足摺からのバスはそうも行かないので、もし足摺でバスに乗られる方は、出発までにトイレに行くことを強くお勧めします。
足摺スカイラインから「唐人駄場」案内表示を見ながら細い道を行きます。
対向車が来たら嫌だな、と思うものの、その心配は要らなかったです。
唐人駄場巨石の駐車場
唐人駄場遺跡へ僕が来るのを躊躇っていたもう一つの理由は駐車場がないところです。
WEBの情報がない時代(今も情報は少ないが…)、ガイドブックなんかでも「道の脇に停める」という感じだったのですが、たくさん車が来ていて停められなかったらどうしよう、と思いますよね。
しかし、その心配はほぼ無用です。
先ほどの龍宮神社とは違い、ほとんど車は来ませんでした。
滞在1時間ほどの間に、実際に見かけた方は2組で、車は1台でした。
(あと一組がどうやって来たのかは知りません…)
ちょっと道幅が広くなった場所があるので、そこに停めました。
もう少し先まで行くと「唐人駄場公園」があり、そこには「P」とお手洗いがあります。
先ほどの龍宮神社からそれほど離れていませんが、随分雰囲気が違い、森の中へ入って行く感じです。
唐人駄場遺跡 南のサークル
遊歩道へ入る前に「唐人駄場遺跡」と「南のサークル」の説明がありました。
唐人駄場遺跡
縄文時代から弥生時代の石器や土器片が出土。遺跡のストーンサークルは世界最大級の規模といわ れています。周辺には高さ6~7m の巨石が並ぶ唐人石もあります。
なるほど、縄文時代から弥生時代の石器や土器が出てきているのですね。
目印になるし、巨石があれば雨風を凌ぎやすいです。
南のサークル
ストーンサークルと呼ばれるもので、2つの中心の石を取り巻くように、円形状に石が配 置されています。中心の石には人工的に加工したような形状が見られます。
円形状に並んでいるのですね。
確かに巨石ではあるけれど、円形状なのかどうかはここから見ただけではわかりませんでした。
何か人工的に配置したというよりも、自然にできた岩なのでは、という感じがします。
ロード・オブ・ザ・リングで、黒の乗手に追われるフロドたちが隠れる森みたい。
他には誰もいないので、多分こっちだよね、と進みます。
唐人駄場巨石群 唐人石
「唐人石・遊歩道」と書かれた案内板の方向に、階段が続いています。
同じく遊歩道の先にも「唐人石・遊歩道」の文字があるので、どこかで繋がっているのでしょうかね。
こんな感じで大きな岩に囲まれた石段を上ります。
その雰囲気を撮ろうと思っても、カメラではちょっと無理でした。
なるほど、石が大きくて近いから「大体が石」の写真になってしまうのですね。
どうやっても、その雰囲気は伝わりそうもありません…
どうやらこの奥の大きな岩が「唐人石」のようです。
おお、確かに大きな岩がごろごろとあります。
なるほど、海の方から見ると、陽の光が当たって、山の中でも目立つのかもしれません。
実際の目線だとこんな感じですが…
石舞台古墳のように、誰かがここへ運んできたという感じではなくて、自然にここにあった、という感じがします。
しかし、これを見つけた方は、誰かがここに持ってきた、と思たのでしょうね。
人がいれば、大きさがわかるのだけれど、と思っていたら、背後から次の方が来られていました。
大きな唐人石を熱心に拝んでいました。
巨岩、崇敬の対象となりやすいのでしょうね。
亀石へ
唐人石から順路に沿って歩きます。
もうこの辺りの写真は、どこがどうなっているのか僕自身もわからないです。
順番に、と撮ったけれど、その順番がわからなくなってしまうのが唐人駄場遺跡の面白いところです。
ちょうど岩が集まった場所の周囲をまわりこむように遊歩道が整備されています。
あの斜めの大きな石が亀石でしょうか。
斜面の下の方にも大きな石が見えました。
千畳敷石へ
「順路」とありますが、明らかに岩の中へ続く階段がありまして、心細い気持ちで行ってみます。
奥さんは狭いから「行かない」とのこと…。
確かに、狭い岩の間をする抜けるように行きます。
ムムム、軍手があるとよかったです。
そして、ちょっと動画や写真を撮るには、足元が悪いかな、という感じになってきました。
先ほどの斜めの石「亀石(亀頭石)」の説明がありました。
確かに、亀石と呼ぶ他なかったのだろうな、という感じ。
「こっちなの?」という岩の間のルートを行きます。
行き先は「鏡石」「千畳敷石」となっていますが、「鏡石」はわかりませんでした。
徐々に道というよりも岩登りみたいになってきました。
これは行けるのか?という気持ちになりますが、行ってみます。
もし皆さんが唐人駄場遺跡や龍宮神社に行くのなら、晴れの日がお勧めです。
雨の日や雨上がりだと岩の上が滑るから、注意してください。
千畳敷石を渡る
そいて、千畳敷石まで来たのですが、僕は行くか行くまいか、少し逡巡しました。
まあ、行けないこともないけれど、転ばないようにしなくては、とカメラなどはバッグに入れ、両手を使えるようにしました。あとは、スマホとかモノを落とさないように気を付ける必要があります。
渡ってきました!
いやあ、はじめて行って、一人で行くとひやひやでした。
こういう感じで渡ってくるのですが、黄色い線のところは岩の上が5cmくらい。
足を踏み外さないように行くのが大変でした。
岩の間に二か所梯がかけられていて、そこを通る必要があります。
小学生以下はちょっと厳しい、中学生だと大丈夫かな、という感じです。
(まあ、中学生は来ないだろうけれど…)
わあ、これが唐人石、三列石ですね。
そして、絶景が広がっていたのですが、ちょっとこれは見ないと勿体ない、と思い、奥さんを呼びに行きました。
高知屈指の絶景千畳敷石
戻る途中、ご高齢の夫婦が上って来られていました。
「この先ですか?」
「はい、ちょっと狭いけれど、行けますよ」
僕も元来た道を戻りながら、奥さんを探します。
ついついスマホでメッセージを、と思ってしまいますが、ここは圏外でした。
わあ、これは珍しい。
「探しとったんやで」
「すごい絶景だから、行こうよ」
「ええ!?まだ行くん?」
みたいなやりとりで、再度岩の間を行きます。
ちょうど先ほどのご夫婦が渡られたところでした。
「これは狭いわ、行けるん?」
等と言っていましたが、何とかかがみながら行けました。
東側は足摺岬の方面、なだらかな山の斜面が海まで続いています。
正面は太平洋。わあ、これはすごい!
「わあ、すごいね!」と思わず声が出てしまいました。
あの先が龍宮神社や黒潮の来るあたりだろうか、と想像しながら眺めます。
そんなに多くの眺望を見ているわけではないけれど、足摺でこんな感じで景色を見渡すのは、はじめてでした。
巨石、緑、青い海と空、高知の中でも屈指の絶景では、と思います。
海からこの岩は光って見えるのだろうか、としばし考えながら、景色を眺めました。
何だかこの景色を見ていたら、もう満足してしまって、他のところはいいや、という気持ちになりました。
奥さんももう戻りたい、という感じでした。
この先にも幾つかの巨石があるみたいですが、唐人駄場遺跡のハイライトは、千畳敷石でした。
もし唐人駄場に来られたら、この石を目指して上ってみてください。
足摺黒潮市場
唐人駄場の駐車場に戻り、再び足摺スカイラインを走ります。
唐人駄場から北側は比較的道路が綺麗で、小枝や石が落ちているところは少なかったように思います。
お昼を過ぎて、お腹が空いたので、こちらの「足摺黒潮市場」でお食事しました。
この地域を「幡多(はた)」というのですが、イメージキャラクターは「はたっぴー」。
足摺黒潮市場は、レストランとお土産屋さんが併設されたお店です。
道沿いにあって、わかりやすいから、結構週末はいつも車がたくさん停まっている印象があります。
お店の御主人に足摺スカイラインのことを尋ねたら、
「バスが通らんようになって、あまり通らんようになりました」
と言っていました。
なるほど、道やトンネルが出来て、皆さん海沿いの道を走るようになったのですね。
確かに、くねくねとした山道より、海沿いの道の方が見通しがよくて走りやすかったです。
中へ入ると、三組ほどの方がお食事されていました。
外は麗らかな春の陽気、このまま泊まっていけたらいいのにね、と思います。
この日はサバや刺身は入荷がないとのことなので、カツオのたたき丼にしました。
さっとたれをまわしかけていただきました。
再び窪川、今度は道の駅によると、たくさんの方が来られていて、アイスに行列ができていました。
高知、美味しいものがたくさんありますね。
なかなか忙しかった日帰り足摺の旅、意外と行けるものだな、と思いますが、やはり泊まった方が時間を気にしないでよいと思います。
龍宮神社に唐人駄場、是非ご興味のある方は、訪れてみてください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただきありがとうございます。