さぬきの夢で冷ぶっかけうどん

香川県で栽培されているさぬきうどんのために開発された小麦粉さぬきの夢を使って、ぶっかけうどんを作ったことを書いています。

ふみやさんのテイクアウトの次は さぬきの夢で冷ぶっかけうどん づくり の記事です。
まあ、いつかはこんな記事も書けたらいいなあ、という具合に思っていると、その時は唐突に訪れます。
香川県で栽培されている小麦粉、さぬきの夢で冷ぶっかけうどんを自分で作ってみたいなあと、実は随分長い間思っていました。
しかしながら、なかなか店頭でさぬきの夢の小麦粉を見つけることはできなかったし、それを見つけられたのも、偶然としか言いようがありません。
それでも、長い期間探していると、こういうこともあるもので、前半はどうやってさぬきの夢を手に入れたか、後半はその小麦粉で冷ぶっかけうどんを作ったことを中心に書いてみようと思います。
もし、香川県が開発し、栽培している、美味しいうどんづくりのための小麦さぬきの夢のことや、その小麦粉 さぬきの夢で冷ぶっかけうどん を作ったのことなんかに、もしご興味がおありでしたら、どうぞお読みください。

さぬきの夢は偶然に

まあ、お読みいただく方には関係のないことで、誠に申し訳ないことなのですが、このブログでは、なるべくうどん関係のことにはなるべく触れないようにしながら、香川県のその他の魅力的なものを発見していこう、というのがそれぞれ共通の基礎になっています。
もちろん何かについて書いていたら、うどんに辿り着いたということは、本当によくあるけれど、うどんについて言えば、僕は専門家でもないし、それについて何か語れるほど理解していません。
なので、かがわさん(香川で生まれ育った地元の方)には、まあ、他の県から香川に来た人が、20年くらい住んでいるとこんな感じにとらえるのか、と思っていただけたら嬉しいし、それ以外の県の方には、やはりうどん県はうどんを中心とした王国だと驚嘆していただければ幸いです。

ちょうど外出自粛が続く連休の頃、食事同様に楽しみと言えば、食材を買い出しに行くことくらいなもの、という方も多かったのではと思います。
なるべく最低限の人数で、空いている時間に、必要なものだけ短時間に、なんて言われていたから、なるべく同じところで買い物をしていました。
しかし、それも続くと同じことの繰り返しのようで、飽きてしまい、ある時、
「JAの産直、行く?」
と尋ねると、奥さんも行くとのこと。
僕はそろそろしょうゆ豆づくりに欠かせない、乾燥そら豆が出回り始める頃だと思っていて、奥さんも切り花なんかを見たかったようです。
訪れたのは、JA産直のお店、いきいき産直林店。

いきいき産直 林店
いきいき産直 林店

営業時間が16時までで、もう15時に近かったから、めぼしい野菜などはなく、ポツポツとスナップエンドウがあるくらいでしたが、乾燥そら豆はありました。(これはまた後日書きますね)
「もうあんまり野菜なかったね」
なんて店内を見ながら、ラーメンや餃子(ここのは美味しい)を見て、乾物などの戸棚を見ていましたら、
「さぬきの夢 小麦粉」
というパッケージの商品があるではないですか!

いやあ、もしかしたらご存じの方は、「何を当たり前のことを」と思われるかもしれませんが、僕は小麦粉の状態で小売りされているさぬきの夢を、はじめて見ました。
この記事をお読みの方の中には、さぬきの夢のことをご存じない方もたくさんいるだろうから、引用しておきます。

「さぬきの夢」は、香川県農業試験場がさぬきうどんのために開発した、香川県のオリジナル小麦品種の総称です。「地元の小麦でさぬきうどんをつくりたい、食べたい」といった県内うどん業界やうどん愛好家の熱い思いをうけて誕生した、さぬきうどんのための小麦です。

さぬきの夢 | LOVEさぬきさんより引用

面白いですよね、「さぬきうどんのための小麦」ですよ…。
1992年から8年の歳月をかけて品種登録をし、さぬきの夢2000から2009を経て現在に至るわけです。
結構このことはテレビなんかでも取り上げられて、さぬきの夢のうどんには、その名の通り香川県の強い思いが込められているわけです。

しかし、スーパーなどでは、製麺されているものには「さぬきの夢使用」なんて表示はあるものの、小麦粉の状態のものは見かけることがありませんでした。
これは買って、うどんを作ってみたい!
1㎏で600円くらいだったような気もしますが、興奮しすぎてよく覚えていません、ごめんなさい。

吉原食糧さぬきの夢小麦粉の裏面作り方
吉原食糧さぬきの夢小麦粉の裏面作り方

裏面には、うどんの作り方が書いてありましたので、それに従って作っていきたいと思います。

さぬきの夢で作るうどん

ええと、まずお伝えしたいことは、これからいろいろ手順にそって書いていきますが、そんなにこだわる必要はない
ということを伝えたいと思います。
僕は残念なことに、一人暮らしをはじめた学生の頃に、このうどんの作り方を全く知らなくて、もしかしたら特別な技や道具が必要なのでは、と思っていたのですが、そんなことはありません。
小麦粉、水、塩、麺つゆが主な材料で、道具は鍋、包丁、ビニール袋が必須。
できればのばす為のうどん棒のようなものがあれば、うまくできます。(見た目は悪いけれど、うどん棒ではなくてもできます)
何が言いたいかと言うと、学生さんや若い方なんかで、もし食費に困っているけれど、何かお腹を満たすものがほしいという場合には、是非小麦粉(中力粉)を買ってみてください。
さぬき夢じゃなくてもよいので、中力粉です。
塩、水、麺つゆがなければ、最終醤油でも(生じょうゆという食べ方もある)大丈夫。
知っているといないとでは、違うよなあと思います。
(もちろん一袋十数円の袋めんを買って凌いでいくという手もありますが、あれは飽きるよね…)

では、実際に作っていきますね。
吉原食糧さんのさぬきの夢小麦粉裏面に記載されている分量では、4~5人分で小麦粉500gの分量が掲載されています。
ええと500g…。
僕の個人的な考えですが、500gの小麦粉でうどんを作ると、とんでもない量になりまして、我が家の3人分の分量ではありません。
もし5人以上の分量で作るなら、500gでも良いですが、結構なジャンボうどんになります。
そこで、1人前100gに計算し直しました。

しかしまだまだこだわりの分量が続きます。
何と、秋と冬で分量が違うのです。
小麦粉500gに対し、塩は春秋30g、夏は32g、冬は29g、水は春秋220㏄、夏は218㏄、冬は221㏄、だそうです…。
ウムム。塩1gの違いはわかるけれど、水1㏄の違いって?とも思いますが、一応指示に従います。
きっとさぬきの夢に対して、研究に研究を重ねた結果なのでしょうから。

この時、うどんを打つのは5月の上旬だったから、春秋の分量を使います。
さぬきの夢小麦粉300gに対して、塩18g 水132㏄、これでいきます。

吉原食糧さぬきの夢小麦粉
吉原食糧さぬきの夢小麦粉300g

こちらが小麦粉300gです。
もしかして10gくらい前後しているかもしれませんが、全く大丈夫。
お菓子作りではないから、最後はさぬきの夢が何とかしてくれます。

うどん用の塩水
うどん300g用の塩水(春秋) 水132㏄と塩18g

まあ、ただ単に塩と水を合わせたボウルですが、これをよくよく完全に塩が溶けるまで混ぜます。
この日も、子どもは臨時休校で家にいて、家で作った食事の宿題がちょうどあったので、一緒に作ることにしました。

うどん用の塩水とさぬきの夢を混ぜる
うどん用の塩水とさぬきの夢を混ぜる

続いて少しずつ小麦粉に塩水を加え、混ぜ合わせていきます。
そぼろ状になっていくのを、押し固める感じです。
何度やっても、これで大丈夫だろうか、というはじまり具合なのですが、大丈夫です。
さぬきの夢が、最後は何とかしてくれます。

うどん用の塩水とさぬきの夢を手で混ぜる
うどん用の塩水とさぬきの夢を手で混ぜる

スライム、スクイーズなどが好きだった子どもは、この食感は好きな様で、こねて、こねて丸めていました。

うどん作り 小麦粉さぬきの夢を丸める
うどん作り 小麦粉さぬきの夢300gを丸める

まあ、こんな感じで、結構最初は凹凸のある感じです。
押し固めて、鏡餅のように、と書いてあるので、もっと綺麗に成型しなければいけないかな、と思いましたが、全く関係なかったです。
しかし、感想を防ぐためのビニール袋は必須です。

うどん作り 小麦粉さぬきの夢をビニールに入れて寝かす
うどん作り 小麦粉さぬきの夢をビニールに入れて寝かす

もしなければ、スーパーでお魚やお肉を袋詰めする薄いビニールでもよいかと思います。(一枚で破れたので、二重にするなど各自工夫を)
常温で30分置きます。
じゃあ40分だったら、1時間だったら、という疑問もあるかもしれないけれど、どっちでもよくて、結局最後にはうどんにはなります。

30分経ってから、そのままの状態で、足で踏みます。
ここが少し面白いところで、食材を踏むっていう調理法、他にはあんまりないですよね。
是非、ビニールが破れない程度で、かかとに力を入れ、1分程度踏んでください。

さぬきの夢うどんを足で踏む
さぬきの夢うどんを足で踏む

一度袋から取り出し、三つ折りにします。

さぬきの夢うどんをたたむ
さぬきの夢うどんをたたむ(二つ折りだけれど、本当は三つ折りに)

折りたたんだ方を下にして、生地をビニール袋に戻し、再び足踏みを1分間。
この工程を3回繰り返します。
もう、どうしたって4回やりたい、という方はしても構わないと思います。
最後には、同じようにうどんになるから。

さぬきの夢うどんを丸める
さぬきの夢うどんを丸める

3回目の足踏みが終了したら、内側に生地を押し込みながら、包み込み、先ほど同様鏡餅のような団子にします。
そしてそのまま、乾燥しないようにビニールに入れ、常温で1時間。
じゃあ、2時間だったら?、というと、それも大丈夫。
最後には、うどんになりますよ。

さぬきの夢うどんをビニールで寝かせる二回目
さぬきの夢うどんをビニールで寝かせる二回目

なので、ちょっと注意しないといけないことは、作り始めてから最低でも2時間はかかるということなので、お昼に食べようと思えば10時に、夜に食べようと思えば16時頃には作り始めないと、それぞれ食べる時間が大幅に遅れるので、そこは注意が必要です。

さぬきの夢うどんを踏む 二回目
さぬきの夢うどんを踏む 二回目

1時間置いたら、ビニールに入れたままのうどんの団子を、もう一度軽く踏みます。
そして、薄く延ばすように、15㎜から20㎜くらいになるように、全体をのばします。

ビニール袋から取り出し、台に打ち粉をふって生地をのばすのですが、台なんかもないので、食卓に新聞紙と大きめのごみ袋用ビニールを敷いてのばしました。

さぬきの夢うどんを麺棒でのばす
さぬきの夢うどんを麺棒でのばす

打ち粉もさぬきの夢の小麦粉をそのまま使いました。
多すぎると、部屋中が小麦粉だらけになるので、注意が必要なところです。
麺棒で押さえつけながら、四角形になるように延ばす、とあるのですが、四角形にはならず、丸く広がりました。
ここは子どもが一番やりたいところだったようで、喜んでしていました。

さぬきの夢うどんをつづら折りに
さぬきの夢うどんをつづら折りに

生地の厚さが2.5㎜~3㎜になるように、とあったので、なるべく薄くね、と言うと、そのくらいまで延ばしていました。
僕は大人になってからはじめてうどんをつくったけれど、きっと君は音になれば、もっと上手に作れるようになると思うよ、と見ながら思いました。
延ばしが完了したら、生地全体に適度に打ち子をふり、山形の屏風だたみにしていくのだそうです。
屏風だたみ。これもよいのですが、僕は本当にごくたまにしか使わない九十九折と言ってみたいところです。
包丁はできれば麺切り包丁だそうですが、そうでなくても大丈夫です。

さぬきの夢うどんを切る
さぬきの夢うどんを切る

もしうどん職人を目指すなら、その方がよいかと思いますが、そうでないならば、ご家庭にある包丁で切ってください。
2.5㎜から3㎜の幅で、これはできれば、なるべく細く切ることをお勧めします。
どんなに細くしても、きっと太い麺ができるから。

さぬきの夢の生うどん
さぬきの夢の生うどん

僕は一度だけ、当時顔を覚えてくれたうどん屋さんで、職人さんが言っていたことを思い出しました。
「さぬきの夢(確か2009)は美味しいけれど、ぶつっと切れやすいんすよ」
へえ、難しいのだね、なんて思っていたけれど、そんなことはありませんでした。
普通の小麦粉で作ったのと、特に変わりません。
もし一つ大きな違いがあるとすると、独特の香りが強いのと、ややクリーム色だったということくらいです。

さぬきの夢うどんを茹でる
さぬきの夢うどんを茹でる

ここで、300gのよさが出てくるわけですが、それほど大きな鍋でなくても茹で上げることができます。
500gだと、もっと大きな大量のお湯が必要です。
吹きこぼれない程度の火力で、混ぜすぎないところがポイントだそうです。
ぐるぐると麺が鍋の中で回転するぐらいの感じで、約10~12分程度茹でます。

さぬきの夢の生うどん茹で上がる
さぬきの夢の生うどん茹で上がる

茹で上がったら、水で洗ってざるに上げて器に盛りつけます。

ぶっかけうどんの薬味

さて、今回僕はぶかっけうどんにしたいと思います。
まだ香川に来て間もない頃、地元の方が、
「ぶっかけは邪道で、やっぱりうどんはかけ!」
なんて言っていたこともあったけれど、ここは好みの問題で、僕はさぬきうどんの中ではぶかっけうどんが一番好きです。
しかもたまごとか入れないで、普通の冷ぶっかけ。
大体3月から11月くらいまでは、ほぼぶっかけを食べ、その他はかけやしっぽくにします。
もちろん好みがああるから、奥さんみたいに釜あげや肉うどん、釜玉、カレーうどんなどを食べるのも悪くはないけれど、僕は何と言ってもぶっかけが好みです。

お店によって、載っている薬味も違うし、セルフで載せることも多いから、一概には言えませんが、葱、ショウガ、天かす、ゴマ、スダチやレモンなんかが、ぶっかけうどんにはあうようです。
大根おろし、ワカメ、刻んだ油揚げ、刻みのりなんかも、あればあったで、美味しいかもしれません。
茹でたうどんをしっかりと水で洗い、ざるで水気を切り、盛りつけてぶっかけつゆをかけたら、完成!

さぬきの夢の生うどん完成
さぬきの夢の生うどん完成

ちょうどスーパーにスダチがあったので、使いました。
あんなに細く切ったはずなのに、結局中太麺のようになりました。
しかし、美味しそう!
食べて見ますね。
うん、美味しい、これはなかなか美味しいうどんですよ!
小麦粉の味がしっかりしているというか、風味というのか、口の中で小麦粉と薬味、出汁が一体となって、何ともうまい具合です。
そうかあ、これがさぬきの夢か!という感じ。

さぬきの夢の生うどん釜揚げ
さぬきの夢の生うどん釜揚げ

こんなにも美味いぶっかけですが、奥さんと子どもは釜揚げにする、というので、そのまま食卓に出しました。(まさに2人とも生粋の讃岐っ子、かがわさんですね…)
奥さんもうどんを食べて、
「意外と美味しいわ、このうどん」
と言っていました。
手作りの雰囲気がして、昔家庭で作っていた美味しいうどんの味がするのだそうです。
子どもも自分で作ったからか、美味しい、美味しいと食べていました。
フフフ、さぬきの夢、繋がっていきますね。
それでは、最後にレシピです。

簡単なさぬきうどんの作り方(さぬきの夢小麦粉 吉原食糧の裏面を参考にしました)
【材料(3人分)】
・さぬきの夢小麦粉:300g
・塩:18g(粉100gに対し6g)
・水:132㏄(粉100gに対し44㏄)
※小麦粉と塩、水の割合は季節によって調節する。夏は塩6.4g、水43.6㏄、冬は塩5.8g、水44.2㏄という具合。
・ぶっかけ出汁:市販のもの約100㏄
・薬味として、ショウガ、ゴマ、天かす、スダチ、青ネギなどを使用しました。
【作り方】
1 ボウルに塩と水を入れ、全て溶けるまで混ぜあわせ、小麦粉に少しずつ混ぜる。
2 そぼろ状になったもの押し固め、鏡餅状の団子にし、ビニールに入れて30分おく。
3 ビニールに入れたまま約1分足で踏み、三つ折りにし、また踏むを3回繰り返す。
4 内へ内へと手の平で押し込むように包み込み、鏡餅状の団子にして約1時間おく。
5 全体が均等に平たくなるよう足で軽く踏み、打ち粉を振った台の上で延ばす。
6 麺棒で押さえつけながら2.5㎜~3㎜になるように延ばす。
7 全体に打ち粉を振って屏風だたみにし、2.5㎜~3㎜の幅になるよう包丁で切る。
8 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、吹きこぼれないように10~12分茹でる。
9 ざるに上げ、よく水で洗って、水を切り、薬味と出汁をのせて完成。

先ほどよく見たていたら、吉原食糧さんのサイトにも、うどんの作り方がでていました。
さぬきうどんの作り方 | さぬきうどんの作り方 | 讃岐うどんならおまかせ 吉原食糧(株)

さすが職人さんなのか、こちらは本当に美味しそうなうどんですね。
まあ、どうやってもうどんはうどんにしかならないから、あまり細かいことを気にせず作ってみてください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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