とらまる公園彫刻の森 のことも書いておこうとおこうと思います。
白鳥温泉のあじさいロードを見た帰り道に立ち寄ってきました。
とらまる公園彫刻の森 なんてあっただろうか、と僕も思うのですが、とらまるてぶくろ体育館(旧県立大川体育館)の前の芝生広場を中心に、15の彫刻やオブジェがあります。
作品名や作者がよくわからないのもあったので、市の担当の方にお尋ねして、名前を確認しました。
もし、東かがわ市のとらまる公園に設置されている彫刻作品にご興味がある方の参考になれば幸いです。
目次
- とらまるパペットランド
- ファンシープラザ
- とらまるてぶくろ体育館
- とらまる公園彫刻の森 ダリの彫刻
- とらまる公園彫刻の森 かえるちゃん、汐風、弥生
- 海に浮かび、ウエディング、ごっこ
- とらまる公園彫刻の森の傍の彫刻作品
とらまるパペットランド
とらまる公園は香川県の東の方、東かがわ市にあります。
どうしてとらまる公園に立ち寄ったか、というと、塩江美術館の大島よしふみ彫刻展の記事を書いた際、いろいろ香川の屋外彫刻のことを探していたら、とらまる公園のことが何度か出てきて、あれ?これもしかして、という作品がいくつかあったからです。
大きな駐車場は二か所あって、そのうち「とらまるパペットランド」に近い方の駐車場です。
ここからは高松道や虎丸山が見えます。
その虎丸山を背景に、アキホ・タタの作品が設置されています。
丸みのある石に、原色の色、細かい模様など、ああ、これはアキホ・タタだろうなあという作品です。
背景に高松道を入れてみました。
うどん屋の入口から、こうした公園まで、香川の至る所にアキホ・タタがあります。
ここから海は見えませんが「ファンタジア・ポセイドン」という作品なのですね。
その先の芝生広場には、 勝木繁昌氏の「 NAVIGATE 」という作品がありました。
ブランコの手前ですが、黄色いテープが貼ってあって、改修中なのでしょうかね。
これは子どもに「登らない」という方が無理なような気もします。
ファンシープラザ
とらまるパペットランドには、いくつかの建物があって、その一角をファンシープラザと名付けているようです。
さらにその中に「時計台」という建物が見えました。
時計台なので、時計があるのですが、僕がこの写真を撮った時間と時計台の時間とは違っています。
普段の土日であれば、とても賑わっているところですが、 僕以外には一組しか見かけませんでした。
この時計台の周辺では、もう時空も越えて永遠に11時なのでは、という気もする美しい時計台。
その奥が噴水で、さらに人形劇場とミニチュア児童館があります。
僕が以前に来た時には、子どもがいっぱいだったので、撮りにくかったけれど、この日は屋外遊具に誰もいませんでした。
さらに、ここに誰もいないのが不思議な感じのする砂場。
季節や時間帯にもよるけれど、概ね週末は子どもでいっぱいです。
何年かかけて、この写真を撮れてよかったです。
そして、この砂場の前にも、一つ彫刻の作品が設置されていました。
砂場で遊ぶと確かに「泥かぶり」となりますよね。
こうした彫刻の作品と子ども向けの遊具が近い場所にあるのも、とらまる公園の面白いところです。
ファンシープラザから少し下るように北へ、海の方角へ歩いて行きます。
特に名前は付いていないのだけれど、とても素敵な小径というか、小さな橋があります。
かがわに住んでいると、この時期にここに行けば気持ちの良い風に吹かれたり、木々の香りを楽しめる、という場所がいくつかあるのですが、この場所も6月の晴れの日には、とてもお勧めの場所。
両サイドは桜の木なのでしょうか。
本当は「ここが良いですよ」というのをブログで書いてお知らせするのを躊躇うほどです。
ファンシープラザから野外劇場や体育館の方へ抜ける道だと思いますが、そこに小さな谷があって、ちいさな屋根のついた木の橋がかけられています。
香川ではもっともメルヘンチックな橋、メルヘン橋。
何でこの歩道に橋がかかっているのか、そして、素敵なデザインなのに、あまり知られていないのか、とても謎なところです。
歩くと、こつこつと良い音がします。
ここから先は人形劇の物語がはじまりますよ、という感じになります。
お掃除したり、手入れするのは大変だろうけれど、是非ここは頑張って残してもらいたいと思います。
見晴らしがよいわけではないのだけれど、ここは何だかとても素敵な橋ですよ。
とらまるてぶくろ体育館
小さな橋を抜けると、右にはグラウンド、正面に体育館の屋根が見えました。
現在は日本手袋工業組合によって「とらまるてぶくろ体育館」と命名されていますが、かつては、香川県立大川体育館として、国体の会場になっていたのだそうです。
なかなかどういう形になっているのかわからない、素敵なデザインの体育館です。
なるほど、雨をここに集めて排水しているのですね。
表に抜けると、芝生の広場と彫刻、その向こうに町と海が見えます。
いつだったか、2000年代のはじめ頃、一度だけ行事があって、仕事で夜にここに来たことがあるのですが、このガラスがきらきら綺麗に光っていたのをよく覚えています。
この体育館エントランスの両脇に、2つ彫刻作品が設置されています。
渡辺行夫氏による【石の「フー」】という作品。
渡辺行夫さん、どこかで聞いたことのあるお名前と思っていましたら、あじ竜王山公園で作品をお見かけしていました。
牟礼町長賞の方でした。
反対側には藤本イサム氏の「STONE’S MIND」。
この辺りまでは、作品のプレートがあって、どういう作品名で、誰が作者かというのはわかりやすかったのですが、この後、芝生の方へ行くと、わからない作品がいくつかありました。
そこで、先に体育館の事務所へ行き、尋ねてみます。
「すみません、この彫刻の作品名とかはわかりませんか?」
「いやあ、ちょっとわからないですね…。ネットとかに出てませんか…」
「出てないのがあるんですよね。市の文化財の管理する部署とかならわかりますかね」
「ああ、それならわかると思いますよ」
まあ、全く体育館の事務所では解決しなかったのですが、普段から体育館の使用管理などが主な仕事だろうから、目の前の彫刻の名前がどうとか言っても関心はないだろうとは思います。
そこで、東かがわ市の担当の方にメールで聞いてみたら、一覧にして教えてくださいました。
お忙しいところありがとうございました。
その内容を頼りに、芝生の置かれた彫刻の森について、書いておきますね。
とらまる公園彫刻の森 ダリの彫刻
どうしてこの広場がダリ彫刻の森記念碑なのかは、きっといろいろ事情があるのでしょうけれど、そのいきさつが石碑にありました。
ダリ彫刻の森記念碑
とらまる公園彫刻の森の石碑より
本町では、無償貸与により20世紀を代表する芸術家サルバドール・ダリ自身の手で制作された彫像9点を、とらまる公園で2年間にわたり公開展示する夢が叶った。それには、谷口幸紀氏の仲介とスペインOCSA社のM・マティアス社長の英断があった。
THE KEY(鍵)1974年
FAUN,MAN-HEAD-HORNES(牧神、人-頭-角)1973年
STEEL MASK-LUCKY CHARM(鋼鉄のマスク-幸運のお守り)1973年
CONDOTTIERE-HEAD OF WARRIOR(傭兵隊長-兵士の頭)1975年
DULCINEA(ドゥルシネーア)1972年
GARA GRADIVA(ガラ・グラディーヴァ)1970年
WINGED TRITON(翼をつけたトリトン)1973年
CARMEN-CASTANETS(カルメン-カスタネット)1970年
2001年
大内町長 中條 弘矩
海外のダリの作品を紹介するサイトで見ましたが、なかなかいい作品ばかりでした。
展示されているうちに見てみたかったです。
いつかまたこの9点が香川の展覧会などで見られるといいなあと思います。
今はダリの作品は一つだけ。
ダリの彫刻が芝生の上にふいに置かれてるというのは、やはり面白いなあと思います。
とらまる公園彫刻の森 かえるちゃん、汐風、弥生
そして、僕はこの下の写真の彫像前で立ち止まって考えたのです。
これはダリの作品ではないのだろうと思うけれど、誰の何という作品かはわかりません。
もちろん、ほとんどの方は気にはしないだろうけれど、名前や作者名がわかったら、もっと身近に感じるし、彫像を見る気持ちも変わるはず。
高松市牟礼の彫刻家、木村英二氏の作品でした。
「ゆかいな六かえるちゃん」という作品名だそうで、確かに「かえるちゃん」が6匹重なっています。
長い間、きっとこちらが正面だろうと思っていた方が、かえるの頭だとわかり、作品を見る角度も変わってくる気がします。
この上の写真は作品名がわかる前のもので、下がわかった後のもの。
自分自身でも無意識のうちに、かえるちゃんを撮ろうとしていました。
かえるちゃんが6匹、と思うと愉快な気持ちにもなってきますね。
芝生のその隣には、中央に穴の開いた作品があります。
これもまた作品名と作者のわからなかったオブジェですが、教えていただきました。
坂本英之氏の「遼遠からの汐風」という作品でした。
坂本氏と言えば、高松駅のクレメント前のフクロウ「森の王様」の作者ですね。
源平の里アートビレッジ〔庵治・牟礼・屋島〕のHPを見ていると、代表作品には
「とらまる公園「森のかくれんぼ」(2003年)」
とあるのですが、実際には「遼遠からの汐風」が設置されています。
「森のかくれんぼ」と換えたのでしょうかね。
この作品も、作品名がわかったので、おそらくこちら側から海を見るのだと思います。
湧く夏の雲を輪の中に入れて見たくなりました。
そのさらに隣の作品については、何となく作者は見当がついていました。
カラフルな原色の模様があるので、これはアキホ・タタでは、と思っていましたが、そうでした。
二つの石で一つなのですね。
「Fantasia・弥生」というのが、どういう意図なのかは、僕には見ただけでは汲み取れませんでしたが、 確かめられてよかったです。
海に浮かび、ウェディング、ごっこ
妙な小見出しになってしまいましたが、作品名や作者のわかる彫刻作品も他に3つこの芝生広場にはありました。
森岡量基氏の「ごっこ」。
牟礼の伝統工芸士で石職人の方なのですね。
最初見た時には食べられている?と思ったけれど、よく見たら笑っていて、遊んでいるように見えてきました。
同じく伝統工芸士の山田正治氏「海にうかび・空を想う」。
これ、知らなかったのですが、よくよく見ていたら、ほとんどの方が香川県の伝統工芸士の方なのですね。
香川の伝統工芸士
香川の伝統工芸|香川県より引用
庵治産地石製品 高松
庵治産地石製品 高松市の東部に位置する五剣山の麓、牟礼町、庵治町で採掘される良質な花崗岩は「庵治石」と呼ばれます。採石の歴史は、遠く平安時代にまでさかのぼり、江戸時代に高松藩の御用丁場となったことから急速に発達しました。彫刻家イサムノグチに絶賛されたことで世界的にも高い評価を得て、現在も200社あまりの業者が軒を連ねます。
岩田一輝(高松市)
森岡量基(高松市)
村井重友(高松市)
白井文雄(高松市)
和泉良照(高松市)
溝渕清美(高松市)
白井保浩(高松市)
村川健一(高松市)
岡田憲一(高松市)
坂本英之(高松市)
藤野収茂(高松市)
千原喬(高松市)
神野淳平(高松市)
落合賢(高松市)
山田浩之(高松市)
木村剛史(高松市)
尾野長伸(高松市)
岡﨑公次(高松市)
伏見英夫(高松市)
大体石の彫刻作品を見かけたら、この中にいそうな気もします。
僕はこの芝生に顔の作品がとても印象的で、とてもいいななと思っています。
反対側から見ると海が背景になります。
僕はうまくいかなかったけれど、うまく口や鼻と雲をあわせれば、と考えてしまいます。
そして、この石像、真夜中になると、地中に埋まっている身体を動かし、起き上がると、とらまる公園の中の動き回り、日の出とともに再び地中に…、ということがあるのかどうかは知りません。
僕は今回一つ失敗していまして、このウェディングという作品だけ写真を撮るのを失念しました。
まあ、前に撮ったからいいや、と思ってしまうのですね。
和泉氏も伝統工芸士の方ですね。
芝生の色が秋から茶色になりますので、緑は夏までです。
美しい緑の芝生広場とユニークな彫刻作品が調和している、面白い場所でした。
とらまる公園彫刻の森 の傍の彫刻作品
そして、僕はてっきりここだけに作品があるのかと思っていましたが、もう少し設置されていました。(これも聞いたからわかったことです)
実はもう閉館してしまったのですが、体育館の横に変わったつくりの図書館がありまして、時折お手洗いを借りていました。
ピラミッドみたいな屋根で、なかなか面白い作りだったのですが、今は事務所になっているようです。
その海側を見ますと、一つ、いや三つの石が置いてあります。
先ほどの時計台の砂場にあったのと同じ作者𠮷田正彦氏の作品で、こちらは「3つの1/2」だそうです。
1/3ではなくて、1/2が三つ。
一つ歩道を隔てたところにあるので、少しわかり難いかもしれません。
そして、もう一つが驚いたことにこの奥に!
ええ?こんなところに、昔からあったの?というお手洗いの裏側ですが、きちんとありました。
ええと、僕はこれを以前どこかで見たような気がします。
もしかして香川の野外彫刻などに詳しい方がおられれば、すぐに気が付くかと思いますが、僕は思い出せず、googleレンズにて探してみます。
すると驚いたことに(本当にこれは驚いた…)、僕の過去のブログが候補に挙げれているではないですか!
ミステリーサークル、とまでは言わないけれど、何のオブジェで、何を表現したいのか等が謎なところ。石で古代生物を表しているのだそうですが、何十年も経てば、これは何だろう、という話になってもおかしくはありません。
恐竜とメタセコイア、神秘的な広場のある公園とジェラート「太古の森と森のジェラテリアMUCCA」より引用
当時は僕が見逃していたのか、太古の森にも作品名のプレートもあるみたいで「スパイラルサークル 𠮷田正彦」とあるようです。
そして、とらまる公園にも、
もしかしたら、香川の中には、いくつもこのスパイラル・サークルがあって、ここに立つと、旅の扉みたいに瞬間移動できるのでは、なんて思ってしまいます。
実際に身体は移動しなかったけれど、一瞬その太古の森のメタセコイヤを思い出しました。
きっと次に太古の森へ行った時には、この夏の太陽と潮風の吹く緑の芝生を思い出そうと思います。
空想の扉、スパイラル・サークル。
とらまる公園の驚きと発見は最後まで続きます。
僕が普段利用していた北側の駐車場ではない、人形劇の駐車場の入口にも、オブジェがあるということなので行ってみます。
おお、ありました。
ちょうど駐車場へ入っていく角のところです。
宮井章裕氏、旧仲南町(現まんのう町)の出身の方なのですね。
ムムム、駐車場の入口にある赤いオブジェ、これもどこかで見たことがあるような…。
道の駅ことなみ(エピアみかど)の駐車場ですね。
宮井氏のことを調べていると、かがわ・山なみ芸術祭の作者サイトがあって、これも宮井氏の「無限」という作品なのだそうです。
当時はちょっとデザインのかっこいい案内表示、くらいに思っていて、気が付かなくて、本当に申し訳ありません…。
しかし、道の駅に行く度、とらまる公園に行く度、思い出すことにします。
さて、見慣れたはずの彫刻作品も、いろいろ角度を変えて見ることで、新しい発見があるのだなあ、と思いました。
過去にブログで紹介した五色台高松駅、牟礼、庵治、三木、さぬき市、東かがわ市、鳴門市にかけては、海沿いに屋外彫刻作品がずらりと並んでいます。
(もちろん西側にもあるが、密集という意味ではこちらの密度が高いと思います)
景色や花のように変わるものではなくて、いつでも行けば見られるものだから、是非「彫刻海岸」みたいに、彫刻をテーマにした観光ルートになればいいなあと思います。
新しく発見するより、あるものを見つける方が早いですよね。
僕の知らなかった香川が、ここにもあったなあ、と思いました。
お近くに来られた際には、是非立ち寄ってみてください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。