さて、旅の記事も書き終えたので香川のことをまた書いていこうと思います。
今回は 八栗寺中将坊天狗絵図 についてです。
2020年のお正月も穏やかで暖かでしたね。
いつもであれば「初詣にどこに行く?」と家族と相談するところですが、今年は違いました。「天狗を見に八栗寺に行きます」と宣言し、1月2日に行ってきました。
とても混んでいましたが、見たかった中将坊天狗の絵図を見られてとてもよかったです。
もし四国八十八か所霊場第八十五番札所、香川県高松市の五剣山八栗寺や、八栗寺のお正月・初詣の様子、 八栗寺中将坊天狗絵図 のことなどに、もしご興味がおありでしたら、どうぞお読みください。
※注意書きがない場合を除き、全て2020年1月の画像です。
なお、この記事全体の文字数は8273字です。
目次
五剣山八栗寺の場所と行き方
八栗寺は高松市の東部、屋島からさらに東の牟礼町にあります。
僕は高松市に住んでいるので、高松市内から車で行きます。
国道11号線屋島交差点辺りが少し混んでいるのか、いつもよりやや流れが悪いですが、約20分でコトデン八栗駅の踏切を通過です。
ほとんどの方が八栗ケーブルの登山口駅付近の駐車場を目指して車で訪れています。
公共交通機関だと、コトデン志度線八栗駅やJR高徳線古高松南駅なんかもあるけれど、この日あまり歩いてきている方は見かけませんでした。
東側には細い裏参道もあるけれど、お正月の期間は通行止めにしているとのことでした。
王墓の交差点を左折し、踏切を超えて右折します。
ちょうどうどん本陣山田家さんへ行く方角と一緒ですが、麓の交差点には看板を持った係の方がいて「山田家待ち時間3時間」としていました。
うどん一杯で180分とテーマパークみたいになっていました。
僕は以前に八栗寺に初詣に行ったことがあるので、渋滞は予想していました。
大体同じ場所で停まるので、かかる時間も大体同じです。
お正月の八栗さんはとても混んでいる
普段はそうでもないのですが、お正月の八栗さんはとても人が多くて、混んでいます。
どのくらい混んでいるかというと、八栗ケーブルの麓の駐車場にたどり着くまでに、車で30分ほどかかります。
1月2日の13時半頃にこの道に入り、駐車場に着いたのは14時過ぎでした。
もちろんこんぴらさんほどではないにしても、車ではこの道しかないため、坂道でじっと待たなくてはいけません。
実際にはどんな感じかと言えば、こんな感じです。
上り坂になっていて、前後に車があるので、少し気を遣うけれど仕方がないところです。
左右に参拝客用の無料駐車場があり、今回は左の駐車場に停めました。
画像は右の駐車場に入る車です。
係の方が誘導してくれるので、駐車場へ行けば開いていることろを教えてくれますが、お隣との間隔は狭いです。
最後にまた書きますが、16時頃には車の渋滞も行列もなかったから、ちょうどこのくらいの時間までがピークなのだろうと思います。
お正月の渋滞や混雑を避けたい方は夕方もよいかもしれませんね。
子どもが小さかったり、お年寄りがいる場合にはケーブルに並んでもよいけれど、僕は表参道を歩きます。
(奥さんと子どもはぶつぶつ言っていたけれど)
ずっと上りが続くけれど、約20分ほど歩けば八栗寺へ着きます。
ケーブルカーに乗る方が多いのか、表参道を歩き始めると、やや人が少なくなります。ケーブルカーの中は満員です。
目の前にはポコポコとした山が4つ見えまして、あれが五剣山です。
五剣山なのに4つなのは、一つ地震で崩れてしまったからだそうです。
行き交うケーブルカーを横目に歩いて登っていきます。
八栗寺表参道 寅さんの思い出
八栗寺の表参道にも面白いものがたくさんありまして、まずはよもぎ餅のお店。
こちらは「男はつらいよ 寅次郎の縁談」の撮影で使われたスポットとなっていまして、よもぎ餅を販売しています。
第46作でヒロインは松坂慶子さん。高見島や志々島、こんぴらさんが舞台のお話です。公衆電話で電話するシーンの撮影がここで行われたそうです。
毎回来るたびに思うのですが、お正月に来ると、本当にその辺から寅さんが出てきそうだなあ、という感じ。
そう、そう、今年のお正月は寅さんがスクリーンに帰ってきました。
僕はちょうどこの翌日に観たのですが、映画館内は噂通り高齢の方でいっぱいです。
そして映画が始めると、皆さんのすすり泣きの声が…。
僕も最初から最後まで(本当にそんな感じ)、涙が止まりませんでした。
でもそれは僕だけでは無くて、隣に座ってた知らないおじさん(僕よりはだいぶ年上)も、同じところでずっと涙を拭っておられました。
寅さんをお正月の映画館で観たのは本当に久しぶりで、懐かしくて「ああ、寅さんがいる…」という、それだけで何だかよかったです。
八栗寺には全く関係ないのですが、寅さんの思い出を一つ書いておこうと思います。
僕がまだ学生の頃でしたが、高知で山田監督の講演会が開催されたことがありました。
高知は意外にも寅さんが撮影で訪れたことがない県の一つだったそうで、渥美さんが亡くなって間もなく、誘致する会が山田監督を招いて催した会だそうです。
監督のお話を聴き(これも撮影時の味わい深いお話で、聞けてよかった)、その後質問コーナーになりました。
この辺りは県民性と言うか、その土地柄があるもので、高知の方は何人か真っ先に手を挙げて質問されていました。(かがわだと手は上がらないことが多いですよね。目立つのがいやなのかな?)
僕も質問する内容は決めていたので、結構最初に手を挙げたのですが、二番目だったか、司会の方が当ててくれました。
「そこの若い方、どうぞ」
「同世代なので教えてほしいのですが、ミツオ君とイズミちゃんはその後どうなったのでしょうか?」
会場からやや笑いがおきます。
「そうだねえ、どうなったかなあ…。きっと幸せになったと思います。実際には海外で結婚しちゃったけれど…(笑)」
と山田監督は答えてくれました。
いやあ、今思うと随分野暮な質問だったかなあと思うのだけれど、本当に親切に答えてくれました。
そして、僕にとってはこのお話には少し続きがあります。
この後に就職活動をするのですが、その面接の際「最近興味を持ったことは何ですか」と聞かれた際に、このエピソードをお話しました。
面接してくださった方も寅さん好きだったようで、「監督は何て言っていたの?」ととても興味を持って聴いてくれました。
ありがたいことに、それをきっかけにそのまま面接と試験を通り、その会社で内定をいただけました。
その後にはかがわにも来られたし、いろいろなことを学べたのは本当に幸運でした。
なので、また寅さんがあるならば(もう当時はそんなことはないんじゃないか、という雰囲気で満ちていたが)、その続きを見られればよいなあとはその後も思っていました。
そしたら、今度の映画はほんとにそんな感じで、しみじみといい映画をみたなあとあたたかい気持ちになりました。物事って、意外とはっきりしないところにも良さがありますね。
かがわには、もう少しその当時撮影で利用された場所があるので、また訪れてみたいなあと思います。
※この後、小豆島の富丘八幡神社や、鳴門の四方見展望台なんかにも行きましたので、よろしければあわせてご覧ください。
さて、横道にそれましたが、八栗寺に戻ります。
よもぎ餅は帰りに買いました。(5個入600円 何と2016年から変わっていませんでした)
少し上り始めると、背後には屋島が見えました。
そして目の間には五剣山が広がります。
屋島も同じようなところがあるのですが、五剣山も海から見るのとここから見るのでは、全く印象が異なります。
何というか、そこだけとんがった帽子の先のような形をしていて、とても目立つのですが、4つも峰が連なっているようには見えないです。
東から見てもこんな形に見えるから、やはり不思議な感じがしますよね。
結構急な勾配になっているところもあるので、ふうふう言いながら皆さん登っています。
表参道沿いには石仏が並んでいます。
足を止めて手をあわせて行きたくなります。
八栗寺はお寺ですが、鳥居があります。
こちらは公式サイトの「よくある質問」に説明がありました。
Q.鳥居があり、お詣りする時に手をたたくのはなぜ?
A.
【公式Webサイト】よくある質問|第85番札所 五剣山観自在院 八栗寺より引用
八栗寺は「寺」ですが、聖天堂にはインド伝来の天尊「お聖天さま」もお祀りしているからです。
ふむふむ、お寺であるけれど、「お聖天さま」も祀っているから、鳥居がありますよ、という説明なのですが、わかったような、わからないような…。
周囲に背の高い木が増えてきます。本当であればお正月だから寒い中歩くのだろうけれど、暑い、と汗が出て、上着を脱ぎたくなるような陽気でした。
八栗寺のもう一つの見どころは石です。
周囲が庵治石の産地なので、何から何まで綺麗な石でできています。
座るところも石、案内図も石、という感じ。
子どもはそうでもなかったのですが、奥さんが徐々に遅れだして、荒れ地の魔女が坂を上っているようになってきました。
しばらく2人で待つのですが、「そうやって追いついた途端に先に進まれたら休めない」と言っています。
確かに、先に行った方は一度立ち止まって休んでいるけれど、ゆっくり登ってくると、休む間もなく歩き続けることになります。
しばらく休憩しました。
もう少し上がっていくと「賽の河原」という場所に着きました。
公式サイトの説明によると、
「ここは、人間界と聖地の境目と言われています。」
だそうです。
もうこの辺りまでくれば、本堂までもう少しです。
カーブを登りきると、開けた場所に出ました。
お迎え大師と二天門
この付近は最近になって整備された場所のようなので、昔からあった、という場所ではないようです。
この石碑の説明には、平成22年とあるから、10年くらいにはなるようです。
この辺りの石の説明版にも、綺麗な石が使われています。
お大師さんの像があるので、拝んでみたくなりますね。
日が傾いていて、ちょうど南西の方向に太陽があるので、眩しくて仕方がないのですが、見てみます。
おっとりとした穏やかな表情でお迎えしてくれます。
その背後には、古高松の街並みが綺麗に見えました。
お正月に、こんな穏やかな風景が見られると、何だかほっと安心します。
お迎え大師から二天門へ続く参道沿いには、いくつかの石仏がありました。
そして再び階段を上ります。
遠かった五剣山が徐々に目前に迫ってきます。
あの山に登るわけではないので、八栗寺本堂はもうすぐそこです。
アイスクリンやサイダーなど、子どもが欲しそうに見ています。
小さい頃に連れてきて、一つ一つのお店につかまって、買うのだけれど食べきれなかったことを思いだしました。
今でも何となくほしくなるのだそうです、不思議なものですね。
旅館岡田屋さんを過ぎると、鳥居が見えてきます。
その先には二天門がありました。
15時近くでしたが、まだこの辺りまで本堂にお参りされる方の列がありました。
16時近くになるともう列は減っていたので、ちょうどこの時間くらいまで混雑しているのだろうと思います。
混んでいたので、本堂も帰りに参詣することにします。
まずは先に中将坊堂へ。
中将坊堂と八栗寺中将坊天狗絵図
二天門を超えて、本堂や聖天堂に近づくと、
「五剣山天狗絵図 中将坊堂内にて公開しております。」
と案内がありました。
よかった、やはり公開されていたのですね、天狗絵図。
まだ行列の続く本堂の脇を抜けて行くと、中将坊堂の鳥居があります。
ここからまた階段があって、少し上らなければいけません。
「どうする?行くん?」「階段やで」
なんて会話が聞こえてきそうですが、ここを行かねばみられません。
まあまあ急な階段ですが、そんなに延々と続くわけではありません。
鳥居を超えれば、もう一息です。
僕は写真を撮りながら上がるので、先に行ったけれど抜きつ抜かれつ、みたいな感じになってしまいます。
お堂が見えてくると、参詣されている方がここでも列になっていました。
なかなか全体をうまく捉えられていなくて申し訳ないのですが、険しい岩肌の傍に建てられていました。
お堂には、中将坊のお面がかけられていいました。
中将坊天狗ってどんな方なのか、気になりますよね。
本堂後方に鎮座する中将坊堂。その本尊は中将坊さまで、讃岐三大天狗の一人です。天狗は修行者の象徴であり、八栗寺が古くから山岳修行の場所であった名残りといえます。また、中将坊さまは七福神のひとつである大黒天の生まれ変わりであり、大黒天のご真言「オンマカキャラヤソワカ」と唱えます。
~中略~
なお、讃岐三大天狗とは中将坊と白峯山の相模坊と金毘羅山の金剛坊です。
公式Webサイト】八栗の天狗さま|第85番札所 五剣山観自在院 八栗寺より引用
特に天狗に詳しいわけでも、興味があるわけでもないのですが、「讃岐三大天狗」と言われると、何となく見てみたい気がしていました。
それぞれ少し小高い嶺で、威厳を称えながらおられます。
讃岐の三大天狗、流行るということはないだろうけれど、何となく雰囲気がよいですよね。
そしてその先には、今回の目的天狗絵図がありました。
行った当初は読経をされていたので、少し遠いけれど外から写真を撮っていました。
もしかしたら、この後人が少なくなるかな、なんて思っていたら、お寺の方が
「今日はお正月なので、お堂の中へもどうぞ。写真もいいですよ」
とお声をかけてくださいました。
ムムム、これは嬉しかったです。
同じように思っていたのか、隣の女性の方も一緒にお堂に上がらせてもらいました。
お堂の中に入って写真を撮るのははじめてなので、少し緊張しました。
それでも、天狗絵図を間近で拝見できて、よかったです。
真ん中が中将坊さんでしょうか。
こうしたわかりやすい図絵にしてくれると、イメージがつかみやすくて親近感が湧きます。
その上には奉納されたお面などが飾ってありました。
こちらも近くで見ると、とても大きくて迫力があります。
なかなか普段見られないものを見られたような気がして、何だか嬉しかったです。
お堂の奥の崖には、ひっそりと石仏が建っています。
こちらは昔から大事にされてきた石仏なのでしょうね。
こちらもひっそりとした中に佇む雰囲気があって、見られてよかったなあという気持ちです。
名残り惜しいけれど、中将坊堂から降りて行きます。
降りる途中から見上げた方が、全体像がわかりやすかったです。
賑わう八栗寺境内
中将坊堂から下りていくと、鐘楼堂があります。
皆さん列を作って鐘をつかれていました。
普段誰もいない時には、なかなか勇気が出ませんが、これだけ並んでいるとついてみようかな、と思うのでしょうね。
続いて聖天堂の前です。
まだ本堂への列が続いていましたが、来た時ほどではなかったです。
こちらの聖天堂では「歓喜天」が祀られています。
皆さん良縁や商売繁盛の祈願をされていました。
かがわさんが何度か
「ここのおみくじは当たる」
と言っていたので、信仰を集めているのでしょうね。
少し八栗ケーブルの参道も覗いてみます。
お正月は縁日で賑わっていて、中将坊堂から先に下りた奥さんと子どもはりんご飴とフライドポテトなんかを食べていました。
それが初詣の楽しみなのだそうです。
その間には、木食以空上人像や、
地蔵堂 などがあり、熱心に手を合わせている方もおられます。
何となくこういう信仰と楽しみみたいなものが混ざり合っているから、初詣というのが成り立っているところがあると思います。
お正月にお寺で歩いたとか、何かを食べた、周りの雰囲気はこんな風だったというのは、大人になっても印象に残っているものね。
本堂前の人影がまばらになってきた頃、お参りを済ませ、そろそろ帰ります。
あんなに長い列だったのに、ちょっとしたタイミングで変わります。
行きにはよく見られなかった二天門をもう一度見てみたい、と立ち止まります。
正面から見て左側。
「持国天」と「多聞天」がおられるというのですが、どちらがどちらかはっきりわかりません。
一度お寺の方に尋ねようと思っているのですが、いつも忘れてしまいます。
ここから見上げる五剣山も素敵な感じでした。
別に意図してそうしているわけではないのですが、この時間になると家族連れよりも、若いカップルの方なんかが増えてきました。
確かに、わいわいしている中より、しっとり静かな方がよいのかもしれません。
奥さんが立ち止まり、
「これ撮っておいたほうがええよ、変わった石」
というので撮ったのですが、なんだろう?というままの変わった石です。
石仏なのだろうと思います。
駐車場に近くなると、ケーブルカーが再び見えてきました。
よもぎ餅のお店に立ち寄り、一袋購入しますと、僕がケーブルカーを撮っている間に、二人はその場で食べ始めました。
僕は帰ってからたべれば、と思うのですが「このお餅はいつも美味しいね」なんて言っていたので、その場で食べたりするのがきっと好きなんだろうね。
あんなに人が多かった登山口も混雑する時間が過ぎると、少なくなっていました。
駐車場も同様に空きが多くなっていました。
もし時間にこだわらなければ、このくらいの時間もよいかもしれませんね。
- 四国霊場八十八カ所 第八十五番札所 五剣山観自在院八栗寺
- 公式サイト: http://yakuriji.jp/
- 住所:〒761-0121 香川県高松市牟礼町牟礼3416
- 電話:087-845-9603
- 駐車場:普通車250台 無料(午前7時から午後6時)
さて、これで八栗寺の初詣に行き、中将坊天狗絵図を見たお話は終わりです。
他にも有名なイチョウや菩提樹など、結構自然も多いところので、季節によっても楽しめるなあと思います。
帰りにうどんも食べられるので、是非近くにお越しの際には立ち寄ってみてください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みくださり、ありがとうございます。