小豆島の作品中山・屋形崎 周辺について書いておこうと思います。
春に三都半島を訪れ、その後夏に二度、秋に二度小豆島へ行き(いづれも高松から日帰り)、小豆島の全ての作品を巡りました。
先にどの場所に作品があって、どんな雰囲気かはさらっと書いたので、今回は行った順(時系列)ではなく、エリアごとに作品をまとめてみます。(やり始めて、その煩雑さに驚愕しているのですが…)
中山千枚田、竹の作品「ゼロ」、こまめ食堂でのランチ、「猪鹿垣の島」、道の駅のダイナマイト・トラヴァース 、屋形崎の「はじまりの刻」を、この記事では紹介します。
瀬戸芸の会期終了後にも公開されている作品があるので、ご興味がありましたら、どうぞお読みください。
【INDEX】
- フェリーうどん
- 小豆島の作品中山 sd44 ゼロ
- こまめ食堂
- 小豆島の作品 肥土山 sd06 猪鹿垣の島
- 小豆島の作品 北浦 sd38 ダイナマイト・トラヴァース変奏曲
- 小豆島の作品屋形崎sd43 はじまりの刻
- 帰りは池田港19時の便
フェリーうどん
高松港からの出航を見ていたら、何となくうどんが食べたくなりますよね。
最初に書くべきか迷うところですが、やはり書いておかないといけない気がしますので、書いておきます。
瀬戸芸で小豆島をまわる際に、一番迷ったのは昼食です。
奥さんは美味しいランチが食べたい、という希望があり、僕は一つでも多くの作品を見たい、ということで、大体いつも「どうする?どうする?」と言ってきます。
ある時の答えは「フェリーでうどん」でした。
いやあ、小豆島に行けば、何か美味しいものがたくさんあるでしょ?と思うかもしれませんが、週末や連休の時などは、予約ができないこともありました。
食事は二の次という方や作品をたくさんまわりたい、そんな方にはフェリーうどん、おすすめします。(もちろん、うどんを「おやつ」に食べて、小豆島でまた食事しても全くオーソドックスな方法です)
小豆島のフェリーにはうどんがありまして、国際両備フェリー、第一こくさい丸のメニューはこんな感じでした。
わかめ、きつね、月見、ミックス、肉、だしカレーの6種類。
今回は僕は「わかめ」奥さんは「肉」にしました。
毎回書くけれど、フェリーで食べるうどんは美味しいです。
うどんを食べ終えると、何となくコーヒーも飲みたいですよね。
夕方の便になると、売店は閉まっていました。
もし高松港-池田港の航路で「フェリーうどん」を召し上がるなら早めの方がいいですよ。
うどんとコーヒーをいただいて屋外デッキに上がると、半分ほど来ていました。
潮風になるけれど、毎回この場所は涼しかったです。
出航から1時間ほどで小豆島、池田港に到着です。
小豆島の作品中山 sd44 ゼロ
瀬戸芸の小豆島の中でも、特に人気があって、開催されるたびにこの作品を楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
今回は夏会期からの公開で、訪れるのを本当に楽しみして、待っていました。
臨時駐車場はほぼ満車で、第二駐車場の方へも係の方が誘導していて、多くの車が行き交っていました。
もうこの辺りから「わあ!」という気持ちになりますよね、
僕はここで瀬戸芸の作品を見るのは4回目。
毎回地域の方と協力しながら、素晴らしい空間を作って見せてくれます。
今回のタイトルは「ゼロ」だそう。
タイトル「ゼロ」には、過度な破壊がなかった原始に近い地球に戻れるようにという思いが込められている。
小豆島 | 瀬戸内国際芸術祭2022 より引用
瀬戸芸の期間が終わると、毎回解体しているので、会期外には見られません。
三年に一度、この場所に出現するアート作品です。
この辺りから、胸の高鳴りが抑えきれず少し興奮してしまうのですが、坂があるので、どうぞ落ち着いて行ってください。
イノシシの被害が多いのか、ゲートの開け閉めを徹底するよう呼び掛けられていました。
田んぼがあるから、ここからイノシシが入らないように、とても気をつけておられました。
わあ、これは綺麗、素敵な景色です。
下りていくたびに目線が変わっていくので、作品に着くまでの坂もとても楽しいです。
(何より下りなので)
そして、見上げると空にまで続く緑の田園、中山千枚田が広がっています。
二つ目のゲート、人が往来しているので開いていましたが、開け閉めを管理するの大変だろうなあと思っていると、
地元のボランティアの方でしょうか、テントを開いておられました。
少し話をしました。
「毎回ここはすごい人気ですね」
「おかげさまでようけ来てくれとる」
「イノシシ大変ですね」
「そうなんよ、ここで番しとらな入ってくるんよ」
作品もそうですが、田畑や景観を守るために大変な努力があるのだなあと思います。
僕らは作品を見たら、また次の場所へ行ってしまうけれど、ここにお住いの方にはここでの生活があって、仕事や営みがあります。
当たり前だけれど、その中で毎回作品が出来ているというのは、本当にすごいことで、「作品を見られる有難さ」を強く感じます。
「暑い中お疲れ様です」とお声をかけ、作品へ向かいます。
ここの辺りも小川が流れる音が「コポコポ…」としていて、気持ちがよかったです。
もし、あとから2022年夏の瀬戸芸を一つ思い出すなら、ここがいいです。
検温のスポットはありましたが、受付はもう少し奥の方にあります。
観賞の注意事項がありました。
・作品鑑賞時注意事項 竹は滑るので、歩く時に気を付けてください。
・受付した後に、靴を抜いでから上がってください。
確かに、竹はとても滑ります。
中へ入って行きますね。
竹を割って組んであります。
大きな籠の中に入ったような気持ちになりますね。
日が当たるよりも影の部分が多く、風が吹き抜けていくので、とても爽やかです。
「こちらで受付お願いします」
中に入ると、こちらからは撮れないので、先にパスポートを出して、もう一度戻って撮る、という作業が必要です。(一方通行の作品は結構ありました)
来た、来られたよ、今回も。
わあ、空間が広いです。
靴置き場に靴を置き、竹の床が一つ段になっているので、そこに座ったり、寝そべってみたり、皆さんとてもリラックスされています。
中央の穴が開いた部分から陽が差しているので、その陽ざしの下で座禅?をしている方も!
確かに、あそこならば何か悟りを開けるかもしれません。
僕も後で座ってみましたが、頭が暑い…。
やはり4000本と言われる竹の影が、この場所を爽やかに保っているのでしょうね。
「雨の日はどんな感じですか?」
「この間みたいに強く降ると、ぽたぽた雫が流れてきて濡れます…」
(※この作品は会期終了とともに閉鎖されています)
靴下があると、少し滑るから、素足でいると、青竹踏みのような感触でした。
一つ小窓のようなところがありました。
あ、バス!と思って撮りましたが、もう行ってしまいました。
ちょうど春日神社前のバス停があるところですね。
一番良いところから景色が眺められるようになっていました。
外を少し覗いただけでも、虫の声や鳥の声が聞こえてきます。
音もある程度遮られているのですね。
混みあっているという感じではないけれど、次から次へと入ってきました。
ここにずっといたい気もするけれど、そろそろ交替しなければいけません。
帰り道も迷路のように下に回り込むので、ここも毎回楽しみです。
間違ってこちらから来てしまう方もいるのでしょうね。
今回の作品も、とても印象に残りました。
瀬戸芸のたび、ああ、またこの中に入れると思うだけで、嬉しくなりますので、影響力の大きい作品なのだなあと思います。
次回は三年後、また楽しみにしています。
続いて作品と棚田の向こうにある建物に向かいます。
こまめ食堂
ゼロからすぐ近くにある「こまめ食堂」でランチを食べました。
「あら、季節が違うのでは?」と気が付いた方はとても鋭い。
ゼロに行ったのが8月、こまめは10月、時を超えてブログをまとめています。
この方がこれから行こうとする方、3年後に来る方にはわかりやすいかなと思います。
(そのせいで、とても書くのに苦労するのだけれど)
稲刈りが終わった後、「ゼロ」を見ると、少し異変が。
上が凹んでいるような気がします。
他の方の動画を拝見したら、少し屋根が落ちて補強したような映像がありました。
何とか会期末まで持ち堪えたのでしょうか。
こまめ食堂は、フェリーに乗ってから、電話で予約しました。
事前予約は出来ず、当日9時~11時の電話受付のみでしたので、9時過ぎに電話したら運よく繋がりました。
予約の時間、注意事項などを教えてくれます。
ちょうど一つ前の時間の方が食事を終えて出てきます。
訪れた方がゆっくり過ごすには、この方式がよいのかもしれませんね。
時間が来ると、係の方が名前を呼んでくれます。
先に注文とお会計をしますので、一緒におやつのケーキをお土産に買いました。(前に後で、と思って売り切れてしまった…)
少し日に当たるけれど、気持ちが良いから外のテラスにしました。
「虫が…」と奥さんは心配していましたが、僕は全く気になりませんでした。
窓を開けているから、結局一緒な気もします。
奥さんはそうめん定食、
僕は棚田のおにぎり定食にしました。(結局前と同じ)
魚一匹のまるごと揚げが出てくるので、僕は美味しくていいのだけれど、奥さんは毎回「多い…」と言っています。
どちらもとても美味しいのですが、ボリュームがあるので、お魚苦手な方はご注意ください。
ワンさんの作品を目の前に、棚田を見ながら食べるランチ、とても美味しかったです。
この上の方にある「湯船の名水」のお水とありました。
店内には、屋内の席もあります。
この机が三列あって、他の方と相席になることがあります。
2019年も、今回も、海外の方がおられたので、人気があるのでしょうね。
結局1.5時間ほど滞在したので、お腹と旅程にゆとりがある時に行かれると良いですよ。
続いて、少し西側にある作品へ行きました。
小豆島の作品肥土山 sd06 猪鹿垣の島
実は2019年にこのエリアに来たのですが、プールの作品だけを見て、猪鹿垣の島には寄らなかったのですよね。
あとから後悔して、行っておけば、と何度思ったことか。
なので、今回は訪れてみました。
この辺りも、とても美しい場所で、人は少ないけれど、虫や鳥の声が響いています。
西側には小豆島大観音が見え、
東側の川沿いには、肥土山農村歌舞伎舞台が見えます。
ここからずっと川沿いを歩いて行くことができるのですよね。
僕は一度仕事で訪れ、スーツ姿に革靴でこの道を歩いたことがありますが、今思うと、とても非日常的な姿に見えたでしょうね。
当時も「ここはスーツじゃないな…」と思ったのを思い出しました。
2013年の芸術祭で約200年前に築かれたとされる小豆島特有の猪鹿垣を復興。そして2016年にピラミッド型の石積みも加わった。小豆島の固有文化を再現する試みだ。
小豆島 | 瀬戸内国際芸術祭2022より引用
猪鹿垣の島、お城が出来ていました!
これを前回見ていなかったのですよね。
2013年、まだ工事中のような感じでしたが、
2016年、まだ何か作るのだろうか、と思って見ていたら、
この上にお城が出来たのですね。
周囲も整備されて「猪鹿垣の島」という感じになっていました。
何年もかけて、こうして作品が出来上がっていく様を見られるのも、瀬戸芸の良いところのひとつです。
前回見られなかったので、今回見られてよかったです。
駐車スペースもあり、会期終了後も常時展示されていますので、近くへ行った際には立ち寄ってみてください。
小豆島の作品 北浦 sd38 ダイナマイト・トラヴァース変奏曲
肥土山、中山地区から車で小豆島の北側、岡山側に面したエリアへ向かいます。
福田港へ続く県道沿いに、道の駅港オアシスがあり、そこに「大阪城残石記念公園」が併設されています。
一見普通の道の駅に見えるのですが、ここにも瀬戸芸の作品があります。
時折テレビでも石の加工体験が道の駅、という特集で出てきますよね。
こちらが展示されている作品です。
チチブアバンギャルド、面白い名前です。
作品の解説もすぐそばに設置されていました。
この作品は解説を読むと、なるほどと思います。
ダイナマイト・トラヴァース変奏曲 2016 黒御影石にレーザー加工、 小豆島産花崗岩 Chichibu Avant-Garde (Japan) Dynamite Traverse Variations 2016 Laser Processing on Black Granite. Shodoshima Granite ダイナマイト・トラヴァース変奏曲は、秩父前衛派が秩父の山「武甲山」の研究をおこなう過程で構想されたもので、制作の過程では実際に武甲山のダイナマイトの音を聴きながら山に登り(トラヴァースし)、そこで発見したアイデアを図形楽譜にしています。作品に使用している石は、小豆島の石切り場から運んできたものです。石の配置は方位と陰陽五行説の相生に基づくもので、環境や再生を根源的テーマとしています。この図形は見るだけの作品ではなく、実際に展示場所で演奏&パフォーマンスをする目的で制作され、瀬戸内国際芸術祭2016の期間中に2度パフォーマンスをおこないました。
実際に演奏を2度されているのですね。
いやあ、これは一度聞いてみたいです。
そして、この石の配置にも、意味があるのですね。
解説を読むと、置き方にも目がいきます。
確かに不規則のようだけれど、何か方向に意味があるのでしょうね。
石にち近づいて、よく見ると何かが刻んであります。
これが「図形譜面」というのになるのでしょうか。
ここにあれば、またいつか演奏ができるだろうから、瀬戸芸のパフォーマンスとして演奏してくれたらいいなあと思います。
作品の向こう側は海でした。
残石についての資料館があるのですが、その奥には大きな舞台がありました。
扉が開いていて、少し中が見えました。
大きな獅子や歌舞伎の人形があったので、何かの行事で使うのでしょうね。
作品自体は石のやや地味な作品ですが、なかなか景色の良い場所なので、見ることが出来てよかったです。
道の駅なのでより安いし、常時展示されているので、近くへ来られた際には、見に行ってみてください。
小豆島の作品 屋形崎 sd43 はじまりの刻
道の駅から、少し引き返す方向になるのですが、こちらは夕陽が美しいというエリア、屋形崎にあります。
これまでも行ってみたいなあとは思うものの、なかなか車を停めるスペースがわかりませんでした。
しかし、今回駐車場が整備されていて、車が停めやすくなっていました。
(県道が坂になっていて、なぜか皆さんスピードを出す場所なので、少し注意が必要です。なんでここあんなに飛ばすのだろうか…)
夕陽にはやや早い時間でしたが、日没までいると船に乗り遅れるので、なかなか難しいところです。
すぐ近くに オリビアン小豆島 夕陽ケ丘ホテル があるので、ここに宿泊される方は歩いて見に来られますね。
下から歩いて行くと、何か白い球体が見えてきました。
あれが作品でしょうかね。
高さ3.7m、幅2.4mの陶でできた作品。卵には草が生えて命を宿す。
小豆島 | 瀬戸内国際芸術祭2022より引用
なるほど、陶器でできた卵の作品なのですね。
夕暮れを待っているのか、大きなカメラを抱えた方が何人かいました。
確かに、2022年の夏から公開された新作だし、夕陽と綺麗にあいますね。
卵に近づいて見ると、本当だ、割れた隙間から僅かに草が生えていました。
伸びて成長していくのか、それとも途中でカットするのか、その辺りもこれから楽しみですね。
夕陽も素晴らしいけれど、アート作品を置くことで、より多くの方がその場所に関心を寄せてくれたり、行ってみてまた来たい場所だと思ってくれるような、そんな場所になりそうです。
そういう点でも屋形崎エリア「はじまりの刻」なのかもしれませんね。
下りて行くと、ブランコが設置されていて、道路の向かいにはお店もありました。
この作品は会期外も常時展示されているので、新しい観光スポットになる気がします。
お天気の良い夕方、お時間のある方は是非立ち寄ってみてください。
さて、4つの作品でしたが、このエリアだけでも3時間ほどかかります。
元気があったら、土庄港周辺の作品、もしくは福田港周辺の作品と組み合わせて1日でまわることもできるかな、と思います。(朝から晩までという感じになりますが)
僕はエンジェルロードとかに行かないけれど、そちらを昼に、こちらを午後から、としてまわっても行きやすいかもしれません。
帰りは池田港19時の便
高松へ帰る際に、池田港を19時発の便に乗れるとうので、往復を買いました。
これまでは危険物の搭載が、ということがあり、一般車は乗れなかったのですが、この夏からOKとなりました。
クレジットカードも使えるので、4回のうち3回はこちらの航路を利用しました。
まだ知られていない時期だったのか、乗客は少なめです。
しかし、遅い出発になるので、日の長い時期には助かりました。
「しまぞう」でしたが、船内はがらんとしていて、快適でした。
残念なのは、売店が閉まっているので、うどんが食べられないところ。
それではアイスでも、と思って自販機にいくと…、
多くの方(子どもが多い)が、自販機のボタンを押して「出ない、出ない」とやっています。
3回乗ったけれど、3回ともアイスは売り切れ…。
ピノとかパルムが先に売れて、この日はバニラだけのジャンボもなかだけが残っていました。(別の日は全て完売…)
売店が閉まっていたら、逆に何かほしくなるのでしょうね。
さて、今回はエリアごとに書いていくつもりなので、今回はここで一区切りです。
次回は西側の寒霞渓、福田港周辺のことを書いてみたいと思います。
もしよければ、またご覧ください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。