柴又帝釈天へ行くことは、長い間の夢でした。
行こうと思えば、いつでも行けるという場所ではあるのですが、どうしてもそこに行かなければいけない、という用事もなく、電車を乗り継いで行かないといけないという地理的なこともあってか、なかなか行く機会がありませんでした。
今回は妹の子どもが生まれたので、これは伯父さんとして会いにいかねばなるまいと、会いに行き、その帰りに柴又帝釈天へお参りしに行きました。
柴又駅に着いたときから、映画の中にいるような気持ちになる、すばらしいお参りだったので、少しそのことを書いておこうと思います。
映画「男はつらいよ」の舞台となった葛飾柴又駅や、柴又帝釈天、帝釈天の参道などにご興味のおありの方の参考になれば、幸いです。
目次
- 高松から羽田へ
- 柴又帝釈天の場所
- 柴又帝釈天へ 京成金町駅から
- 柴又帝釈天へ 柴又駅のホーム
- 柴又駅の名場面集
- 柴又駅前
- 柴又帝釈天へ 帝釈天参道
- 柴又帝釈天へ「とらや」は北か南か
- 柴又帝釈天 二天門
- 帝釈天の境内
- 江戸川河川敷へ
- 矢切の渡し
- 柴又亀家本舗で草だんご
高松から羽田へ
今回、僕は高松から飛行機で羽田へ行きました。
柴又帝釈天とは関係ないのですが、高松空港出発から書いておこうと思います。
少しマイルを消化したくて、「いっしょにマイル割」を使いたいのだけれど、週末はいつも満席になっていて、行きは朝一番の便、帰りは昼過ぎの便となりました。
まあ、この方法が羽田往復では最も安いからね…
JALは同様のサービス「おともdeマイル割引」が昨春なくなったので、たぶんJALはどうしてもという以外乗らないと思います。
音楽評論家田家秀樹さんが曲を解説してくれていて、面白かったです。
雨だったけれど、雲の上は穏やかでした。
羽田空港第二ターミナルに到着です。
長い距離を歩いて、そのまま京急に乗車しました。
若い頃には気にならなかったけれど、飛行機から降りて列車に乗って、乗り換えて、と機械的に目的地に向かうのですが、押し出されるように歩くのですよね。
柴又帝釈天の場所
実家から甥に会って、その後に柴又を目指します。
皆さん葛飾柴又ってどこにあるかご存じですか。
僕は知っているようで、よく知りませんでした。
セリフとしてはとてもたくさん聞いているのに。
東京の北東部、千葉県松戸市との境にあるのですね。
羽田は南の神奈川との境だから、羽田から柴又へ行くとちょうど東京を横断するように行くことになります。
「青砥」や「印旛日本医大」行きに乗り、京成高砂で乗り換えて行くと、1時間ほどで行けるようです。
僕は山手線の乗り換えで行ったので、ルート案内を見ると「西日暮里」から千代田線に乗り換え、金町から柴又へ、というルートが表示されました。
なるほど、京成金町線は北側からも行けるのですね。
西日暮里から千代田線まではよかったのですが、千代田線から先が「常磐線」になっていて、地下鉄とJRが乗り入れしているのですね。
そこで一番困ったのが、切符です。
西日暮里で少し小雨の天気だったのですが、頭上の路線図を見上げると曇っている…
まあ、ほとんどの方が切符などは買わないだろうから、需要は少ないのだろうけれど、北綾瀬の先の運賃が知りたかったのですが、わかりませんでした…。
仕方がないので、300円くらいかな、と購入し、出口で清算しました。(40円不足でした)
柴又帝釈天へ 京成金町駅から
そんなに深いこだわりはないのですが、このルートを選んだのは、京成金町から柴又へ向かう電車に、少し乗ってみたかったのもあります。(詳しくは後述)
JR金町駅は結構大きな駅でしたが、乗り換えて京成金町の方へ来ると、あまり人はいませんでした。
ここは始発駅で、柴又、京成高砂と二駅しかない路線なのですね。
僕が乗ってみたかったのは、「寅さんが乗ってきそうな」電車です。
柴又に寅さんが帰ってくる時には、結構河川敷を歩いて来ることが多くて、柴又駅に帰ってきました、という場面はあまり印象にありません。
柴又駅から出ていく時に、哀愁を帯びた別れの場面の舞台が柴又駅です。
なので、ぜひ寅さんが乗車するホームに降りたい、という気持ちがありました。
ちょっとだけ事前に調べたら、京成金町から行く電車の降り口が、「寅さんが出発するホーム」になっていました。
柴又帝釈天へ 柴又駅のホーム
車内は空いていて、空いている席もありました。
夕方だから、少ないのでしょうね。
乗車し、ゆっくりと電車が進みます。
何となく車窓から見える景色が、下町っぽくなってきました。
3分ほどで柴又駅に到着です。
「しばまた、しばまた~」
とアナウンスがあったかどうかは定かではありませんが、このホームに降りたつと、にわかに感動があります。
わあ、映画に出てくるそのままですね!
ここでさくらさんは寅さんを見送っていたのですね。
寅さん、いつも旅立っていたのは京成高砂方面、それから都心部へ向かうのでしょうかね。
ホームには「男はつらいよ」の名場面のパネルが設置されていました。
柴又駅の名場面集
一部ですが、柴又駅の名場面を見ました。
香川県のロケ地となった志々島や八栗さんをついつい探してしまいましたが、見つけられませんでした。
これだけを眺めながら、一つずつ確かめていたいのですが、時間があっという間に過ぎて行くので、こんな感じで名場面がたくさん展示されていましたよ、ということをお伝えしておきます。
柴又駅前
いつまでもホームにいても仕方がないので、改札へ向かいます。
わあ、この改札口も、はじめて来ましたが僕はよく知っている気持ちになります。
自動改札になる前から、何度も見た改札口です。
こちらの改札口の前には広場があり、そこに寅さんとさくらさんの銅像がありました。
わあ、ちょうど寅さんが旅立つ時、さくらさんが見送る時の配置になっていますね。
「じゃあな、おいちゃん、おばちゃんによろしくな。ひろしと達者に暮らせよ。」
「おにいちゃん、もう行っちゃうの。せめてお正月くらいゆっくりして行けばいいのに。」
「そうだなあ、風の吹くまま、気の向くまま、西の方にでも行ってみますか」
「おにいちゃん、お金あるの、これ持って行って」
とエプロンから一万円札を出して渡します。
いやあ、もうここでずっと寅さんの一場面に浸っていたい気持ちですが、早くしないと本当に日が暮れてしまいます。
でも、お二人の銅像を見られて、とてもよかったです。
柴又帝釈天へ 帝釈天参道
僕は柴又にも、帝釈天にもはじめて来たので、何となくわかっているようで、わかっていない感じです。
しかし、ここから人の流れに沿って参道を歩いていけば、帝釈天に繋がることはわかります。
わあ、こういう感じになっていたのですね。
柴又駅、参道、帝釈天、その向こうが江戸川河川敷。
後でも詳しく書きますが、映画の中では「近く」であることはわかっても、この位置関係が出てこないので、とても新鮮な気持ちです。
僕は帝釈天の奥ではなく、山門の横に川が流れていると長い間勘違いしていました。
昔からこの辺りをご存知の方にとっては当然かもしれませんが、映画の中では、道をひと続きにしないから、その辺りがわからなかったのですよね。
柴又の観光案内所には、寅さんのオブジェがありました。
まあ、笑っている感じが似てないということもないのだけれど、コミカルですよね。
お土産屋さんでは、威勢よくご商売の声掛けをされていて、賑やかな感じでした。
参道の手前に常夜燈があり、渥美さんの寄贈と記されていました。
帝釈天参道、良い雰囲気ですね。
柴又帝釈天へ「とらや」は北か南か
参道を歩いて行くと、草だんご屋さんがたくさんありました。
このお店の奥の方は、まさに寅さんの家みたいですよね。
こちらは、第一作から四作まで、実際にロケで使われたお店だそうです。
入ってみたかったけれど、夕方にはおだんごが売り切れていました。
もう少しで帝釈天、というところで、僕はもう一つ自分の思い違いに気が付きました。
こんな感じで柴又駅から帝釈天まで参道があって、両サイドにお店が軒を連ねているのですが、僕はずっとこの参道の北側、柴又駅から行けば左側に「とらや」があるのでは、と思っていました。
しかし、さきほどの「とらや」は南側だったし、もしや僕が勝手に思い込んでいたのでは、という気になりました。
図にすると、上にように、左側、こういうイメージなのです。
しかし、現地に来てみて気が付いたことは、柴又駅が帝釈天とは逆の方向にあることです。
寅さん、威勢よく飛び出していく時、左側へ行くから、こちらが柴又駅ですよね。
いやあ、これは、なかなかの驚きというか、現地に来てみないとわからないことだなあ、と思います。
つまり、「とらや」は、参道の南側に店を構えていて、左に柴又駅、右に帝釈天と江戸川河川敷、ということになります。
そう思って映画を見直すと、いろいろわかることがあるかもしれませんね。
次回観る時には(毎週みるのだが)、是非とらやの左右の出入りに注目してみてください。
柴又帝釈天 二天門
そんな風に考えていたら、正面に帝釈天が見えてきました。
わあ、想像したよりもずっと大きくて立派な山門です。
ゲンちゃんがほうきで掃除していないか、見渡してしまいました。
「柴又帝釈天でうぶゆを使い」の帝釈天、ついにやってきました。
映画でも「ゴーン」と鳴る鐘楼は、そのお隣にありました。
わあ、この大鐘楼堂もとても大きくて立派ですね。
帝釈天の境内
二天門の先には帝釈堂がありました。
中は撮影禁止でしたので、お参りだけしました。
境内も広くて、見たことのある景色が広がっています。
帝釈天題教寺も、何度も登場するので、はじめて来るとは思えない懐かしい気持ちになりました。
なるほど、帝釈堂と本堂の間に屋根のついた廊下があるのですね。
御前様が歩いて出てきそうな気持になりました。
そして、この縁側に腰掛けて、さくらさんは御前様に寅さんのことや満男のことを相談するのですよね。
ずっとここにいても良いのだけれど、もう一つ行きたいところがあるので、寅さんのお守りなどを買って、帝釈天をあとにしました。
江戸川河川敷へ
その近くに住んでいる方は当たり前なのだろうけれど、帝釈天から歩いてすぐのところに河川敷があるとは思いませんでした。
二天門から北へ出て、突き当りの道をさらに東へ行くと、河川敷が見えてきました。
わあ、ちょっと日が落ちて暗くなってしまったけれど、歩いている方や自転車の方が行き来しています。
江戸川を挟んで、向こう側は千葉県松戸市ですね。
南側に遠く見えるビルは市川市だそうです。
少しこちら側を歩いていくと、寅さん記念館があるのだそうですが、今回は時間が間に合わずに行けませんでした。これはまた次回のお楽しみ。
矢切の渡し
こちらの河川敷には、もう一つよく知られた場所がありまして、歌で有名な「矢切の渡し」があります。
地図上ではこの辺を示していたのですが、最初はどこかわからなくて、探してしまいました。
河川敷を横断するように筋のある道のあたりです。(たぶん)
ここだ、ここだ、と見に行こうとすると、ぽつぽつと雨が落ちてきました。
まあ、場所はわかったから、ここも次回でいいかな、と引き返します。
振り返ると、柴又の街の方が見えるはずでしたが、マンションなどが建っていて、見えませんでした。
寅さん、河川敷からこの道を下って柴又へ帰ってきたのかな、と思いながら、帝釈天へ戻りました。
柴又亀家本舗で草だんご
柴又でどうしても訪れてみたいところが、最後にもう一つ残りました。
ここまで来たら、草だんごを食べてみたいですよね。
最初はウナギにする?と相談していたのですが、結局遅めのおやつを食べることにしました。
もう日が暮れてしまい、店じまいされているところもありましたが、亀家本舗さんに行くと、
「大丈夫ですよ、どうぞ!」
と声かけてくれました。
よかった、草だんご、間に合いました。
ついつい、家のつくりから、二階へ上がりそうになるのですが、食べる場所「食堂」は1階にあります。
中に入ると、二組ほどお客さんがおられました。
メニューを見ながら、何にするか相談です。
僕は草だんご食べてみたかったのですが、奥さんは「みたらし」が良いとのことで、1本ずつ入ったコーヒーのセット。
奥さんは「あんみつ」にしていました。
店内には、そこらかしこに寅さんのポスターや写真が飾ってありました。
一つ一つ見ていたら、そう言えば、もう僕の方が当時の寅さんより年が上になっているのもあるのだけれど、何か声かけてくれそうな、そんな気持ちになりました。
「そうか、あんちゃんは四国か。良いところだよな、高松は」
「え、甥っ子が生まれた?それで会いに来たの?なんだ、そりゃめでてぇじゃねか。おめでとさん!」
心の中でしばし寅さんとの会話を楽しんでいると、店員さんがだんごを運んできてくれました。
「おまちどおさま、おだんごとあんみつでーす!」
これもまた、映画の中のように。
わあ、と今日何回目かの歓声を心の中であげ、草だんごをいただきます。
ヨモギ、国産のにこだわって使っておられるそうで、良い風味です。
奥さんのあんみつもボリュームたっぷりで、こんな感じのあんみつが好きなのだそう。
食べてみたら、あっという間に草だんごがなくなってしまい、せっかく柴又まできたのだから、もう少し食べないと、という気になりました。
「おねえさん、草だんごいくつ入ってるの?」
「おだんごは9個入ってます」
「そしたら、それください」
「はーい、おだんご、追加です!」
なんだか、本当にとらやに入ったかのような気分です。
草だんご、もちもちしていて、本当に美味しかったです。
外に出ると、辺りはもう真っ暗でした。
お土産のおだんごがある、というので、店先に立ち寄ります。
会計する時に、ご主人と少しお話しました。
「四国の高松から来たんですけど、おだんご、美味しかったですよ」
「高松、三越があるでしょ、もう10年前くらいだけど、イベントで行きましたよ!高松、良いところですね!」
わあ、三越に出店されていたのですね。
亀家本舗さんのお店のHP見たら、本当だ、ほぼ毎年のように「浅草まつり」で来られています。
何だか、本物の寅さんと会話できたようで、とても印象に残りました。
最後に帝釈天まで戻り、夕暮れの雰囲気を見ました。
日が落ちてからの雰囲気もとてもよかったです。
再び雨が強くなって来たので、傘を差し、参道を歩きます。
もうずっと、頭の中ではさくらさんのテーマが流れていました。
渥美さんと倍賞さんは実年齢で約13歳差、吉岡さんとは42歳差だそう。
昨年、親しくしていた伯父が亡くなり、入れ替わるように甥が生まれました。
伯父さんが見られなかった世界を今、僕は見ていることと、甥が大きくなったら、君が生まれる前に、こんな僕には伯父さんがいたのだと、話してあげないといけません。
そして、彼が大きくなった時、はじめて会いに行った帰りに、柴又帝釈天に立ち寄り、寅さんを思い出しながらお参りしてきたのだ、と将来話すつもりです。
いやあ、本当に今回は心に残る、良いところへ行ったなあという気持ちです。
まだいろいろあるのだろうけれど、今回訪れた感動は、きっとこの先もないだろうと思います。
皆さんも是非柴又帝釈天に、足を運んでみてください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。