さて、今回は 牟礼石匠の里公園の彫刻 について書いてみたいと思います。
東かがわのとらまる公園にはじまり、東讃には石彫作品がたくさんあるなあと思いながら西へ進んできました。
房前公園を見て、また別の日、牟礼石匠の里公園の彫刻を見に行きました。
これと言って新しい施設でも、話題でもないのだけれど、いつかこの公園のことを書けたらいいなあ、とは思っていました。
そして彫刻作品もじっくり見ているとなかなか面白いこともあったので、書いておきます。
もし高松市牟礼町の石匠の里公園や、そこにある石彫作品のことにご興味のある方の参考になれば幸いです。
目次
牟礼石匠の里公園の場所
まずは高松市牟礼石匠の里公園の場所から見て行きます。
石匠の里公園は、高松市文化財課(他には玉藻公園と国分寺史跡公園)が管理する市立公園なのですね。
香川県のやや東側にあります。
高松駅からは車で約30分。
西に屋島、東に八栗という場所で、ちょうど八栗ケーブルの南側にあります。
もう少し西側にはうどん本陣山田家さん。
南側(画像では下側)に駐車場があります。
結構広いように見えるのですが、人気があるのかいっぱいになっている印象があります。
上に資料館があるのですが、その横にも障がい者・妊婦用駐車場があります。
下の駐車場に着いたところから見て行きますね。
牟礼石匠の里公園の駐車場
石匠の里ともなると、駐車場にだって石彫やイラストが置いてあります。
一つは漫画家の植田まさしさんが描かれた那須与一。
経年で、少し色が落ちてきてしまっているけれど、上の展望台にも同じものがありました。
その隣には青・赤・黄色の原色の色づかい、アキホタタさん。
中に缶が挟まっているのも含めて作品なのだろうなあと思います。
作品の名前がわかったらいいのになあと思います。
この奥にお手洗いがあって、なぜか僕は結構このお手洗いを使っている気がします。
駐車場から公園へはこの大きな階段を上がります。
階段を上がって行くと、屋島の南側が見渡せます。
この奥の建物が石の民俗資料館になっていて、その手前に芝生の広場。
僕が訪れた時期にちょうど「石の里のアーティストたち 「テーマ庵治石」 Part20」が開催されていて、その作品は並んでいました。(この内容はまた次回に書きます)
入口には特に読まれているとは思えない注意事項、
経年により薄くなってしまったステンレスの案内板がありました。
なかなかこれでは全体がわからないから、いただいた石匠の里公園のリーフレット(これも貴重だ…)を掲載しておきますね。
石匠の里公園は平成7年ごろに開園したそうだから、その際に作成されたものだと思います。
一つずつの作品の場所と名前があって、当時20か所石彫が展示されていたようです。
これを見ると、全部見てみたくなりますよね。
僕は見てみたい、という訳で一つ一つ見て行くことにしました。
牟礼石匠の里公園の彫刻 日本庭園
石匠の里公園に日本庭園なんかあっただろうか、と言われるかもしれませんが、たぶん「日本庭園」です。
芝生広場や遊具のある方の反対側、山側の散策路の方を「日本庭園」としているようです。
馬の見つめる方向へ進みます。
この場所から見ると、散策路が塞がれているように見えるかもしれませんが、大丈夫です。
「時空・21」石井厚生氏の作品です。
その隣にも一つ展示されていました。
これが何かはわかりませんが、展示されていたので、掲載しておきます。
森の傍に一つの石碑か?と思っていると、こちらも展示作品の一つでした。
中嶋万須夫氏の「立て横」 。
なかなか見過ごしてしまいそうな場所にありますが、いったいどうやってあそこへ置いたのだろうと、少し考えてしまいました。
でも、近づけないから、何かの守り神や入口の道標のようでもあり、なかなか感じが良いですね。
なるほど、きっと、ここには本来水が流れて、石と植物の調和した日本庭園であるわけですね。
節水しすぎなのか、せっかくの水路に水が流れていない公園が多すぎるなあと思います。
水があれば、全く違う景色になるのに勿体ないなあと思います。
散策路は少し階段がありますが、ゆっくり登れる感じの勾配です。
手入れがされていない、ということもないのですが、行く人が少ないのだろうな、という感じはあります。
こちらの石彫は半分草木に埋もれてしまっていました。
「Table du Repos」アンドレ・ラブー氏の作品。
自然に任せる、というコンセプトがあるなら仕方がないですが、もう近くに寄りがたい感じになっていますので、是非整備をお願いしたいところです。
やっぱり、近づいて触れてみたいですよね。
僕が訪れた時には、紅葉が始まりかけていて、中を歩くととても気持ちがよかったです。
それぞれの地域の特色もあるとは思いますが、盆栽や園芸業の盛んな高松市の公園なのだから、もう少し手入れをされてはどうかな、と日本庭園については思います。
ここはまず初めに水を流してみては?と思うところ。
木々の間から木漏れ日があって、なかなか良い散策路です。
一番上には、石で(それはそうだ)作られた立派な放水口がありました。
僕は過去に何度か石匠の里公園を訪れていますが、水が流れているのを見たことはありませんが、是非流してみてください。
少し下には、 ミロスラブ・メイラ氏の「 THE STAR MAN」。
目立たない場所にありますが、なかなか大きくて雰囲気のある石像です。
一段下の芝生の場所には「曙」 。
楊英風氏によるもので、本人のサインがありました。
楊英風氏、台湾のアーティストなのですね。
少し下に高橋清氏の波のイメージがありました。
普通の公園はもうこの位石彫作品があれば十分というところなのでしょうけれど、まだ半分以上あります…。
牟礼石匠の里公園の彫刻 芝生広場
日本庭園の次は芝生広場を見て行きます。
石の民俗資料館へ上る手前には立方体の意思が置いてありますが、○○石という名前と産地が記されています。
さすが石の民俗資料館、という感じ。
こちらも何気なく撮ったものですが、手前の方には名前がありまして、「アン・ツー・ゴの家内」というのだそうです。
アン・ツー・ゴ
石匠の里公園のイメージキャラクターが「アン・ツー・ゴ」というのですね。
アン・ツー・ゴ名前の由来を知りたいところですが、わかりませんでした。
最初に示した地図には Cross・Cross/‘00」 久保 健史氏の 作品は掲載されていませんので、開園後しばらくしてから設置されたのでしょうね。 「
この広場は「ぼうけんのくに」となっていまして、なかなかアグレッシブな遊具などがあります。
少し斜面になっているので、それをそりで滑る、という遊びができます。
そりは石の民俗資料館で貸してくれます。
こう見るとそうでもないように思うのだけれど、上に行くとなかなかの急斜面です。
そのお隣に小林陸一郎氏の「旅人の碑」がありました。
ついつい上ってみたくなりますが、こちらは見るだけです。
その奥には大きな遊具があります。
以前はローラースライダーがあって、それも人気でした。
何度かここに来て子どもと遊んだのですが、この網のところが結構高くて怖いです。
見ていると何で?と思いますが、実際に自分がそこへ行くと常に落ちるような気分になるので、なるほど、ここは怖いなあというイメージがあります。
そして、元々はここに中岡慎太郎氏の「セレナード」がありました。
あの四角くて大きいの。
今は(2021年)あじ竜王山公園にありますが、その前はサンポート広場に、その前はここ石匠の里公園にあったのですね。
毎回見かけるたびに「どこかでこれ見たことあるよなあ」と思っていましたが、違う場所で同じものを見かけていたのですね。
そのまま少し下って行きますと、上の方へも散策路が見えました。
あの辺りにも行けるのでしょうかね。
散策路に沿って一つ展示されている作品がありました。
下次生一氏の「春のポパイ」とあります。
こちらも開園当初のリーフレットにはないので、後から設置されたのでしょうね。
全くの想像だけれど、セレナードがサンポートに移ったので、その代わりに設置されたとか、そういうことなのでしょうかね。
一度園外へ出ると、北の方角に採石場、大丁場が見えました。
障がい者・妊婦用駐車場はこちらから入って行くのですね
牟礼石匠の里公園の彫刻 展望台
石匠の里公園に展望台なんてあっただろか、というが最初の印象ですが、少し上った丘の上にあります。
そこへ行くには、先ほどの「草そり」のスタート地点の方へ行く必要があります。
その坂道の散策路に石彫が並んでいました。
訪れた際には、この作品が一対のものだとわからず、一つずつ撮っていましたが、 ペドロ・ラモス氏の「 TOURO JAVALI」とあります。
TOURO JAVALI、猪のことなのでしょうか。
最初はフクロウやネコの様にも見えていましたが、猪ではないか、と思うと猪にも見えてくるから、印象とは不思議なものです。
この背後から、本物が出てきても全く不思議ではありません…。
こちらは「黙示の夏(王と后)」山本明良氏の作品です。
何となく王と后という風に見えてきますので、作品名というは大事なところ。
その横に展望台に続く階段がありました。
いやあ、ここは知りませんでした。
僕は行ったことがなかったので、秘密の階段を見つけたような気持ちになります。
階段の一つ向こう側にも一つ展示されている作品があります。
ピエール・セカリー氏 「SACRED ROOM」。
「セカリー」としましたが、「セカリ」とされているサイトもありました。
階段を少し上がると、斜面に何か見えました。
この向きだと逆光だ、ともう一度下に行きますと、
見る角度で全く印象の違う江藤薫氏「BLOWING WIND」でした。
階段を上ると、たくさんのドングリが落ちていていました。
登り切った先には体験学習広場がありました。
なるほど、石切場の学習をするための広場なのですね。
いくつかの用具があったので、石材加工の説明しながら学習できるようになっているのでしょうね。
北と西を見渡せる展望台になっていました。
わあ、ここはなかなか景色のよいところです。
屋島全体が写真におさまるところはなかなかありません。
「香川新五十景」というのがあるそうで、その一つに石匠の里公園が選定されているのだそうです。
確かに、ここは眺めが良いですね。
源平の古戦場を東側から眺めることができます。
屋島を攻める源氏方になった気持ちです。
同じことを思う方がいたのか、ここにも那須与一のイラストがありました。
こちらはまだ色も綺麗に残っています。
与一サミットというのがあったのだそうで、手形が残っています。
北西の方向、海が見えますが、ちょうど男木島が見えるのですね。
最初は気が付かず、二回目で分かったのですが、ここから下って行く道があって、その傍に一つ作品が展示されています。
菊池満雄氏の「Reversing Stone」。
これはなかなか言葉では表現し難いのですが、石匠の里公園の中でも最もひっそりした場所にあります。
しかしながら、中から何かが生み出されそうな、面白いオブジェです。
ちょっとここにあるのは勿体ないかも、と思いつつ、20年以上ここにあることの意味を思います。
是非ここにも立ち寄ってみてください。
来た道を戻りながら、展望台の彫刻作品を見て行きます。
吉本豊氏の「響き」。
人の形や楽器の形がはっきりしているので、わかりやすいですね。
石の民俗資料館前の彫刻
賑やかな芝生広場を眼下に見ながら、石の民俗資料館の方へ歩いて行きます。
資料館の前には5つの小さな石彫がありました。
僕も詳しくは知らなかったのですが、「マケット」という小型の模型なのでしょうかね。
井上麦氏の「地表より」シリーズは、高松でいくつか見かけます。
玉藻公園やあじ竜王山公園にもあるので、馴染みがあります。
隣には 堤一彦氏「ORIGIN」とあります。
これは学校に設置されているのですね。
その隣は、 脇本浩志氏の「陽環」。
こちらは石匠の里公園から南へ数百メートルの御山公園にありました。
「無題」 山崎康氏の作品も牟礼町内(羽間地区)にあるそうなのですが、まだ見に行けていません。
岩崎順一氏の「SeaⅡ」は牟礼の野上公園というところにあるそうですが、これもまだ見ていません。
この小さな作品群は、国民文化祭かがわ’97「石の彫刻コンクール展」優秀作品なのだそうです。
なるほど、それで各地に展示されているのですね。
以上が牟礼石匠の里公園の野外で見られる彫刻作品でした。
なかなか見応えのある内容でしたが、ひとまわりするのには30分くらいで歩いて行けると思います。
石彫作品の入れ替わりはありながらも、大事にされてきたのがわかります。
是非お近くに来られた際には、立ち寄ってみてください。
さて、次回は石の民俗資料館と、開催されていた高松工芸ウィーク関連のイベントのことなんかを書こうと思います。
またよろしければご覧ください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。