瀬戸芸秋会期の豊島 のことを書いておこうと思います。
秋会期も半分が終わり、瀬戸芸もあと少しという感じになってきました。
まだ行けてない西の島のことも気になりますが、まずは行った順にさらっと記しておきます。(どうやら詳しい版は終わってからになりそうです)
瀬戸芸秋会期の豊島 の雰囲気や、豊島の新作、海のレストランや島キッチン、豊島美術館のことなどにご興味のある方の参考になれば幸いです。
目次
- 高松から豊島への船
- 瀬戸芸秋会期の豊島 家浦地区の作品
- 瀬戸芸秋会期の豊島 甲生地区の作品
- 針工場
- 空の粒子、ささやきの森
- 瀬戸芸秋会期の豊島 唐櫃地区の作品
- 豊島美術館
- 勝者はいない─マルチ・バスケットボール イオベット&ポンズ
- 心臓音のアーカイブ
高松から豊島への船
豊島へ行くのに、今回一番困ったのはその行き方、船のアクセスです。
これまで利用していた高松港から豊島唐櫃港への船がなくなり、家浦港へ行くか、小豆島経由でフェリーで行くか、どちらかになってしまいました。
結構人気のある便利な航路で、芸術祭の期間は行列だったのだけれど、やめてしまったのですね。
今回は往路は豊島フェリーで高松港から直島本村経由(と言っても船に乗っていればいいだけ)で家浦港へ、復路は唐櫃港から土庄経由で帰りました。
なので、瀬戸芸の巡り方も家浦から甲生、甲生から家浦、家浦から唐櫃という順番になりました。
前回の直島同様、高松港を9:07に出航し本村を経由して家浦港に着いたのは10時でした。
朝の高松港、すでに列ができていました。
この日は割と外に座る人が少なくて、先に空いている席に座れました。(ほぼ座っていないのだが)
さらっと写真を掲載していますが、船は揺れ、水飛沫がかかります。
僕は上着を着て、身をかがめて掴まって撮っているけれど、慣れていないとなかなか難しいと思います。
一度直島港(本村)に立ち寄るので、半分ほどの方が下船し、数名の方が乗ってきました。
高松から家浦へ直接行く便は35分くらいだから20分ほど余計に時間がかかります。
水飛沫を浴びながらも気持ちの良いまりんなつの後部屋外デッキです。
ずっと立っている海外の方に席を譲りました。
朝の爽やかな澄んだ海風が吹く中を船は進みます。
豊島の西側から回り込むように家浦港へ到着です。
いい天気の日に、と思いこの日を選びましたが、一年に一度あるかないかというほど、本当に良い天気でした。
家浦港から歩いて5分ほどで豊島横尾館へ到着です。
家浦港に到着すると、わらわらと人が駆けおりてきました。
バスに乗るためか、皆さん必死な感じです。
瀬戸芸秋会期の豊島 家浦地区の作品
僕は歩いて毎回巡るので、飲み物などを購入し(この先自販機があまりない)、歩き始めます。
豊島横尾館
家浦港から豊島横尾館へ向かうと、まだ誰もいませんでした。
受付でパスポートを出すと、館内の説明をしてくれます。
以前は写真撮影ができませんでしたが、館内の一部がOKとなっていました。
ビデオ、フラッシュはだめですが「庭のインスタレーション」「トイレのインスタレーション」の写真撮影はOKでした。
こちらがお庭のインスタレーション。
大事なことを書いておくと、トイレには「鑑賞用」と「実際に利用できるトイレ」があるので、それぞれ間違わないようにご注意ください。
10月、豊島を歩いていて見かける花はコスモス。
3年に一度、この一帯でコスモスを見ると、豊島に来たなあという気持ちになります。
その南側へ徒歩5分で「針工場」へ。
ところが…
閉まっている?と思ったら、10時30分からだそうです。
豊島横尾館は10時からだったので、こちらもそうだと思っていました。
ムムム、下調べが足りませんでした…。
仕方がないので、そのまま甲生地区へ向かいます。
瀬戸芸秋会期の豊島 甲生地区の作品
豊島をまわる時、ほとんどの方が電動のレンタルサイクルを借りておられました。
僕は毎回豊島は歩いて巡ると決めているので、今回も歩きます。
「電動自転車に抜かれていく」写真を撮れるのは、歩きだけなので。
皆さんはどうぞ無理なさらず、是非電動自転車を借りてください。
さらっと書いていますが、家浦から甲生までは約1.7kmの道のりで、途中までは上り、途中から下りです。(そしてまたこの道を戻ります…)
上り坂が終わると、本当に嬉しい気持ちです。
下り坂の正面には男木島灯台が見えます。
もちろん道沿いにはコスモス畑があって、可憐な花が揺れています。
海に出る方向なので、写真右の下りの方に向かいます。
角を曲がると、あった建物はなくなっていました。
以前「遠い記憶」という作品があった場所を通ります。
解体したとは聞いていましたが、こうして更地になると、ここに本当にあったのだろうか、という気にもなります。
今思うと2019年に訪れることができて、本当によかったです。遠い記憶、ですね。
海を夢見る人々の場所
豊島には2022年に海岸沿いに新作ができていました。
僕もこの海岸に降りて行く道ははじめてです。
海辺まで下りて行くと、砂浜が見えてきました。
わあ、ありました、本当に砂浜の真ん中ですね。
反対側からは山を下りてきたような格好の女性のグループが来られていました。
「これじゃないかしら!」「あったわ」
なんて言いながら、眺めておられました。
座られるかな?と思っていたら、「日焼けするからやめよう」と歩いて行ってしまいました。
そうですよね、個々は確かに日焼けしますよね…。
ブログやSNSで見聞きしていましたが、これは海と島と空とがあわさった綺麗な作品ですね。
意外と頑丈で、座っても安定していました。
海を夢見る人々の場所、ここは確かにそうとしか言えないですね。
瀬戸芸の印象って開催ごとに変わっていくから、きっと次回この作品を観た時には、また違う気持ちを持っているのでは、と思いました。
瀬戸芸秋会期の豊島 最も怖かった「かげたちのみる夢」
そこから5分くらいの場所に、今回のもう一つの新作がありました。
これがとてもすごかった…。
僕も写真を何枚か撮っていたのですが、怖いのですぐには記事にすることが出来ず、一年程経って、やっと着手しました。
怖い思い出が蘇ってくるので、怖いの苦手な方は飛ばしてください…。
海岸からこの辺りに来るまでは、そんなに何でもなかったのですよね。
確かに他には誰もいませんでしたが、以前もこの辺に作品あったよなあ、くらいの気持ちで角を曲がります。
角には数台自転車が停めてあったので、誰かはいるのだろう、という思いはありました。
受付にはお一人男性の方がおられ、パスポートを渡します。
「ここは怖いですか?」
「ええ、怖いという方もいますが、面白いですよ。僕はこんな雰囲気が好きなので…」
全て一つ一つが作品です、と説明があり、
「もしや今他に誰もいない?」と尋ねたら「おそらく」だって!
おそらく、誰もいないのか、と思いながら門をくぐります。
小泉八雲『和解(The Reconciliation)』に着想を得て、虚と実が入り混じったかのような幻想的な体験を創出する。
豊島 | 瀬戸内国際芸術祭2022より引用
歴史や国語の教科書に出てくる小泉八雲さん、ラフカディオハーンさんの「和解」に着想、という点で気が付くべきでした…。
作品の注意点としては、全てが作品なので、手を触れたり、動かさないように、とのこと。ビデオもNG。(ここは本当に撮らなくてよかった…)
ええと、個人的には、これまでの瀬戸芸の中で最も怖い作品でした…。
もうこの先にも後にも、こんなに怖い作品はないだろう、という感じのホラーハウス。
いやあ、最初は単なる廃屋に、妙に綺麗に飾られた額縁の絵画があるなあ、という感じで見ていたのですよ。
しかし、何となくその絵画の内容を見ていると、背筋がゾゾっとなり、そこからはもう恐怖しかない感じ。
まだ入口が近かったので、瀬戸芸の作品ではじめて「リタイア」しようかと思いました。
しかし、全ての作品を観て来よう、と豊島に来たのだから、観ないで帰るのもどうだろうか、と思い直し、中へ入ります。
まあ、それも後悔しかないですが。
ここも何にもない古民家じゃないか、と思うかもしれませんが、目の前に石臼があって、その石臼が模写された絵が飾られているわけです。
額装は新しいから、この古民家には「捨てられた物」が「現実の虚像」となって置かれているのですよね。
もうその土間の前にふらっと何者かが表れても何も不思議ではない、そんな感じ。
部屋の角を一つ曲がるのも大変です。
「まっくろくろすけさーん、いませんか…」と心の中で呟きながら、廊下を歩きます。
また、これがいやあな音がするんです、ぎしっ、ぎしって。
自分の足音なのに、怖いって、あんまりないですよね。
滅茶苦茶になっているところもあれば、こうやって整然としている調度品もあって、ここには今も誰住んでおられるのでは、と思うと、またこれも怖い。
ちょうど外で少し話し声が聞こえてきて、次のお客さんが来たような気配がありました。
ここで僕は一つ考えて、後ろから人が来たら、先に行ってもらったら、少し怖さは減るのでは、なんて考えてしまいました。
もうほとんど子どもみたいな考えですよ…。
まあ、勘違いにもほどがあるのですが、数分すると後ろから誰か来るという考えでいたのですよね。
確かに、微かに話し声がしたし。
しかしですね、しかしですよ、誰も来ないのですよね。
この馬の感じをしばらく眺めていたのですが、光の加減が美しいけれど怖い、という感じになってきました。
この窓の破れ具合、どう考えても長いこと人が住んでいないような雰囲気じゃないですか。
この角を曲がって、誰かが来るような、そんな気配だけがずっとしていたのですよね。
しかし誰も来ないので、ちょっとおっかない…。
これはいけない、早く出よう、と再び次の部屋へ。
すると、次の部屋は窓がなくって、迷路みたいになっていました。
わあ、これもなんか嫌な感じ、と思いながら、その部屋自体は不思議な部屋で、「ジジジ」と電球みたいな音がしていました。
神棚があるから、神様にお願いしよう、と近づいてみたけれど、なんか違う…。
何とか逃げ出そうと梯子を見ても、天井で行き止まり。
そして、隣の部屋には、誰かいそうな気配がずっとしているのですよね。
もちろん誰もいないのだけれど。
怖いから一刻も早く出たいのだけれど、この部屋も怖くて目が離せない、という感じ。
ご飯の用意がされているのに、座布団が二つあるのに、畳みは擦り切れ、障子は打ち破れています。
その中に、あの絵だけは何事もなかったかのように、その部屋に飾れられています。
電球も点いたり、消えたり、うわあ、これは怖い!
先ほど入ってきた次の方なのか、前の部屋で「ぎし」「ごとん」と音を立てていました。
大丈夫だろうか、なんて思う余裕も今はありません。
もうこれで最後の写真、と思って撮ってみたら…
わああ、襖に!
まあ、何も見えない方はその方が幸せですよ…
いやあ、怖かったです。
瀬戸芸に来て、こんなに怖いことはなかったです。
そこは撮影禁止でしたが、実はビデオが各部屋に設置されていまして、それを眺めることができます。
最後にもう一つ怖いことを書いておきますと、どのビデオにも、今誰も映っていないのですよ。
まさか、まさか、としばらく見ていましたが、全く人の気配はありません。
出る時、受付では係の方が若い女性のスタンプを押していました。
「あれ、僕のあと、すぐに誰か来ませんでした?」
「いや、今入られた方だけですね…」
これはアートだ、芸術作品だ、と念じながら巡りました。
とても美しいけれど、怖かった作品です。
瀬戸芸秋会期の豊島 針工場
怖かった作品を出ると、外は何事もなかったかのように晴れていて、それもまた不思議な感じでした。
もう一度家浦の方へ戻り、針工場の中へ向かいます。
ちょうど11時を過ぎた頃、先ほどは閉まっていた扉が開いていました。
受付でパスポートを出し、入場券を受け取ります。
受け取ったらそのまま中に入るので、半分記念の半券みたいな感じ。
係の方(若い方が多い)、やや眠そうな感じで、毎日ここで受付するというのは、どんな気持ちになるだろうかと想像してしまいます。
最初はアート施設の受付、管理だから、新鮮な気持ちになるだろうけれど、毎日同じ作品へ通い、毎日違う旅人たちがそこを通り過ぎていくと、飽きたり、その場を離れたくならないだろうか、と思います。
僕は3年に一度(これもよく考えられた間合いだ)、ここに来て作品を観るから、懐かしい気持ちと新鮮な気持ちが入り混じっているけれど、さすがに毎日見に来たら、もういいや、という気持ちに変わってしまうかもしれません。
こうして撮った写真を並べて、後から編集していくだけでもそういう考えになるのだから、実際にはもっとそういう感情があってもおかしくないなあと思います。
ある程度の我慢強さとか、「飽きない」或いは「飽きても続けられる」という何かがが要りますよね。
僕はこうして写真を眺めながらその時に思ったことや、当時の記憶を辿るという作業は、繰り返し、何度でも飽きずに行えますが、現地にずっといるのは、ちょっと無理かも。
隣の建物に移動します。
船を下りてから、ずっと歩いていたので、少し疲れてきました。(ここで1万歩くらい)
建物の内外に、いくつかのベンチがあり、休憩できるようになっています。
針工場製作のプロセスや、意図などの説明を読み、少し座って休憩しました。
小さな物販コーナーもあって大竹伸朗グッズが置いてあります。
飲みものを一つ、汗をかいていたので、愛♡湯のロゴが入ったタオルを一枚買いました。
「この前直島で中へ入ってきました」
「わあ、お風呂に入られたのですか?」
「見学できるようになってました」
「見学いいですねぇ、行ってみたい」
ぜひ、直島へも行ってみてください。
大して緊張感のある会話ではないけれど、何かひと言、ふた言(嫌なことではなく)、会話したら、気も紛れるでしょうかね、それとも何の会話もいらないだろうか…。
針工場は、その隣の芝生の広場へと続きます。
10月の午前中の光が眩しいくらいに差し込む緑の庭を、しばらく座って眺めていたいのだけれど、買った飲み物もなくなったし、次のレストランへも行かなくてはいけません。
針工場、名残惜しいけれど、また三年後。
瀬戸芸秋会期の豊島 海のレストラン
そこから北側へ歩き、12時前にランチを食べました。
それほど時間があるということでもないのだけれど、今回はまだこれからたくさん歩くので、座って食べました。
僕はお昼の10分ほど前に入ったのですが、お昼を過ぎると多くの方で満席になりました。
中とのテラスに席がありますが、断然外のテラス派です。
白い船が見えていましたが、豊島の定期フェリーでしょうかね。
美しいテラスの席に座っていると、アジアからのお客様も少しいたようで、知らない言葉を聞きました。
少しずつ外国の旅行者も入ってきているのですね。
今回はピッツァという名のピザ。
海風が気持ちよくて、いつまでも座っていたいけれど、先に行かないといけません。
会計をして外に出ると、新しい施設ができていました。豊島エスポワールパークというのだそうです。
ちょうど秋の花がたくさん咲いている時期で、歩くたびに鮮やかな花の色を見かけました。
写真を撮りながら、少しずつ離れていきます。
静かな海の音と鳥の啼き声しか聞こえませんが、良いところですよね。
萩の花、まだ今が一番の見頃、という感じでたくさん咲いていました。
もう一つ先には、ウミトタ。
ご自分のリズムやスタイルで、豊島の素朴な自然を感じながら滞在できる一棟貸しの宿です。
ウミトタのサイトより引用
以前は瀬戸芸の作品の一つでしたが、その後に一棟貸の宿泊施設になったのですね。
豊島のリゾート、お洒落ゾーンへと変わっていく感じでした。
さて、そこから再び長い距離を歩きはじめます。
海のレストランから唐櫃地区への道が、最も長い道です。
僕が行く方向がほぼ上り、反対側はほぼ下りでした。
以前に作品があった場所や、
なかなかその全体像が見えない豊島美術館をチラ見しながら頑張って歩きます。
日向は暑いし、日影だとバスや自転車から見えにくいし、なかなか歩く場所も難しいところです。
空の粒子、ささやきの森
海のレストランから30分ほどで唐櫃地区の空の粒子に到着です。
さらりと書きましたが、30分近く歩いたので、ちょっと汗をかいて、ばて気味でした。しかし、この辺りで誰もいないのは、はじめてです。
倉敷の大原美術館、小豆島の新作と、ところどころで青木さんの作品を見かけます。
時間が経過し、来るたび見るたびに錆色が増しているのも良い感じです。
ささやきの森
そして、豊島の中では最難関の作品「ささやきの森」へ。
1kmほどの山道を徒歩で上らないといけません。
豊島に来るたび、ここはやめておこうか、と思いますが、ボルタンスキーさんの追悼を、と思い上ります。
行き終わってから写真を見るから、行けるんじゃないだろうか、と思うけれど、やはりゆるーい坂道が続くので、ここが一番の難所です。
しかし、誰もが歩く以外では行けない場所なので、頑張って歩いていきます。
ここからあと15分!
しかし、一旦休憩です…。
わあ、綺麗な景色です。何度も来たけれど、息を切らしながら見る景色はまた格別ですね。
途中から森の中に入りますが、蚊がたくさんいるので、長袖推奨です。
あと150m、ここまで来ると、もう少しです。
来るのは大変だけれど、ここまで来るともうひと息です。
ああ、来てよかったという雰囲気になります。
風がない時には、ただの森ですが、すっと風が吹いてくるとチリン、チリリンと音がしてきます。
チリン、チリンと風鈴が鳴る音を三年ぶりに聞きました。
これも聞けてよかったです。
瀬戸芸秋会期の豊島 唐櫃地区の作品
島キッチンへ行くと、思ったほど混雑しておらず、スムーズに作品が見られました。
あなたの最初の色(私の頭の中の解-私の胃の中の溶液)
手前の蔵のような建物の前に係の方がおられ、受付をしていました。
今、誰もいませんか、と尋ねると、いないですよ、とのこと。
中に入るとスクリーンに映像が映っています。
この作品を誰も他に人がいない状況で見るのははじめてです。
島キッチン
島キッチンでは13時半頃「14時の予約枠が終わりました」とのこと。
下にカメラを向けると、若い海外の方がピースマーク。
若さ溢れる、楽しい旅行ですね。
何年か前、ここで隣に座っていた上海の青年らは元気だろうか、と思い出します。
豊島の島キッチンをはじめ、瀬戸芸で集うひとつひとつが、アジアの芸術や文化を愛する人たちの交流の場になっています。
さすがに少し疲れていたので、テラスでアイスコーヒーをいただきました。
もちろんレストランでお食事もいいのだろうけれど、僕は広々としたテラスの方が好みです。(何と自分でもおどろくべきことにアイスコーヒーの写真を撮っていませんでした。疲れていたのでしょうね…)
ここまでで、歩数が2万歩近くになっていましたが、もうひと踏ん張り、と歩きます。
西本喜美子写真展~ひとりじゃなかよ~
以前ストームハウスがあった場所に新しい作品がありました。
西本さんという写真家の方の作品でした。
中に入ると、面白い写真がたくさん展示されていました。
72才の時にはじめてカメラに触れたのだそうで、人生何かを始めるのに遅いことはないですね。
心が軽やかになるというか、年齢を重ねても面白いことを面白いと言ってやってくれる感じが良いですよね。
午前中に見た、とても怖い絵もあれば、見ているだけで愉快なこうした写真もあるから、現代アートは適当で自由でいいなあと思います。
楽しい作品ばかりで、ここも見ることができてよかったです。
外に出ると、ますますいい天気になってきました。
ここからは下り坂のみ、もうひと頑張りです。
豊島美術館
さて、坂を下って豊島美術館へ向かいます。
海のレストランで豊島美術館のチケット予約を見たら、この日は枠ががたくさん空いていました。
島キッチンの辺りから豊島美術館へ向かうと徒歩で約10分でした。
後ろから結構なスピードで自転車が来るので、立ち止まるのはやや怖いところです。
レンタルサイクルの方に尋ねると、天気の悪い日の自転車事故がとても多いのだそうです。
坂が急なうえ、車やバスも通るので、是非慎重に行ってください。
気持ちはわかるけれど、ここは普通の県道です。
しかし、恐らくここは香川でも屈指の人気のある県道なので、やはり立ち止まって写真撮りたくなりますよね。
さらに綺麗な景色が広がっていれば、楽しくて開放的な気分になるのも、わかります。
普通の県道にしては、やはり景色が良すぎますね。
一度下りて行ったのに、もう一度上って来る、そんな気持ちも良く理解できます。
坂の途中から左手に白いドーム状の建物が見えてきます。
この感じだと色んな場所から見えるのでは、と思いますが、ここから以外は船や港、海からは見られません。一部山の道からちらっと見えるだけ。
山と丘で囲んで、見えないように随分工夫されているのだろうと思います。
エントランスに近づくと、係の方がおられ、駐輪場と受付の案内をしてくれます。
中へと急かされるのですが、構わずに振り返ると、海が見えました。
こちらがチケットを確認するゲート。
外観は写真が撮れますが、美術館の入口、靴を脱ぐところからは撮影禁止です。
人が少ないなあと思っていたら、皆さん日差しを避けて木陰にいたのですね。
海外からのグループの方々、皆さん木陰に座ってくつろいでおられました。
燦燦と日の当たるテーブルからは、唐櫃港へおりていく坂道が見えました。
上に土があるので、ややホビット庄的な感じはしますが、芝生が青々としていて綺麗なところです。
海外からのお客さん、何か楽しいことがあったのか、皆さんで笑っておられました。
確かに、ここは楽しい気持ちになりますよね。
細い小径を抜けていくところ、途中で木々の隙間から海が見えます。
他にもいろいろ美しい場所や景色はあるのですが、僕はここから見る海の景色がとても美しいので、是非立ち止まってみてもらいたいなあと思います。
海から見たのでは、この場所がどこなのか全くわかりませんが、こちらから見るととても美しい景色です。豊島美術館は外からは本当に見えないのですよね。
さらに進むと係の方がおられ、中に入る際の注意点などを聞きます。
中は撮影ができませんが、出たらOKとのことでした。
結構大きな建物なので、近づいて全体を把握することは難しいです。
隣にグッズショップがあり、ここは撮影OKでした。
毎回忘れてしまうのですが、中から人が次々に出てくるので、入るタイミングが難しいところです。
まあ、普通は中にいる人が先だろうから、とずっと譲っていたら、後ろから来られた海外の方に先に入られてしまいました…。
入れると言えば入れるのですが、靴をを脱ぎ履きするので、タイミングが難しいところです。
豊島美術館の模型が置いてありました。
なるほど、上から見るとこんな感じの形になっているのですね。
いろんなお土産があって、皆さんたくさん買われていました。
僕はそんなに喉は乾いていなかったけれど、レモンサイダーを買ってみました。
勝者はいない─マルチ・バスケットボール イオベット&ポンズ
さて、最後に心臓音のアーカイブへ向かいます。
坂を下って唐櫃港へ向かいます。唐櫃港を過ぎていくと、一匹の猫がいました。
途中の公園にバスケットゴールが豊島の形をした「勝者はいない─マルチ・バスケットボール」があります。
ここのスタンプが紐から外れていまして、「これ何?豊って書いてある?」と言っていました。
「これ、パスポートのスタンプですよ」と言いましたら「こういう楽しみ方があるのか」と驚かれていました。
ムムム、パスポートのスタンプ、最早少数派か…。
しかしながら、今回の豊島でははじめて「たくさんまわられていますね!」と言われました。
大体春から夏はそうでもないけれど、秋のこの時期になるとスタンプが溜まってきます。(溜めたからどうということはないのだが)
心臓音のアーカイブ
豊島の最後は心臓音のアーカイブ。
歩いていると、林の向こう側から海の音が聞こえてきます。
途中には唐櫃八幡神社の鳥居が見えてきました。
秋の風に吹かれてこの辺りの道を歩くと、瀬戸芸の終わり頃というやや切ない気持ちになります。
しかし、眩い太陽が緑の山や畑を照らしているのを見ると、まあ、これからも何度も来られるよ、という気にもなります。
海へ続く最後のカーブ。
先ほどのささやきの森から、こちらは海沿いにある作品です。
白衣を来た若い女性の係の方に思わず尋ねてしまいました。
「毎日この場所にいると、景色も見飽きてしまうものですか?」
「季節ごとに変わるので、そうでもないですよ」
そうか、一日ごとに様変わりしていくものね。
係の方たち、心臓音の守り人だ。
瀬戸内の島の奥にある海辺の一角、普段は誰も見ることのない世界の果てのようなこの砂浜で、ドクン、ドクンといくつもの心臓音がアーカーイブされています。
中は撮影できないのですが、中から外の景色は大丈夫ですよ、とのこと。
それはそうだ…。
目の前には砂浜が広がります。
この砂浜、香川のなかでも「知られざる美しい砂浜」の上位にくると思います。
知られていない、というのがポイントなので、今後も知られないままであってほしいところです。
正面は小豆島、絶景が広がります。
一人、海辺に座っている人がいました。
これで 瀬戸芸秋会期の豊島 の作品廻りは終わりです。
唐櫃港へ戻り、フェリーを待ちます。
フェリーてしま
16:25発なので、これまでより比較的ゆったりできましたが、やはり高松に直接アクセスできる便が良かったです。
港で待つ間、売店でソフトクリーム食べながら、少しおしゃべりをしました。
海外の方が戻って来てくれないと売上げが伸びない、と嘆いておられました。
徐々に戻ってきますよ、と楽しかった瀬戸芸のお礼を言いました。
夕暮れ、とても美しい色に瀬戸内海が輝いて見えました。
陽が落ちる少し前、この位の時間の海の色が好きです。
そういう点では、土庄行のフェリーに乗れてよかったです。
やがて、土庄港が見えてきました。
土庄から高松へは17:10の高速船に乗りました。約35分後、17:45に高松港に到着です。
ここで、3.5万歩でしたから、豊島を歩きでまわると大変ですが、巡った感覚があって楽しかったです。
どうぞ皆さんもお気をつけて、良い瀬戸芸の旅を!