ゲタの煮つけ

香川県の沖合瀬戸内海で獲れるお魚シタビラメを方言でゲタと呼んでいます。マルナカのお魚売り場で、恒例の女性二人が「ゲタ、今日のはよう太っとる」「太いのはうまいんのう」という会話を聞き、サイズの大きな舌平目をゲタの煮つけにした際の様子です。

さて、今回は ゲタの煮つけ についてのお話です。
春のお出かけ記事もまんのう公園で一区切りなので、おうちの中で楽しめる内容を少し書いておこうと思います。(今からか、とも思いますが…)
あまり今回のゲタ煮つけとは関係がないかもしれませんが、ちょうどその時期にあたるので、こんな感じのことも書いておこうと思います。

出前館

僕がブログを書いていて、これは面白い現象だよなと思うのは、ある季節になるとその季節にしか食べられない食材や調理法にアクセスがあるところです。
例えば、この春の時期、サワラのことなんについては、本当にその傾向が顕著で、毎年サワラの解禁と連休前後にアクセスがあります。
YouTubeは長い期間で分析が出来るので、ちょっとお示ししますとこんな感じです。

サワラの真子の煮つけ湯通しの再生状況
サワラの真子の煮つけ湯通しの再生状況

4月中旬に香川でサワラ漁が解禁になると増え始め、連休中をピークに、その後減っていきます。
そして一年間ほとんど再生されることなく、次の年5月にまた再生、というのが繰り返されています。

サワラの真子の煮付け~湯通し~

内容としては、サワラの真子をお湯につけるだけの地味な内容なのですが、ぱっと変わるところが面白くて作ったような気がします。
サワラの真子が手に入る地域で、しかもそれを煮つけにしてみようと思う方がご覧になることが多いのだろうから、数は限られてきますが、こういうのがブログやYouTubeの面白いところだなあと僕は思っています。
(それ以外に、これと言って結論みたいなものはない)

さて、今回のゲタのことも、もしかしたら全国の大半の方には関係がなくて、香川や岡山、瀬戸内海沿岸の方にしかその雰囲気は伝わらないかもしれません。
もともとそういうことを書きたくて書いているのですが…。
なので、もし春に少し太めのゲタ、舌平目が出回り、これ美味しく食べてみたいよね、という方がいましたら、どうぞお読みください。

スーパーの店頭で

確か4月の中頃だったと思うのですが、屋島に近いスーパーに行くことになり、買い物をしていました。
ここは隣の敷地にドーナツチェーンの店舗があるので、買い物のついでに時々持ち帰ることもあれば、店内で食べることもあります。
(余談ですが、ちょっと前に店内を改装して綺麗になったのですが、あの椅子ひじ掛けがかけていて座りにくいですよね。長居しないで、というメッセージなのだろうか…)

この日はまだ午前中だったので、充実しているお魚のコーナーを眺めていると、乳母車のようにカートを押すご高齢のご婦人がお二人。
「ゲタ、今日のはよう太っとる」
「太いのはうまいんのう」
「うまいけどええ値や」
とこんな感じでゲタのまわりを過ぎていきました。

ゲタ、僕はもう随分長い間香川に住んでいるので、違和感はなくなったけれど、もしかしてまだ香川に来たばかりとか、来たことのない方にはわかり難いかもしれません。
なぜスーパーのお魚売り場に「ゲタ」があり、それが太っていると美味しいのか、なんてわからないですよね。

まずゲタというのは、瀬戸内海などを中心に獲れるお魚で、全国的には舌平目したびらめと呼ばれているお魚です。

「ゲタ」という呼び名はウシノシタ類の香川・岡山辺りの方言です。全国的には「シタビラメ」という呼び名が馴染み深いと思います。カレイのように平たく、口が体の先端にはなく、目の下にあること、背びれ、尾びれ、尻びれがつながっていることも特徴です。県内では数種類が知られ、高松辺りで好まれるはコウライアカシタビラメ、観音寺辺りで好まれるはイヌノシタなど、ゲタの中でも地域によって好みが分かれます。

ゲタ | LOVEさぬきさんより引用

なるほど、「ゲタ」は香川・岡山の方言なのですね。
なので、「ゲタの煮つけ」で通じる場合には、岡山か香川出身の可能性があります。

僕は何度もこのゲタを買って煮つけにしているのですが、奥さんも子どもも、どうも毎回味付けが今一つ薄い、という感じの反応になるので、どうにか美味しいゲタノ煮つけをつくりたいなあというのが長年の密かな目標となっています。

そして、冒頭のスーパーの会話に戻るのですが、ゲタにはいくつかの種類があるらしいというのは理解していたのですが、
「太っている、太ってないで味が違う」
というのは、あるのでしょうか?
これは今まで気が付かなったというか、関心がなかったところで、大きくても小さくてもあまり変わらないのでは、という気でいました。

しかし、いかにも長年ゲタを調理して食べてきましたと言う感じのお二人が言うのだから、やはり美味しいのかもしれません。
そして確かに売られているゲタを見ると、小さいものはまとめて売られていて値も安く、太くて大きいものは値が高くなっています。
お魚は全般的にそういう傾向があるけれど、ゲタも大きな方が美味しいのかな?と思い、今回は二種類のゲタを使って煮つけにしてみます。

ゲタ
ゲタ

大体こんな感じで身が剥かれて、調理しやすい状態でパックに入っています。
上のひょろっと長い方が2尾で380円くらい、下の大きな切り身が1尾で500円くらいだったと思います。
大きな切り身だと1000円近くするものもありました。
ゲタについて、この辺りがよくわからないのところですが、小さいものが成長すると大きくなるのか、もともとこの二つは種類が違うのか、よくわかりません。
(まあその見分け方などにはあまり興味はないけれど)

僕がはじめてゲタの煮つけを作ってみたのは、2013年12月のことです。
「ゲタ」と言われると、あの形しか思い浮かびません。「シタビラメの煮付け」
レシピを見ながら作ったのですが、色が薄いなあと思っていました。
僕自身は美味しかったと思っているのですが、奥さんと子どもは結構ゲタがすきなようで、
「もっと味を濃い目に、甘辛い感じに」
「薄い」
なんて言っていましたので、少し煮つけるところと調味料のバランスを変えてみます。

ゲタの煮つけ

まずは、ゲタの下処理から。
沸騰した湯にくぐらせて臭みと汚れをとるということのようです。
写真を撮ることを考えると、沸騰したお湯に入れるの難しく、熱湯をかけることにしました。

ゲタの煮つけの下準備
ゲタの煮つけの下準備

毎回下処理は面倒なので、しなくてもいいんじゃないか、とも思うのですが、身の周辺がしっかりと固まり扱いやすくなるのと、冷水で流すと確かに小さな浮遊物が残っているから、やはりひと手間かけた方が良いのだろうなと思います。

ゲタの煮つけの下準備
ゲタの煮つけの下準備

どろんと長いよりも、切り身の方が掴みやすいので、そのあたりもポイントかもしれません。

ゲタを煮つける
ゲタを煮つける

これまでは調味料の中に「だし汁」とあったので、そうか煮つけにはだし汁か、と思いながら入れていましたが、いろんな料理版食いなんかを見ていると、
「皆さんの煮ものには水が多すぎ」
とか
「汁気を減らしてください」
というようなことを言われる方が多かったので、入れるのを控えてみました。
しかし酒と醤油だけだと塩からくなってしまうし、こげこげな感じになってしまうので、水を100ccほど使いました。

そしてコトコト煮るのではなくて、火の勢いを強いままにしておきます。
強めの中火くらいで、沸き立つ感じに。

ゲタの煮つけ
ゲタノ煮つけのイメージ
ゲタを煮つける
ゲタを煮つける

火加減が強すぎると吹きこぼれてしまうので、そうならない程度の加減で、落し蓋の替りにアルミホイルを置きを約10分。

ゲタを煮つける
ゲタを煮つける
ゲタを煮つける
ゲタを煮つける

火を止めて、少し落ち着かせてから盛りつけます。
ここも結構気を使うところで、菜箸などで取ると身がぼきっと折れてしまいます。

きっとこんな感じのターナーがあれば一番きれいに盛りつけられるのだろうけれど、持っていないので、それぞれ工夫してください。

こちらが太くて大きい切り身の方のゲタ。

ゲタの煮つけ
ゲタの煮つけ

こちらがひょろっとした方のゲタ。

ゲタの煮つけ
ゲタ煮つけ

では、食べてみますね。
なるほど、大きい方のゲタは確かに身がぷりっとしていて、肉厚の旨味を強く感じます。
魚を食べているという感じ。

ひょろっとした方も、普段に比べて大きめで、こちらも全体に味が馴染んで美味しかったです。
同じゲタの煮つけでも、大きさや形が違うと随分違った感じになりますね。

奥さんも子どもも食べたら「塩からい」のだそうで、もっと甘い味でしてほしいとのことでした。
僕はこのくらいがちょうどよいと思うけれど。
もちろんプロではないので、家庭で何度も好きな様に作っていきますが、なかなか好みの感じに仕上げるって難しいところですね。
うまく調節しながら作ってみてください。

ゲタの煮付け(3人分)

  • シタビラメ:3尾
  • 水:100㏄
  • 砂糖:大さじ2
  • 薄口しょうゆ:大さじ1
  • 濃口しょうゆ:大さじ1
  • 酒:50㏄
  • みりん:大さじ1
  • 針しょうが:適量
  1. 身が大きい場合には、上下に切り分ける。
  2. 沸騰した湯で身の色が変わる程度に湯引きし、冷水にさらし、汚れを落とす。
  3. 鍋にとゲタ、水、酒、砂糖を入れ、強火にかける。沸騰したら、しょうゆ、みりん、針しょうがを加える。
  4. 落し蓋をして、中火に落とし、丁寧にアクを取ながら10分ほど煮る。

慣れてくれば簡単にできるようになるので、はじめて作る方にもおすすめの煮魚です。
また大きなゲタを見たら「太いんはうまいんのう」なんて言いながら買って食べてみたいと思います。
それでは今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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