瀬居島アートプロジェクトのことを書いておこうと思います。
もう5月のことなので(書いているのは9月)、随分前に感じる内容ですが、三年後に向けて書いておかないと、未来の自分が怒るだろうから書いておきます。
この春に瀬居島を訪れた方は「そうそう、こんな感じだった」と思い出していただき、行ったことのない方は、また次回(3年後)に訪れる準備として、もし瀬居島アートプロジェクトにご興味のある方の参考になれば幸いです。
目次
- 瀬居島アートプロジェクトの概要
- 瀬居島アートプロジェクト しましまのうみ2022
- 瀬居島アートプロジェクト 祝福の音
- 難関、山越えの道
- 最難関はここでした
- 瀬居島アートプロジェクト 家の海
- 瀬居島東側を巡る
- 瀬居島アートプロジェクト ボタン曼荼羅
- ヨタの漂う鬼の家
瀬居島アートプロジェクトの概要
瀬居島アートプロジェクトが行われている瀬居島の場所や行き方については、瀬戸芸2022瀬居島で書いていますので、そちらをご参照ください。
今回は展示されていた作品について書いて行きます。
[瀬居島アートプロジェクト]は、2019年に引き続き神戸芸術工科大学チームが4人のアーティストのサイトスペシフィックな作品により瀬瀬島の伝統文化から人と人のつながりを考え来場者に瀬戸内の瀬居島の魅力を伝えます
瀬居島アートプロジェクトのパンフレットより抜粋・引用
なるほど、神戸芸術工科大学が中心となって行われる展示なのですね。
前回の瀬戸芸2019年から始まっているのだそうです。
作品は4つなのですが、島内にに点在している作品はあったので、とても広範囲な展示になっていました。
駐車場から歩いて「北浦バス停」の方に向かいます。
駐車場に案内所があって、そこの方がこちらに作品があります、とリーフレットをくれました。
西浦漁港からは目の前に瀬戸大橋が見えます。
海と瀬戸大橋を左に見ながら、北へ200mほど歩いて行きました。
瀬居島アートプロジェクト しましまのうみ2022
漁港が終わり、防波堤が見えて来ると、そこに北浦バス停も見えてきました。
防波堤にイラストが描いてあって、作品なのだろうなあという感じです。
瀬居島アートプロジェクトの幟がありました。
その横には、番号、作品の名前、作家名が記された看板が立てられています。
作品番号は1~4まであって、こちらが順番で言うと最後の「4」です。
気になる方は「1」からまわるのでしょうかれど、僕はそれほど気にならないのでここから見て行きます。
中山玲佳さんの「しましまのうみ」。
わあ、防波堤が長い!
“しましま” とは歴史が連なってできる層また縞柄を意味している。 前回多くの方にご協力賜り好評だった本作品、2022年は延長して描く。今回のモチ ーフは海が舞台の秋祭り、船や踊りと人々の様子及び今春閉校の瀬居小学校等とし、そこに暮らす住民と共働で 描くことで従来の景色を取り戻す。協賛: ターナー色彩株式会社
瀬居島アートプロジェクトのリーフレットより引用
なるほど、前回も展示があって、その続きを描いたのですね。
このイラストの感じ、どこかで見たことがあるような、と思っていたら、沙弥島でした。
この時に、こんなことを書いていました。
小学生と描いたのだろうな、という絵でしたが、またこの後どこかに飾ってあると良いのだけれど。
同じ絵ではないけれど、その後、本当に防波堤に描かれていたことに驚きました。
防波堤の背後は瀬戸大橋、向かいには与島が見えました。
遠いけれど、島の真ん中に白いのが見えていて、与島灯台に行ったことを思い出しました。
こういう時、行っておいてよかったと思います。
海で行われる秋祭りの様子が絵巻のように描かれています。
この砂浜で獅子が出るのでしょうかね。
堤の合間から海岸を見られるようになっています。
南側には番の州の化学工場。
北側には少し岬のような場所がありました。(googlemapでは「大石の鼻」と名称がついていました)
さらに防波堤を見て行きますね。
こちらが閉校した瀬居小学校でしょうか。
そういえば今春、ニュースなどで最後の卒業式の様子などが報じられていました。
113年の歴史があり坂出市の島しょ部で唯一の小学校だったということだったので、少し寂しいですね。
こちらはタコさんでしょうかね。
海辺での海水浴に、
釣りをする方など、どちらかというと現代的な風景が描かれていました。
(海水浴は既に現代的ではないのかもしれませんが…)
灯台を背景に灯台のイラストを見るのは、なかなか不思議な気持ちです。
船で作業をされている姿も描かれていました。
とても長い防波堤のイラストで、端から端まで見て行くと、この地域の歴史や文化を壮大な絵巻物にして眺めたような気持ちになりました。
引田の湾岸アートも似たような試みでしたが、こちらの方が行きやすい場所にあるかもしれません。
すぐには消さないだろうから、もしお近くに行かれたら立ち寄って見てみてください。
瀬居島アートプロジェクト 祝福の音
ええと、何が大変だったかと言えば、これです。
どのくらい大変だったかというと、僕が瀬戸芸を巡る中(実際には瀬戸芸ではないけれど)で、「最も行くのが難しかったのは何か」と言われれば、これを思い出すかもしれない、というほど。
これまでは小林耕平氏の2016年伊吹島のト・ラ・ン・ス・フォー・マー -島に成るー という作品が最も難しかったのですが、これを超える気がする…。
点在していて、なおかつ探すのが難しい、という点では伊吹島ですが、行くのが難しいと感じたは今回がはじめてです。
最初は防波堤の傍にある「バンブードーム」。
さぬきの石 「サヌカイト」でつく った風鈴240個を、瀬居島を東西に貫く山越えの道にインスタレーションする。 山越えの道は、島を一周する島 八十八カ所「信仰の道」に守られた「人の道」であり、東の浜に生を受け西の海に没する、島人の生が堆積した道である。その空間をたどりながら島風に耳を澄ますと、サヌカイト風鈴が奏でる古の記憶に包まれる。
瀬居島アートプロジェクトのリーフレットより引用
ムムム、サヌカイト240個も風鈴にしたのですね。
バンブードームは道路沿いにあって、チリンチリンと鳴っていたので、なかなか爽やかな雰囲気でした。
こんな感じで展示されているなら、と次を探すのですが…。
普段はあまり地図を見なくても作品を探せるのですが、この作品は地図が要ります。
あら、これは山を越えて行くのかな?と思いながら眺めていましたが、地図を見ていても作品には辿り着かないので、先に進みます。
最初はわかるかな?と思っていましたが、この日は少し風が吹いていたので「チリン」という音が微かに聴こえてきました。
なるほど、音を頼りに探して行けばいいのですね。
地図上では「⑯」となっているので、ここが最後になるのですが、歩いた順番に見て行きますね。(こちらからまわってる方も多かったので)
ここから入って行きますよ、という案内板の➡もありました。
「こっちかな?」「ここ入っていくの?」という声が聞こえてきましたが、僕が先にこちらへ行くと、その後に続いて人が来る、という状況になってしまいました。
何だか知っている風に先を行ってしまい、申し訳ない感じになりました。
奥の階段を上る手前に一つビューポイント(VP)と書かれた展示があるようです。
訪れた時間は昼頃だったので、夕陽は見られませんでしたが、確かに夕方には良い景色になるのだろうなあと思います。
最初、僕はただのビューポイントで、何もないと思っていましたが、チリンチリンという音がしていました。
なるほど、こういう感じで島の(山の)各所を巡って行くインスタレーションなのですね。
注意
パンフレットに 記載された道をそれて 山の中に入らないでください。
滑りやすく危険です。
ムムム、地図に記載された場所以外は行くな、という注意ですね。
これは少し気合を入れて行かねば、と次を目指します。
先を歩いている方が、
「ここは懐かしい!久しぶりに、何十年ぶりに来た」
と言っておられました。
きっと若い頃、子どもの頃この道を通ったことがあるのでしょうね。
少し上ると、右へ入る道がありました。
その道の上にテーブルと瓶、そして頭上からチリン、チリンと聴こえてきます。
ムムム、これは瓶に入ったニンジンだろうか、と思った瞬間、ふと同じような作品を観た記憶がよみがえりました。
おお、こちらの作品もとてもよく覚えています。
塩の中に金時ニンジンが入っていた作品です。
以前は塩の中で、今回は森の中で、瓶に入ったニンジンを見ました。
さて肝心の風鈴ですが、音はするのであると思うのですが、森の中を見渡して、どこにあるのかを確認するのが精いっぱいでした。
少しご年配のご夫婦が、立ち寄られ、不思議そうな表情をされながら先に歩いて行きました。
確かに、僕も写真や動画を撮りながら、どこを撮ったら良いのだろうかと迷うところ。
次は⑬のテンプル。
「入口」とあるので、ここから中へ入るのだと思います。
竹が組んであって、上を歩けるのですが、竹がくるっと回るので、滑りそうになりました。
この作品に関連するワークショップがあったのですね。
足元に気を付けながら耳を澄ますと、さらに奥からチリンチリン。
おお、ありましたサヌカイトの風鈴。
なるほど、こんな感じで風鈴を目指して歩いて行けばいいのだ、とこの時に理解しました。
結構山の深いところで、どうやって風鈴を付けたのだろうか、と思う場所もありました。
終わったら片付けるのだろうから、設置と撤去が大変な作品です。
続いては⑫の秘所。
道沿いだったから秘所ということはないのだけれど(この場所が⑫秘所の展示であるなから)、音に気が付かず通り過ぎてしまう方はいるだろうなあと思います。
(一つ後ろから来た方は見ずに通り過ぎて行かれました)
階段上の上り坂を超えると、⑪休祥とあります。
椅子があり、その上に何か鈴のようなものが置かれていました。
近くにチリンチリンと鳴っていたので、ここだと思います。
これは作品だろうか、と考えながら歩くのはとても久しぶりです。
インスタレーション(←意味はわからないがたぶんこう言う)は、「わかりやすくなくて楽しい」ということを思い出しました。
これが何であるかなんて、誰も説明してくれないし、書いてないけれど、何となくそうだよなあと納得して、次に進みます。
難関、山越えの道
いやあ、この辺りまではなかなか行きにくい道だけれど、来られないこともないなという雰囲気なのですが、この後が難関でした。
このメインの道を行くのは、前後に時折人もいるし、大丈夫なのですが、ここから横道にそれるところがありまして、これはなかなかでした。
「この先⑩」とあるので、見てみたいのですが、
まさに藪の中、タイトルが「樹海」…。
この日は僕は一人で行きましたので、周囲には誰もいません。
一応長袖のウィンドブレーカーを着ていましたので、前のチャックを閉めました。
奥さんが一緒であれば「行かない」というだろうなあと思いながら進みます。
行かないと、何がどんな風にあるかわからないものね。
途中、先ほど見たバンブードームが北浦バス停に移ったという案内を見ました。
確かに、バンブードームはここでない方が良いです…
例えばここを毎日通る地元の方や、昔からよく知っているという方は別ですが、普段あまり人が来るところではないようです。
しかし、この木に近づくにつれ、チリン、チリンという音は大きくなっていきました。
おお、なるほど、この木に風鈴を付けていたのですね。
この展示は、なかなかの難関でしたが、観ることが出来てよかったです。
最難関はここでした
まあ、人によってどこか行きにくい、行きやすいというのはあると思いますが、僕のこれまで見てきた中での最難関はこの場所です。
下へ続く右の道がメインの山道で、左側の藪の中に細い道が一筋。
これ?この道行けるの?と二度ほど地図を見ましたが、間違いがないようです。
僕も他に人がいれば、ついて行くし、向こうから誰か来ればここだとわかるのですが、先ほど複数いたグループ(7、8名いた)の方は一人も姿が見えません…。
しかし、迷っていたって作品は見られませんので、思い切って先へ進みます。
まあ、看板があるからあっているだろう、と思わないといけません。
完全に人よりも自然が勝り、虫と草花の王国です。
そこからさらに脇道へ行くと思われます。
横道に入って行くと、何か見えます。
木とか自然物ではない何かです。
赤い鳥居が見えましたので、神社なのですね。
近づいて行くと、鳥居の向こう側で風鈴の音が聞こえました。
奥に小さな祠があり、その近くで風鈴が鳴っていました。
ビューポイントとあるので、向かいを見てみると、
木々の間から海とその向こうにある五色台が見えました。
確かに、あまり他では見られない景色です。
元の道を引き返し、さらに先へ進みます。
地図の上では、ここが一番奥に展示されている作品です。
一つだけ安心したことがあるとすれば、向かいからお一人歩いて来られたことです。
すたすたとすれ違っただけですが、人が行き来しているということだけで、随分安心できました。
何かの建物の横を過ぎ、少し下ると、広場のような場所に出ました。
屋根があって、ベンチがありますので、ここが岩山観音像のある場所のようです。
岩山観音像の奥は、展望所のようになっていました。
なるほど、瀬居島にはこういう場所があったのですね。
この場所から瀬戸大橋を眺めていると、チリン、チリンという音が聴こえてきました。
なるほど、確かに祝福の音ですね。
しばし瀬戸大橋を眺めていると、次の来訪者が賑やかにやってきました。
「ここかな?」
「わあ、おりるのこわいー!」
と言いながら女性のグループが来られました。
とても急いでいるようで、駆け足で次の場所に移動していきました。
いろんな作品があって、ベビーカーを押しながらでも観賞できるのもあるけれど、ここはいろんな条件が整わないと見られません。
瀬居島に来て、山を歩き(大した距離ではないが)、ここに来ようと思わないと見られない景色です。
僕の中では現在、これが最難関の作品です。
まあ、好みはあると思いますが、なかなか良い景色をみさせてもらいました。
さて、残りは6つです。
メインの山道に戻ると、途中から下りになっていて、その周辺に青翠の道がありました。
鳥の声とともに、頭上から祝福の音が聞こえます。
確かに、青々とした木々の緑が印象的な道です。
ここを抜けると山の反対側の集落に出ました。
順番通りにまわると、ここから上りになりますが、反対側から来るとずっと下りです。
下に降りたくなるけれど、順路はこちらですという表示がありました。
なるほど、間違えて下りてしまうと、もう一度上がって来ないといけませんので、間違えないように、という看板なのですね。
この辺りの舗装した道になると、歩くは楽です。
作者の思い入れなのか、親切心なのか、横道にそれて一つだけというのではなく、二つ展示があるという場所が多かったです。
次の④⑤も手前と奥にありました。
黄色いガザニアの咲く道から上に登る細い道があり、そこを上ってすぐに左に行くと④嶋修神社、まっすぐ進むと⑤法楽稲荷大明神でした。
別のグループの方が「ここ?何があるん?」と言っていたので、もしかしたらここはわからず通り過ぎてしまう方が多いかもしれません。
ここでもチリンという音が鳴り響いていました。
ここも「VP(ビューポイント)」の表示があり、綺麗な景色が広がっていました。
右に五色台、海の向こうには大槌島でしょうかね。
この時点で、まあまあ程よく疲れていましたが、もうひと踏ん張りと坂を上ります。
小さなくぼみが階段のようになっていました。
手すりと草の間を抜けていくと、
お稲荷さんがありました。
鳥居の奥のところに風鈴が取り付けられていましたが、いくつかは下へ落ちてしまったようです。
再び下に降り、集落の中を抜ける道に出ました。
人が一人通れるほどの狭い階段を下りていくと、「家の海」という作品がありました。
「祝福の音」の作品展示の途中でしたが、「家の海」を見て行きます。
瀬居島アートプロジェクト 家の海
ずっと山の中で作品を観て来た後だったので、こうして建物の中に作品があり、テントがあって人がいることに安心しました。
2013年、沙弥島に海の家を制作したが今回は瀬居島に家の(中の)海をつくる。ありふれた生活用品である「ふとん」を素材に、大洋の風景、深海の風景を表 出させた非日常的なインテリア空間で ある。ただ、思えばかつては人は布団 の上で生まれ、布団で亡くなった。今は住む人のいない民家に敷かれた布 団は、人間を包み込む海の、自然の命 この潮流を考えさせる。
瀬居島アートプロジェクトのリーフレットより引用
なるほど、沙弥島の海の家を作られた方なのですね。
僕はフグ弁当をいただいたので、とてもよく覚えています。
そして、この時には屋上に上がり、景色を見渡せました。
「海の家」の次は「家の海」というのも面白いところです。
検温があり、いくつかの注意点を聞いて中へ入ります。
手前には白い砂が敷き詰められた「砂浜の間」、奥は布団が置かれた「大洋の間」、向かって右側に「深海の間」がありました。
なるほど、自由に砂に触ることができるのですね。
少し触ってみましたが、サラサラとした感触で気持ちがよかったです。
奥の間には深海の間。
暗くなっていたので、何があったのかはよくわかりませんでしたが、深海の間、という雰囲気はありました。
再び祝福の音に戻ります。
坂を下る途中、猫を見かけました。
家の傍にも猫。
どことなく家の壁の色と似ていたので、最初は気が付きませんでした。
小径を抜けると海が見え、その脇に展示がありました。
港に面した道に沿って、次の正一位稲荷大明神。
ちょうど心地よい風が吹いてきて、サヌカイトも勢いよく鳴っていました。
いやあ、こうして振り返って書いても長かったのですが、やはり実際に見に行っても長かった気がします。
いよいよ最後の祝福の音は瀬居診療所、老人いこいの家でした。
歩いて目的地に着くまで、ずっとサヌカイトの音を聴いていたから、この後ないのが不思議なほどでした。
島の方だけが知る名所や神社、祠を作品に案内してもらったような気持ちになりました。
1から16まで、もしかしたら錯誤もあるかもしれませんが、巡れてよかったです。
瀬居島東側を巡る
竹浦という集落から、瀬居幼稚園を目指し瀬居島の東側の道路を歩いて行きます。
この先に竹浦のバス停がありました。
最初の駐車場の場所が西浦バス停、防波堤の北浦バス停、そしてこれから向かう瀬居幼稚園前と作品の場所はバス停の近くになっているのですね。
東に海を見ながら歩くので、この道を歩きながら本島を思い出しました。
本島の東手には瀬戸大橋が見えますが、瀬居島の東手には五色台。
陽の当たる感じとか、海の感じとか、海辺の様子など、とても似ていました。
先ほど高台から見た景色と似ていますが、波打ち際、砂浜が近いのが違うところです。
瀬居島の東側にこういう場所があるとは知りませんでした。
堤防の向こうには小瀬居島が見えました。
瀬居島の中学校の脇を抜け、旧幼稚園の園舎に向かいます。
瀬居島アートプロジェクト ボタン曼荼羅
角を曲がりまっすぐな道を歩いていると、道沿いに展示場所が見えてきました。
もともと幼稚園だった場所なのですね。
中に入り、案内の方に促されて入口へ。
いくつか注意書きがありました。
「作品(ボタン)に触らないでください」これを見た時に、ふと同じような注意があったことを思い出しました。
これを見た当時もこんな風に書いていました。
一つ一つは細かい糸で吊るされていまして、もし絡まると、作家さんが再度修正しなければいけないのだとか。
なので、ボタンに触れないでください、と言われていたのを思い出します。
そして今回も入ると係の方から「黄色い線から内側に入らないでください」とのこと。床に敷き詰められたボタンはこんな感じでした。
わあ、これもすごいことになっています。
いったいいくつのボタンを使っているのだろうという感じ。
係の方がおられたので、
「すごい数ですね、どのくらいあるのですか」
「数万個だそうです」
「以前ボタンをつるした時は数千個だから増えてますね」
「時間をかけて作家さんが集めたのだそうです」
幼稚園の遊戯場一面にボタンが敷かれ、それを見たり、写真を撮ったりしているのが面白いところです。
遠くからはわかりませんが、近づいてみると、無数のボタンが見えてくるから不思議です。
出る間際、係の方に「祝福の音の作品は山の中ですか?」と尋ねていました。
係の方は行ったことがないので、と言いつつ「結構山の中らしいです」と答えていました。
そうそう、僕も今行ってきましたけれど、結構山の中ですから、どうぞお気をつけて、と心の中でお伝えしました。
瀬居島のアートプロジェクトは、僕の中では2016年の沙弥島と繋がっていて、とてもよかったです。
6年前のことをこうして思い出しながら作品を鑑賞できるのだから、きっとまた3年後、同じように瀬居島に来て、今回のことを思い出すだろうなあと思います。
沙弥島と瀬居島、作品を通じてお互いの島のことを思い出せるので、来られてとてもよかったです。
ヨタの漂う鬼の家
ここで記事を終わりにしてもよかったのですが、もう一つだけ書いておきます。
2019年の春会期に沙弥島ナカンダ浜で公開制作され、展示されていた作品に「ヨタの漂う鬼の家」という作品があります。
その後進水式が行われ、各地を巡っているということでしたが、この春、瀬戸芸にあわせて坂出に来ている、とのことでした。
そして、3月下旬、瀬戸大橋記念公園のカフェに立ち寄った際、僕は見たのです。
最初は「珍しい色の船だな」くらいに思っていたのですが、色や形から見て、もしかしたらと撮りました。(スマホしかもっていなかった)
その後、サイトなどをチェックしていたら、坂出港に停泊しているというので、見に行ってきました。
白い船体が多い中、ひときわ目立つ赤い船がありました。
わあ、ワンダーえびす丸、完成した姿を見るのも、海に浮かぶ姿を見るのも初めてですが、本当にあったのですね。
今回の瀬戸芸にあわせ、試乗体験などのプログラムがあったそうです。
ナカンダ浜で作られていた船が、こうして海の上に浮かんでいるというのも不思議な感じがします。
瀬居島もワンダーえびす丸も、元々は瀬戸芸沙弥島からはじまっています。
これからも瀬戸芸でいろんな作品が生まれ、またそれが地域に広がっていく、そんな循環が続いていけば良いですね。
長くなりましたが、これで瀬居島アートプロジェクトのお話はお終いです。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。