瀬戸芸秋会期の大島のことを書いておこうと思います。
高見島の次に大島へ行きました。
本来は夏会期か秋の早い時期に行こうと計画していましたが、夏は感染の状況から会期が短縮され、秋からはリングワングのデングの「逃走階段(エスケープルート)」が土日祝の朝の便のみのツアーとなり、なかなか行くタイミングがありませんでした。
週末、奥さんも行くというので、少し早めに出て大島も見てきました。
会期もあと少しだけれど、瀬戸芸大島の秋会期や、リングワンデルング「逃走階段(エスケープルート)」(以下と逃走階段)のことなどにご興味がある方の参考になれば幸いです。
高松港から大島行きの船
他の東の島々同様、大島へは船で行きます。
「官有船」という船で料金は要りません。
もし、「逃走階段」のツアーに参加したいのであれば、朝9:20発の船に乗らなければなりません。
この船の乗客のみにツアー参加の意向を聞き、10:45、11:20の2回にに分かれてツアーが行われます。
こういう時に頼りになるのは、電話の総合案内です。
「逃走階段のツアーに参加したいのですが…」
「9:20の船に乗ってください。乗船の整理券を8:50頃から配布します」
「整理券をもらうために列ができていますか?」
「自分の経験上、8:30には並んでおられた方がいました。8:50には配布が終了している可能性もあります」
要約するとこんな感じのやりとりでした。
なるほど、8:30には整理券を求める列が既に出来ていることがある、というのようですね。
どうしようかと相談した結果、8:20過ぎに港に着くように自宅を出発。
サンポートの地下駐車場へ停めて、桟橋へ着いたのが8:22、計画通りに着きました。
おお、本当だ、左側大島の乗船場所に列が既に出来ていました。
「8:40頃から整理券を配布します」とのことで、僕が受け取った整理券は18,19でした。
検温を行い、リストバンド、整理券を受け取ると、一度解散し再度9:10までに戻ってくるように、との指示がありました。
列に並んでいないけれど「お連れ」の方の分も受け取っていた方がいたので、その方は
必ず後で検温してください、とのことでした。
大島は島での食事ができないので、その前に飲み物などの準備をしておいてください、とのこと。
後ろの方がお弁当のビニールを持っていたので、「カバンの中にしまってほしい」と言われていました。「感染対策」という名の食事禁止に関しては、かなり規制が厳しかったです。今回開催する条件の一つになっていたのでしょうかね。
大島行き官有船せいしょう
2016年はこの官有船が使えず、小さな船で行ったこともありましたが、2019年に続き今回も「せいしょう」。
一階、二階とデッキがあるのですが、青松園利用者と職員は二階、瀬戸芸の観光客は一階となっていました。
「国が責任をもって運営する」船は、良くも悪くも、こういう感じになるのだなあと思います。
良いところは誰でも乗れるところですが、悪いところは維持が目的化していて、これ以上変われないというところ。
時間通りに高松港を出航です。
見送り隊の方が数人手を振ってくれてました。
瀬戸芸秋会期の大島にて
30分ほどで大島に到着です。
わあ、相変わらず綺麗な砂浜です。
船から下りて案内所まで行くと、大島での鑑賞についていくつか注意点などの説明がありました。
続いて逃走階段の申し込みです。
10:45、11:30の回に分かれてくださいというのですが、男木島行き11:30に乗る可能性のある方は10:45にご参加ください、とのことでした。
半々くらいに分かれていましたが、僕らは先に他の作品を見てから行きたいので、11:30の回にしました。
参加を申し出ると、整理券付き確認書を渡され、注意事項を読んで署名しなければいけません。
僕が行った感じだと、よほどの不注意か不運がなければいけると思います。
書いている時にふと思ったのですが、「瀬戸内国際芸術祭実行員会」の会長は、途中から新知事に変わっているのですね。
瀬戸芸秋会期の大島 カフェシヨル
続いてこえび隊による大島のガイドツアーへの参加を募っていましたが、こちらは「希望される方だけです」とのこと。
僕はこのツアーに2回ほど参加したことがあるので、早速作品を見に行きます。
大島青松園の社会交流館の中にあるカフェシヨル。
これまで土日に訪れたことがなかったので、開店しているカフェシヨルを見るのははじめてです。
大島で採れた果物を使ったクッキーや焼き菓子などを販売していました。
大島の中では食べずに、高松に帰ってから食べてください、とのことでした。
とても人気のあるカフェだったので、また次回は再開できると良いですね。
社会交流館鴻池朋子の作品
社会交流館には4つの作品が展示されていました。
先ほどの「カフェシヨル」が部屋全体としての作品だそうです。
そして、テーブルの上の作品が「語るテーブルランナー」。
映像作品が「浜辺の歌、月着陸、壁上り」。
浜辺の歌、歌声を聴いていたら、その後とても耳に残りました。
部屋の周囲にはたくさんの絵が展示されていましたが、それが「物語る金の豚」の展示です。
一つ一つの展示を丁寧に見ていると、時を忘れそうになりました。
瀬戸芸秋会期の大島 青空水族館、森の小径、Nさんの人生・大島七十年
続いて田島征三さんの作品を見に行きます。
受け付けのテントがあり、10:30~でした。(ちょっと早めに入れてくれました)
奥さんははじめてだったので、ゆっくり見ていました。
僕は3回目になるので、そうだった、そうだった、と見て行きます。
ここを抜けると、森の小径。
綺麗に整備され、木々も成長してきているので、森の小径という雰囲気になってきました。
その植物に時間の経過を感じます。
田島さんの作品三つが続いていて、こちらが三つ目の作品。
他の人がいなかったので、今回はじっくり見学しました。
この建物の裏手に解剖台の建物が出来ていました。
一つの作品空間を過ぎ、外に出るとひと息つき、また建物の中で緊張感を得る、その繰り返しが大島の作品にはあります。
瀬戸芸秋会期の大島 海のこだま、稀有の触手
この辺りの作品も前回と特に変わりはありませんでした。
しかし、前回より人が少ない時間帯にみられたので、それはよかったです。
隣の「稀有の触手」。
瀬戸芸秋会期の大島 歩みきたりて、海峡の歌/Strait Songs
最初に見た時に強い印象を残す作品と、あとからじわじわとその印象が強くなる作品があるとすれば、これは後者です。
受付の方が、山川さんが歌人のモンゴル抑留と故郷愛媛、大島を辿ったドキュメンタリーです、と解説してくれました。
前回はあまりゆっくり見られなかったので、今回はゆっくり見ました。
それほど難解な作品ではないのだけれど、一度目より二度目の方がその意図を感じ取れた気がします。
ここ、この場所です。
チリン、チリンという音と、アーティストの呼吸音、子どもの歌を詠む声、周りの鳥や虫の声など、ここでしかわからない雰囲気があります。
その時にはわからなかったのですが、前回帰ってから思い出したので、この作品はとてもお勧めです。
瀬戸芸秋会期の大島 声の楔
こちらは夏会期から公開された新作です。
少し丘のようなところまで上りますが、地面が滑るので注意してください。
島の方の肉声が流れていました。
リングワンデルング 逃走階段エスケープルートへ
ゆっくり見ていたら、集合時間(11:25)の10分前になっていました。
集合場所、「リングワンデルング」の潮騒トレイルになっていました。
僕らは結構急いで行って間に合いましたが、下から15分くらい見ておいた方がよいです。
この地図のトンビの頭の上あたりの道が「潮騒トレイル」です。
誰もいないけれど、大丈夫だろうか、と思うのですが、それもそのはず、帰りは皆さん反対方向から帰るので誰にも会わないのです。
途中まで行くと、既に皆さん一段下に降りて並んでおられました。
手袋をしていましたが、同意確認書を渡し、貸し出し用の手袋に変え、下に降りて行きます。
ビニールシートがあり、そこに荷物を置いて行きます。
僕は上着のポケットに、スマホだけ入れました。
瀬戸芸一の難所を下りる
こんな感じの崖に階段が作られていて、それを下りて行きます。
ロープを掴んで下りるところがあるため、間隔を開けて一人ずつ下りて行きます。
注意事項、作者のメッセージなどを聞きます。
「撮りたい気持ちはわかりますが、下りながらの写真撮影はおやめください」
確かに、これは危険…。
余り下りたことがないような急な崖の階段です。
下りる前に一人スルッと尻もちついている方がいました。
「わあ、滑る!」
そんな山の道です。
「ここが瀬戸芸で一番の難所ですね」
「ああ、そうかもしれません」
ロープか、木を掴みながら、慎重に下りて行きます。
途中、木のないところで、一本のロープを掴み、石の段を下りました。
最後は少し砂まじりになっているので、滑らないように注意しながら降りました。
これは確かにツアーにして人数絞らないと難しいよね、という感じでした。
危険を冒し、自由を求めて険しい崖を下っても、その前には海。
そして、2㎞向こう側へ泳ぎ着いても、その先はどうする?渡って何をする?
普段は見慣れた穏やかな瀬戸内海の景色が、この日大島から見ると、また違った景色に見えました。
帰りに登って行くのも結構ひと苦労でした。
場所によっては一段の高さがあるので、足を上げて登れない方は厳しいです。
その後リングワンデルングを巡り、港へ戻りました。
13:25の10分前に松林に集合、となっていたのですが、少し時間が持て余す感じです。
僕はこの日は行かなかったけれど、11:30に男木に渡るというのも一つの巡り方だと思います。(この船は有料1000円)
14時前に高松港に着いたので、担々麺を食べました。(ランチ14時オーダーストップなので行かれる方は急いで!)
大島、夏からずっと行く計画を立てていたので、今回訪れることが出来てよかったです。
瀬戸芸も秋会期は残り一週間。
是非一度大島を訪れてみてください。
瀬戸芸の良い旅を!