直島新美術館の作品について、書いておこうと思います。
直島新美術館は、2025年5月に、直島の本村にオープンした新しい美術館です。
高松からの行き方は、直島新美術館のカフェで詳しく書きましたので、そちらをご覧ください。
この記事では、開館記念展示「原点から未来へ」の展示の様子や、安藤忠雄氏設計の建物のことを書いています。
直島新美術館について、ご興味のある方の参考になれば幸いです。
目次
- 直島新美術館の屋外アプローチ
- 直島新美術館は瀬戸芸パスポート対象(期間外利用不可)
- 直島新美術館のエントランスから
- 入場ゲート前で
- 1階から入場
- 1F/G1の作品
- 直島新美術館の作品 Hub/s、ソウル、ニューヨーク、ホーシャム、ロンドン、ベルリン
- 直島新美術館の作品 B2/G3 G4
- 直島新美術館の作品 洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip
- 直島新美術館の作品 MONUMENT FOR NOTHING 赤い鳥居
- 直島新美術館の作品 ヘッド・オン
直島新美術館の屋外アプローチ
さっそくエントランスとアプローチ?(エントランスに続く階段やスロープ)から見ていきます。

コンクリートに文字が浮き出ていて、漢字と英語が入り混じったデザインでした。
(なんて言うのかね、ボード?看板?)
その先には、階段が続きます。

おそらく香川県内で最も海外の方が行き交う階段の一つです。
小さな男の子が楽しそうに走って下りてきて、少し年上の女の子は、竹林から聴こえる風鈴みたいな音に耳を傾けています。
豊島にボルタンスキーさんの「ささやきの森」がありますが、そこで聴いた音に似ています。

エントランスにたどり着く前から立ち止まってしまいます。
階段を上りきると、やっと美術館の外観が見えてきました。


瀬戸内海国立公園の建物は、階数に規制があるのだそうで、高い建物が建てられないのだそうです。
その分地下に埋まることで、独特の景観や雰囲気がありますよね。
見えている部分はほとんど入り口部分なので、この下に美術館が埋まって?建てられています。
直島新美術館は瀬戸芸パスポート対象(期間外利用不可)
直島新美術館の屋外アプローチには、2026年にサニタス・プラディッタスニー氏の新作ができるのだそうです。これも楽しみですね。

エントランス前では、数組の方がスマホを確認中です。

直島新美術館は、入場に際してチケット予約制となっているため、事前に予約が必要です。
ベネッセアートサイト
https://benesse-artsite.jp/
前回はアカウント作成しなかったのですが、今回は作成しました。
そして気になる瀬戸芸のパスポートが使えるかどうかですが…
瀬戸内国際芸術祭2025会期中(春会期:4月18日~5月25日、夏会期:8月1日~31日、秋会期:10月3日~11月9日)は、ベネッセアートサイト直島の対象施設において、作品鑑賞パスポートで鑑賞いただくことができます。「作品鑑賞パスポート」で入館いただけるアート施設、対象外となる施設は以下のとおりです。
※瀬戸内国際芸術祭2025会期以外は、作品鑑賞パスポートはご利用いただけません。
瀬戸内国際芸術祭2025「作品鑑賞パスポート」につきまして | ニュース | ベネッセアートサイト直島より引用
直島新美術館は対象となるようですが、会期外は利用できないのですね。
ただし、夏会期:8月1日~31日、秋会期:10月3日~11月9日はパスポートで入場が可能のようです。
僕も最初は8月に、と思っていましたが、国内外から注目を集め、今回の瀬戸芸直島のメインとなるこの施設は、会期中はとても混雑するのでは?
ということで、先にここだけは行っておこうと今回は考えました。
もちろん料金は必要ですが、地中美術館大人一人3000円!とかに比べたら、半額です…他にも「きんざ」や「南寺」など時間制の予約が必要な施設もありますが、直島新美術館は特に時間で制限されていませんでした。(2025年5月)
混みあう時期を避けて、ゆっくり観賞したい方は、瀬戸芸の会期外をお勧めします。
直島新美術館のエントランスから
さて、エントランス、正面に向かい右側へ入って行きます。

入ってからわかったことですが、この先の回廊にも下道基行さんとジェフリー・リムさんの作品(写真)があり、撮影は禁止です。


向かい側には、コインロッカー、傘立て、チケット販売機、その奥に入場ゲートがありました。
コインロッカー、小さいのでスーツケースとかは入りそうにないです。
少しですが、ミュージアムグッズもありました。
入場ゲート前で
入場ゲート、皆さんが戸惑って立ち止まる、最新のゲートでした。
(たぶんすぐ壊れて替わると思うよ、これ)

さて、スマホのQRコードを出し、機器にかざします。
すると、OKみたいな感じの表示になるので、バーを押しますと入れます。
僕は自分のスマホに二人分のチケットがあったので、中に入ってから奥さんのQRをかざしました。
なかなかこれは一人では難しいと思います。
誰も係の方がいないのか、というとそうでもなくて、ちゃんと人がいます。

地中美術館も、豊島美術館も相当お客さんといろいろあるのか(海外の方が多いからね)、愛想がないけれど、まだ新しい美術館とスタッフは、親切にいろいろ教えてくれました。
皆さん、知っているふりして入場しているけれど、まだ誰もが入るの初めてなのだから、右往左往。
とてもお洒落な現代アート好きな方や海外の方が、この辺でうろうろ彷徨っているのは、見ていてな何だか微笑ましい感じもしました。
見ていたら、皆さん出口を探しているようなのですが、入場口と出口は同じでした。

入るのはわかるけれど、出るのはわからないですよね。特に説明もないからね。
それで皆さん、観賞が終わったのにも関わらず、ここでうろうろしていたわけだ…
新しい施設ならではの光景でした。
さて、この先は美術館の中を見ていくので、まだ行ったことがなくて、建物や作品を楽しみにしている方、「ネタバレ」は嫌な方は注意してください。まあまあ詳し目に書いています。
1階から入場
建物は、エントランス、入場ゲートがあるフロアが1階で、地下2階、地下3階へと降りていく構造です。

建物の構造を言葉で表現すると、1階から地下2階まであり、それぞれのフロアに作品を展示するG1~G4までの部屋があるという感じです。
言葉より図の方がわかりやすいね。

こんな感じになっていますので、順番に見ていきますね。


僕は安藤忠雄氏がそんに好きということでも、興味があるというわけでもないのですが、この建物がちょっと変わっていて、多くの方が面白いなという気持ちになるのは理解できます。
コンクリートの隙間から、自然光が差し込み、照明になっています。

今上っている方がいますが、もちろん階段は上っても、下りても大丈夫、行き来できます。

エレベータの隣にも階段があります。
何か、未来的な雰囲気で、かっこいい…
奥にはお手洗いもありました。
1F/G1の作品
どんな作品があるのか、見たいですよね、僕もです。
作品の意味とか、意図とかよくわからないので、個人的な感想とともに見ていきますね。個人の感想ブログです。

昔からベネッセ(福武書店)は現代アートを支援していて、90年代から直島を中心としたアートサイトを展開していました。
その後2010年から瀬戸芸がはじまり、僕もそのあたりから現代アートを見始めました。
作品を観て、その後こうしてブログや動画にまとめるうちに、「あれ?この作家、以前観たような…」ということがあって、その作家や作品に親近感が湧く、ということが多々あります。
今回の直島新美術館の開館展示は、そんなメンバーがずらりと並んでいて、本当によかったです。
エントランスの写真は「下道基行+ジェフリー・リム瀬戸内「家族」写真館 (「瀬戸内資料館」プロジェクトより)2024」。
撮影禁止なので、撮影できませんが、下道さん、先日瀬居島の「津波石」を見たばかりです。
下道さん、直島の瀬戸内資料館「 」プロジェクトもされていました。

ティグパナリポッド(守護者たち)11°02′ 06.4″ N 123° 36’24.1″E(2)
2022
フィリピンの島の映像作品、じっと見てしまいます。
こんな感じで作家・作品の紹介プレートがあります。
小さいので、探してみてください。

11°02′ 06.4″ N 123° 36’24.1″E(2)2022
奥にはホール一杯に作品が展示されていました。

ヘリ・ドノ論の冒険旅行 2014
空から降る天使 2004
空から降る天使、僕は何処かで見たような、という気持ちになりました。
2019年福武ハウスで行われたヘリ・ドノさんのインタビュー記事がありました。
福武ハウス「MEETING アジア・MEETINGアーティスト:ヘリ・ドノ」2019.10.07
僕はこの時に直接見ていないのですが、写真とかで随分拝見したような気がします。
この記事の時にもおられた三木さんが、今回新直島美術館の館長さんをしておられます。

ヘリ・ドノ論の冒険旅行 2014
空から降る天使 2004
10枚の連作だそうで、大きくて見応えがあります。

ヘリ・ドノ論の冒険旅行 2014
空から降る天使 2004
反対側にも、かつて見たことがある作品がありました。


このお顔、見たらインパクトがあって、忘れられませんよね。
こちらも福武ハウスで観たインディゲリラさん、ヘリ・ドノさんとの合作なのですね。


壁には第11回ベネッセ賞を受賞した作品、「アフターマス」。

アフターマス
2016/2025
福武ハウスのギャラリーでは、折りたたんでありましたが、今回は壁一面に展示されています。
わあ、こうしてあらためて見ると、迫力があって、細かい!

一つの壮大な物語が込められているのだそうで、じっと見ていると長い映画を見たような気持になります。

直島新美術館の作品 Hub/s、ソウル、ニューヨーク、ホーシャム、ロンドン、ベルリン
さて、階段を降りて地下一階、B1/G2へ行きます。
階段を降りると、地図やベネッセと直島のこれまでの歩みが年表になっていました。

お部屋の前には自動ドアがありまして、誰かが先に入ってくれればわかりますが、誰もいないとわからないです。
もちろん僕は先に行きたいタイプです。

Hub/s、ソウル、ニューヨーク、ホーシャム、ロンドン、ベルリン
2025
これははじめて見る作品です。
ソ・ドホさんの代表作で、これまで暮らした家の一部が、カラフルな布で表現されています。

中を歩くと「わあ」という気持ちになります。

直島も加わった、というのですが、日本の家屋すぐにわかりました。
そして、それぞれの細工がとても細かく、色彩も鮮やかです。


全然見知らぬ方の家の一部ですが、時間と空間を超えて、自分がいたような感覚になりました。

細かく作られているのは、驚く他ありません。
触れてはいけないのですが、電話が鳴ったら、とってしまいそうです。
一方通行になっているのですが、何度も行き来したくなる作品でした。
直島新美術館の作品 B2/G3 G4
さらに下の階、地下三階へ下りていきます。

道(青写真)
2026

2024
Chim↑Pomさん、福武ハウスのエントランスに作品がありました。

キラキラのコンテナの中に一人ずつ入って体験する作品です。
写真は撮ったけれど、これは行ってみて楽しむ作品だな、と思いますので、中の写真はやめておきます。

直島新美術館の作品「洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip」
奥の部屋に行くと、またまた驚き、村上隆氏の大きな作品がありました。

「洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip」、京都での展示の後、福武財団が購入したのだそうです。そのインタビューが後ろにあります。これも興味深く、面白いです。
近づいてみると、本当の細かいです。
2700人くらい描かれているそうですが、その一人一人がとてもリアルです。

「写真撮っても良いんですか?」「大丈夫ですよ」みたいなやりとりが2回ありました。
そう思いますよね。だけれど、この全体の迫力や、細部は実物とは違うものです。


黄金の輝き、見ているととても眩しいです。

伊勢で見た雅楽の大太鼓、こんな感じだったのだろうなあと思います。

屋根の上にいるのが作者で、その視線の先には福武書店の創業者がいるのだそうです。

直島新美術館の作品 MONUMENT FOR NOTHING 赤い鳥居
次の部屋は会田誠さんの新作「MONUMENT FOR NOTHING 赤い鳥居 2025」
男木で模型を製作している時にお話したら「こっちは本気です!」と言っていました。
言われた通り、すごい作品でした。
撮影禁止なので、撮っていないのですが、平成30年間を一つの作品で振り返る、という趣旨の作品で、政治家や事件や事故、流行したものや風景のコラージュが使われていました。
最初の20年は新聞テレビなどで、後半10年はSNS(主にTwitter)でよく見た写真です。
僕は高校生から大人になるまで、この時代を生きたので、ほぼ全てわかりました。
昭和はよく振り返られるけれど、平成はまだそんな雰囲気はないですよね。
平成を振り返ると、こんな感じになるんだ、とちょっと感動しました。
良いことも、そうでないことも、時間が経つと「歴史のひとコマ」的なユーモアがあって、失われた30年とよく言うけれど、それだけではない、何かを感じ取れる作品です。
また今度はメモ持って行って、何があるのかメモして見たいです。
最後のお部屋に入る前に、作者のインタビューが見られるスペースがありました。

それぞれの作品の意図などを説明しているので、見ていたら、もう一度作品を見に行きたくなりました。
直島新美術館の作品「ヘッド・オン」
最後の作品、蔡国強さんの「ヘッド・オン 2006」。
ベネッセハウスの近くの蔡国強さんの「文化大混浴 直島のためのプロジェクト」があるのですが、これを見た時に、「ヘッド・オン」の画像を見かけました。
いつか見てみたいな、と思っていましたが、直島新美術館で見ることができました。


オオカミは99匹、小さい子が触ろうとしてしまい(気持ちはよくわかります、僕も触りたい)、係の方が慌てて「触らないでね」と言っていました。
係の方も大変です。



アクリル板はベルリンの壁の高さと同じだそうです。
繰り返し上っては跳ね返され、また上ろうとする、壁に一つ手がかかっているので、もう少しで越えられる、そんな瞬間を見た気持ちです。
とてもかっこいい作品です。


さて、これで直島新美術館の展示は終わりです。
ベネッセハウスなど、他の直島の美術館は恒久展示が多いのですが、直島新美術館は、緩やかに展示替えをする予定だそうです。
3年毎の瀬戸芸や、ベネッセ賞の動向も見ながら、また展示が替わるのも楽しみです。
直島、少し遠い場所にありますが、素敵な美術館ができましたので、ぜひ立ち寄ってみてください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。