みる誕生鴻池朋子展 を見に高松市美術館へ行ってきました。
そんなに頻繁に美術館に行くわけではないのですが、今回は是非足を運んで見てみたい、と思い訪れました。
みる誕生鴻池朋子展や高松市美術館にご興味のある方の参考になれば幸いです。
みる誕生鴻池朋子展 高松市美術館
「みる誕生」とあったので、ポスターを見ると「みる」という何かが生まれたのかな、と思いますよね。
今回、鴻池は生まれたての体で世界と出会う驚きを「みる誕生」と名付けました。観客は眼だけではなく、手で看(み)る、鼻で診(み)る、耳で視(み)る、そして引力や呼吸で観(み)て、美術館という強固な建築と、疎遠になってしまった自然界とに新たな通路を開いていきます
みる誕生 鴻池朋子展|高松市美術館公式サイトより引用
なるほど、いろんな「みる」があるのですね。
高松市美術館の入口には可愛らしい動物のオブジェが置かれていました。
胴体に座れるようになっていました。
エントランスから入ると、どーんと正面に大きな物体がぶら下がっていました。
皮トンビ
わあ、すごい!
中央に流さんの彫刻がありますが、それを取り囲むように何かが展示されています。
今回の「みる誕生鴻池朋子展」は、瀬戸芸2022夏会期公開の作品の一つになっています。
受付で3シーズンパスポートを提示すると割引があり、団体料金大人800円で鑑賞できます。
「ホールの写真は大丈夫ですか?」と尋ねると、「壁面の図面、テキスト以外は大丈夫です」とのことでした。
よくよく考えると、このホールは入場料を払わなくても入れます。
(もちろん中の展示の方が面白いのですが)
そして、振り向くと今回僕が一番見てみたかった作品が展示されていました。
おお、大きい!
そして、これは「皮トンビ」という名前だったのですね。
2019年に瀬戸芸で大島を訪れた際に「リングワンデルング」という山道を巡る作品があり、その山中でこの作品を見かけました。
二人で巡ったリングワンデルング「瀬戸内国際芸術祭2019 大島」
美術館で見ると、重りがあり、太い綱で繋がれているので、こういうものかという理解が出来ますが、森では違いました。
ここに何かありますよ、という展示ではなくて、いきなりこれが見えたから、とても驚いた記憶があります。
その時にも大きなものだということはわかっていましたが、ここまで幅が広いとは思いませんでした。
ちょっと近寄りがたい斜面にあったから、遠くから見るだ毛でしたが、とても印象に残っていました。
解説があって、これは「皮トンビ」という名で、2019年当時野ざらしにして、その後東京でも公開されたのだそうです。
この後、福井や静岡に飛んで巡回していくのだそうです。
一つのところにとどまらず、各地を巡りながら、新しい皮トンビもまた戻って来てくれたらいいなあと思います。
エントランスホールの皮トンビ、迫力があるので特にお勧めです。
糸を辿ってみる
続いて、美術館二階へ上がっていきます。
この美術展では「糸をたどってください」という表示があったので、手すりにかかる糸を頼りに進みます。
最後まで糸を辿って歩きました。
普段入口となるところをUターンする形で、出口となることが多いところが受付となっていました。
糸をたどってみると、全部の作品をみることになります。
受付でいくつか注意事項がありました。
・入ってしばらくの作品は高松市美術館の作品なので、写真・動画はNGです。
・奥の廊下のところから鴻池さんの作品がはじまり、そこからは写真OKです。
とのことでした。
市美術館所蔵の作品を観ていると、灯りがつく作品があって、係の方に尋ねると「もう少しすると点灯すると思います」とのこと。
暫くするとほんとにばあと灯りがつき、30秒ほどでまた消えました。
その奥からが鴻池さんの作品展示です。
一緒に行った奥さんは「毛皮?これ本物?」と何度も聞いてきました。
「よく知らない」と答えました。
僕はこうした動物や自然の感じは何ともないのですが、奥さんはちょっと怖かったのだそうです。
絵画が並び、その下に動物の糞などが置かれていました。
それを見てまた「本物?これ本物?」と聞いてくるから、「よく知らない」とだけ答えました。
それが何であるのかよくみることの大切さを思います。
前日に我が家のドアの前に小さな蝉が死んでいたのだけれど、今朝それがなくなっていました。
そのかわり、これと同じようなものが壁の上に付いていましたので、きっと鳥がきてさらっていったのだろうなあと思っていたところです。
そのフンもその後の雨によって流されてしまい、そのまま何事もなかったかのとように元に戻りました。
カラスのペリットという展示をみると、そんなことを思い出しました。
普段は休憩室となっているスペースの小さな扉が開いていました。
ええ!こんなところに展示するの?という感じもありましたが、見ていたらそんなに違和感を感じませんでした。
ここは普段何の役割をする空間なのでしょうかね。
時々ぶら下がっている動物がいましたが、なかなかこうした展示を見かけることはないので、新鮮な感じがします。
またしても「これ作業中?展示中?」と聞いてきましたので、「よく知らない」と答えました。
しかし、「みる」ように出来ているのだから、展示ではないだろうかと思います。
これを見たくらいで、奥さんもその意図を何となく理解し始めたようで、聞いてこなくなりました。
僕もそうだろうと思うだけで、確かなことは何もないのですが、そんなものです。
しかし、大掛かりで斬新な展示という感じは伝わってきました。
動物やオブジェ、動く物体から何となく見つめられているような気持ちにもなりました。
もしここが美術館ではなく、森の中だったら、とても驚いたと思います。
帰宅して子どもに見せたら「ニズゼルファだ!」って。
確かに少し似ています。
壁に二つ大きな絵画がありました。
大きな絵で、どうやって描いたのだろうとしばらく見てしまいました。
もう少し時間をかけて、キャプションなどをじっくり読み込めばよかったなあと思います。
大きな部屋を二つに隔てる膜のような入口がありました。
遠くから見ると膜のように見えましたが、入っていくとビニールのようにカサカサとした感じです。
先ほどの動物の毛とはまた違う感覚でした。
わあ、ここもとても変わっています。
何が何だかはよくわからないけれど、動くものがあり、止まっているものがある、という感じ。
「何かよくわからないけれど、山のようなオブジェだ」とか「これは獣の角に似ているが足にも見える」といったように、みる方の経験をフルに動かして想像します。
写真では止まっているけれど、二つは交互に動いています。
デコレーションケーキのような上には白い動物が何かをくわえているように見えました。
これもただ回転しているだけなのですが、途中から山の中でくるくる回る雪の竜巻のように見えてきました。
何気なくこの位置から眺めていたのだけれど、
はっ!トンビにみられている!
意識しない時には、不思議と自分が捕食者のつもりでみていましたが、ふと気が付くとまわりの獣たちにみられている気分に。
きらきらと光っていて綺麗だなと近づいてみると、ちょっと怪しげなものだったり、魔物のようだったりと、それがとても面白い展示でした。
特にアートに詳しくなくても、興味がなくても、楽しめると思います。
高松市美術館の場所や行き方などは以前北斎展の時に書いていますので参考にしてください。
「みる誕生鴻池朋子展」は、高松市美術館で夏会期中の9/4まで開催されています。
是非機会が有れば立ち寄ってみてください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。