さぬき市冬のうまいもんまつり の開催される2月も半ばの週末になると、どちらに行くかなかなか悩ましいことがあります。
今年は坂出の天狗まつりに行くか、うまいもんまつりに行くか、それとも津田の松原の凧揚げか…いや、まてよ男木島の水仙もなるけれど、なんて考えていましたが、奥さんはうまいもんまつりに決まっているというので、行ってみました。
※追記 2021.1.31
美味しかったのでまた今年も、と楽しみにしていたのですが、2021年(令和3年)の冬のうまいもんまつりは中止となってしまいました。残念、また来年。
令和3年(2021年)2月に開催が予定されておりました「さぬき市冬のうまいもんまつり」ですが、新型コロナウィルスの影響を考慮し中止が決定いたしました。ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
※中止決定※さぬき市冬のうまいもんまつり | 一般社団法人さぬき市観光協会のHPより
※追記終わり
「うまいもんまつり」って何だと思う方もいるかもしれないので、一応説明すると、「うまいもん・うまいもの=美味しいもの」の「祭り」という意味で、香川県さぬき市にある美味しいものを、たっぷり集めた行事だそうです。
僕は今回はじめて訪れたのですが、最初は確か「さぬき鴨庄かきまつり」ということであったかと思います。
西の多度津沖の「白方かき」と、鴨庄の「源内かき」が香川では大きな牡蠣養殖の産地となっています。
多度津の白方かきも有名で、こちらは地名の「白方」をブランドにしていますが、さぬき市は地元出身の平賀源内から「源内かき」としているのですね。
もちろん本題はさぬきうまいもんまつりなのですが、その前に「牡蠣焼き」についても書いておこうと思います。
ちょうどさぬき市に向かう途中、高松市の牟礼、もっといえば原になるのだと思いますが、「牡蠣焼き」のお店がありました。
お店と言っても、自宅を改装したようなところで、冬の牡蠣の期間だけ営業していました。
地元の方にはとても人気があって、毎年のように予約して食べに行っていました。
僕は20年ほど前に、かがわさん(地元の人のことです)に連れて行ってもらったのがはじめてで、「牡蠣は食べられますか、牡蠣行きましょう!」と行きました。
中に入ると、網で殻付きの牡蠣が大量に焼かれていて、それを囲んで皆さんが牡蠣を食べています。
牡蠣なんて当時食べたことが無かったから、食べ方から教えてもらいます。
そのお店では、食べ放題ということで、片手に軍手をはめ、先のとがった道具を使い、殻から身を取り出して食べていました。
確か飲み物や調味料は各自が持ち込んでもOKだったのですが、マヨネーズか何かはダメだった気がします。
元々用意したビールを飲みながら、牡蠣がバチンバチンと音を立て焼かれるのを眺めます。辺りはもわんとした熱気で、もちろん潮の匂いが立ち込めているのですが、そんなことより牡蠣が焼けているかどうか、まだかまだかと皆さん集中しています。
もう食べたい、と気の早い方が手を出すと、女将さんが、
「まだ、まだっ!まだやというのに…」
なんてやりとりがあって、とてもおもしろかったところです。
やがて、蓋が外れ(最初はなかったのだが、毎年改良されていて、最後は滑車にロープで釣り上げるところまで進化したのを見たかとおもいます)、熱々の牡蠣が姿をあらわします。
レモンが器についていて、それを焼きたての牡蠣の身に絞ります。
いやあ、これが美味しくて、これ以上牡蠣を食べたことはない、というほど食べました。食べ終わった殻をバケツに入れて行くのですが、それこそバケツ一杯になるまで。
最後はお味噌汁と牡蠣ご飯が出てくるのですが、この頃にはもうしばらく牡蠣はいいかなと思います。(またすぐに忘れて食べるのですが)
何というか、これぞかがわの冬の味覚、という感じだったので、家族、職場の同僚と一緒に行った思い出があります。
一時期は一種の観光地みたいな感じでした。
その後に、子どもが生まれると、パチパチ跳ねるからしばし行かなかったのですが、行けるようになったら、今度は少し牡蠣が不漁の時期が続きます。
また、行きたいなあ、と思っているうちに、お店をやめてしまったようです。
もちろん、近くには別のお店があるけれど、冬の夜、あの場所で熱々の焼き牡蠣をこれでもかと食べた思い出は、きっとずっと覚えているだろうなあと思います。
さぬき市冬のうまいもんまつり の会場
やや違うのですが、志度湾を囲む場所なので、もしかしたら、うまいもんまつりでも、そんな牡蠣焼きがあるのでは、と思って行ってみます。
そんなに難しい場所ではなくて、さぬき市の市役所(旧志度町役場)です。
高松からは国道11号線を走って東へ行くと、牟礼を超えたところに志度高校が右手に見えてきます。
その交差点を左へ行くとさぬき市役所、旧の志度町役場です。
行った後で知ったのですが、コトデンなどの公共機関で来てもらうようにキャンペーンをしていたそうです。
なので、駐車場の紹介もどうかなとは思うのですが、ここに来るなら車ですよね。
昼すぎだったので、満車だったらどうしようと思っていましたが、大丈夫でした。
もうすでに数台出ていたから、ちょうど入れ替わりだったのかもしれません。
駐車場の北側には五剣山が見えます。
もちろん、どこから見てもその形が違って、不思議なことには変わりがないところ。
車を降りると、海の幸のいい匂いがしてきました。
よかった、やっていました。「冬のうまいもんまつり」の幟が見えました。
さぬき市の冬のうまいもんが大集合!!
一般社団法人さぬき市観光協会のHPより引用
『冬のうまいもんまつり』をさぬき市役所駐車場にて開催致します。
焼き牡蠣、さぬきワイン、どじょううどん、カンカン寿司などさぬき市の味覚を堪能できます!!
お誘い合わせの上たくさんのご来場お待ちしております。
※少雨決行※
※無料駐車場を準備しておりますが、数に限りがあります。
また国道等混雑が予想されますので公共交通機関をご利用下さい。
開催日時 例年2月上旬日曜開催 10:00~14:00
開催場所 さぬき市役所駐車場
問い合わせ先 さぬき市商工観光課
TEL 087-894-1114
到着した頃には、すごい人で行列だったので、随分人がいないところ見計らって撮りました。
右の緑と白のテントが牡蠣焼きを販売しているようです。
奥さんも一緒にいたので、「寒いけど食べる?」と聞くと、食べるとのこと。
風で見えにくいけれど、「鴨庄」とあります。
やっぱり鴨庄漁協の「かき焼き」なのですね。
ドラム缶をくり抜いて網を置き、その上で牡蠣を焼いていました。
牡蠣の良い匂いがしているなあ、と見ていると、「バチ」「パチーン」とドラム缶で牡蠣を焼く音が聞こえます。
スーパーでも、時折むき身ではなく「殻付き牡蠣」を見かけるのですが(本当に毎冬普通に)、なかなかこうやってダイナミックに焼けないですよね。
バチンという勢いのある音がすると、牡蠣はその硬い蓋を開けているのでしょうね。
匂いと音を聞くと、不思議なもので美味しかった記憶が蘇ってきますね。
こうなると、一刻も早く食べてみたいところです。
10個で1000円(税込)でした。
ウムム、お祭りとはいえ、とても良心的な価格かと思います。
そう、そう、この蓋をして蒸し焼きにする感じ、これぞ牡蠣焼きですね。
この日は天気も曇りで、冷たい風が吹いていましたので、外は寒いですが、多くの方がテントで牡蠣を召し上がっていました。
テーブルに着いて、牡蠣を食べます。
割りばしで殻をおこすと、控えめに言っても、とても美味しそう!
牡蠣焼き、今年は見も大きくて、豊漁と聞いていましたが、とても美味しかったです。
食べ終わった牡蠣の殻とホイルは、その他のごみと分けて回収していました。
牡蠣ご飯とさぬき夢豚ラーメン
もちろん牡蠣だけ食べていてもよいのですが、その他にも美味しそうなもの、「うまいもん」が多々あります。
これもなかなかありそうでない経験なので、少し触れておこうと思います。
ちょうど僕らが牡蠣を食べている隣の席には、地元選出の国会議員が秘書とともに来てラーメンを食べていました。(意外と印象より背は低く、寒かったからなのか顔色もよくなかった)
地元の方が次々に挨拶しに来ていて、話をされていました。
仁尾の八朔まつりでも議員さんが来ていたけれど、こういうお祭りに顔を出して、いろいろ買わないといけないから、議員さんもなかなか大変ですね。
奥さんも何を食べようか、と言っていたので、
「後ろで議員さんラーメン食べてるよ」
「ほんまや、ラーメンにしよう、誰?」
と言っていました…。
そして、購入したオリーブ夢豚ラーメンがこちらです。
時々三越の地下で、オリーブ夢豚の加工品を販売していますが、こうやってラーメンのチャーシューとソーセージになっているのははじめて見ました。
香川では珍しく豚骨味(これもオリーブ夢豚からかどうかは聞いていないが、たぶんそう)で、あっさりして美味しかったそうです。
僕も、もし「どじょううどん」があったら、そうしようと思いましたが、残念ながらこの日は売り切れです。
まだ牡蠣ご飯はあるよ、と言うので、牡蠣ご飯にしました。
確か1パック400円だったと思うのですが、牡蠣の身がたくさん入っていました。
牡蠣は売るほどありますよ、と言っていましたが、ほんとにそんな感じで、これは美味しいに決まっている、という牡蠣ご飯でした。(もちろん美味しかった)
自然薯お好み焼きとカンカン寿司
もう随分食べたから、良いのでは?と思ったのですが、まだまだたくさんの珍しい食べ物が売られていまして、見てしまいました。
まずは、大川町で生産されている自然薯のお好み焼き。
僕も大川町(さぬき市の中の大川町、昔は町だった)で自然薯栽培が盛んで、人気がある、というのは聞いていましたが、何といっても季節が限られていて希少だから、あっという間になくなってしまいます。
昨年2019年の分も、
販売:2019年12月中旬、今季分の販売は終了いたしました。
一般社団法人さぬき市観光協会より
という感じ。
自然薯自体が貴重だし、栄養が高いというので、知られざる名産品として、地元でもとても人気があるようです。
そんな貴重な大川町の自然薯を、すり下ろしてお好み焼きに出来るのは、きっと大川町の婦人会くらいだと思います。
キャベツに自然薯と、食物繊維の宝庫のようになっていました。
写真を撮って良いですか、と尋ねると、年配のご婦人が
「わあ、そんなら映えるように!」
と豚肉を載せてくれました。
まあ、映えるかどうかは別にして、美味しそうに見えるには違いないところ。
牡蠣と牡蠣ご飯がお腹には入ったので、さすがに家に持ち帰って食べましたが、こちらもほくほく、さくさくであっという間になくなりました。
自然薯、その季節になると子どもたちが自然薯掘りを体験しました、なんていうニュースが流れます。
こうやって見てその話を聞けて本当によかったです。
帰宅して食べたら、ほくほくで、とても美味しかったです。
大川町の自然薯の傍では、僕がはじめて目にする讃岐の有名な郷土料理がありました。
その名も「カンカン寿司」。
残念なことに、僕が買ったことでそのテントの品物はほとんどが終わってしまったので、売り場の写真はありません。
何もない売り場を撮るのもちょっとね…。
カンカン寿司も、持ち帰って食べたのが下の写真です。
売っていた方に尋ねると、元々さぬき市鴨部地区の郷土料理で、「鴨部のはこずし」とか「かたずし」と呼ばれていたのだそうです。
そのうち、酢締めにした瀬戸内の魚を酢飯を詰めた木枠の楔を「かんかん」と打ち鳴らす工程があることから、カンカン寿司と呼ばれるようになったのだそうです。
ぎゅうぎゅう詰めにして、一晩固めるというので、本当にそんなお寿司があるのだろうか、と思っていましたが、ありました。
本当は春にサワラでするのだろうけれど、この日はサバがのっていました。
いろんなところにバッテラというのか、同じような形のお寿司はあるだろうけれど、こんなに締まった(むしろ硬い)お寿司ははじめてです。
硬くて食べられるなんて言う感じではなくて、美味しい押し寿司でした。
よくうま味が詰まっているというか、よくお米に馴染んでいて、サワラの押し寿司を思い出すような味でした。
カンカン寿司、食べられてよかったです。
その他の会場の様子も、少し載せておこうと思います。
人がまばらなのは、日中の気温が6度と、この冬にしてはとても寒かったし、もう最後の方だからです。
僕は写真が撮りやすいけれど、主催者の立場から言えば、もっと賑わっていて明るいところを、と思うかもしれません。
東温市とあるから、他の地域の方も来られて産品を販売されているのですね。
でも、駐車場に車を停めにくかったり、食べるところに苦労するから、なんて敬遠する方には、そんなに人が多すぎず、適度なスペースがあるから、という情報である方が、足を運びやすいのでは、とも思います。
こちらは、牡蠣をたこ焼き風に焼いたものを「かきまる」として販売していました。確かにタコではなければ、タコ焼きではないものね。
その横では、讃岐ワイナリーのワインやぶどうジュースを販売していました。
讃岐ワイナリー、また今度一度行って記事にしなければ、と思って数年経ちます…。
ワイナリーだから試飲したいのだけれど、車でないと行けないところなのですよね…。珍しいもの、新しいものが大好きな香川の中でも、際立って先進的な津田のサービスエリアからは、骨付き鳥コロッケが出ていました。
津田のサービスエリア恵方巻もうどんにしてしまうほどです。
骨付き鳥をコロッケに、ということのようですが、しばらくすると最後は「骨付き鳥コロッケうどん」にきっとなるから、そこがこちらのおもしろいところです。
特徴を一つ挙げるならば常に斬新。
その他にも、ポテトやたこ焼きのお店なんかもありました。
もう十分いいんじゃないか、思っていたら、とうふドーナツだそうで、留守辯している(というかお友達と家で遊んでいる)子どもへのお土産にしました。
どれも美味しかったので、確かにこれは冬のうまいもんまつりでした。
さぬき市の目の前が海の市役所が会場なので、もちろんメインは牡蠣ですが、それ以外にもたくさんのここでしか味わえない郷土料理がありました。
オリーブ豚や自然薯、カンカン寿司…。
僕が訪れた時にはもう既に売り切れてしまっていたけれど、「どじょううどん」や「すぼき寿司」なんて、他では見かけないものです。
冬場の牡蠣の時期に合わせて開催しているのだと思いますが、是非春先や5月の連休頃、田植えで忙しいなんて言わないで、うまいもんまつりしてくれないかな、と思いました。
どれも高級なものではないし、上品とは言えないかもしれないけれど、こういうのが本当はうまいもん、と教えてもらったさぬき市冬のうまいもんまつりでした。
また来年、機会があれば訪れてみてください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。