満濃池のゆる抜きとせせらぎは、毎年6/15に見られます。
本当はもう少し早く(少なくても夏のうちに)記事にしたかったのですが、瀬戸芸を先に書いているうちに、すっかり遅くなってしまいました。
しかし、このブログの記事にはどうしてもゆる抜きのことを書いておきたいので、毎回大して変わらない内容ではありますが、満濃池のゆる抜きとせせらぎにご興味のある方の参考になれば幸いです。
目次
- まんのう町ほたる見公園
- ほたるみばし
- アジサイ園と水車小屋
- 満濃池のゆる抜きとせせらぎ 分水堰
- 満濃池のゆる抜きとせせらぎ 親水広場と水上デッキ
- 満濃池のゆる抜きとせせらぎ
- 満濃池樋門
- 満濃池の堰堤、池畔から
まんのう町ほたる見公園
満濃池は、香川県仲多度郡まんのう町にある日本最大級のため池です。
高松からは車で約1時間。
堰堤まで車で行けますので、歩くのが面倒という方は堰堤まで行くと池畔に着き、階段を下りるだけで見られますので楽です。
しかし、僕は手前のほたる見公園の駐車場に車を停め、散策しながら歩いて行くのが恒例となっています。
たぶん、この散策路とか小径が好きなのですね。
車から降りると、辺りには水の音が響いていました。
これはもうゆる抜きが始まり、放流がしばらく続いているというサインです。
(もしゆる抜きの「樋門から水が出る」瞬間をお探しでしたら、昨年の記事満濃池のゆる抜きへの方が良いです。今回はゆる抜き後に行ったお話です。)
正面に見えるのが「ほたるみばし」。
まずはほたるみばしまで、歩いて行ってみます。
誰もいないので、写真や動画を撮りやすいというのも、この時間にきてよかったと思うところです。
ゆる抜きの日6/15には、テレビカメラクルーや新聞の記者、一般の方など、正午前後に結構人が集まります。
ほたるみばし
ほたるみばしの橋上から眺めると、上流の満濃池堰堤の方向から水が流れ、
下流の五市町村(まんのう町、琴平町、善通寺市、丸亀市、多度津町)の田畑を潤していきます。
ちょうど田植えの時期にあわせて行われているのですね。
川沿いの小径を再び上流へ歩いていきます。
アジサイ園と水車小屋
ほたる見公園には、アジサイが咲いているところがあります。
川の向かい側ですが、2022年6月15日にはガクアジサイが咲いていました。
もう少し多く咲いている印象でしたが、少し時期がずれていたのかもしれません。
水車小屋(水車は動いていません)があって、アジサイが咲いていて、ここに来ると「ああ、満濃池のゆる抜きに来たなあ」という気持ちになります。
今アジサイの咲き具合を確認するために過去の記事を見ていたのですが、ほぼ毎年同じことを書いていました…。
歩くルートも同じ、アジサイも同じ、ただ違うのは一年、二年と年月が経過していることだけです。
水車小屋も、少し木の感じなどが古びてきて、見た目は良い感じになってきたように思います。
毎回思うのは水で動いていたらいいのになあということですが。
満濃池のゆる抜きとせせらぎ 分水堰
水車小屋から少し歩くと、水音が大きくなってきました。
分水堰というのか、分水樋門というのか、いろいろ呼び方があるようで一つになりませんが、ゆる抜きで放流された水を分けて流す門です。
メインの方がこのまま金倉川になります。
水辺に近づくと飛沫が上がっており、辺りの温度はすっと下がります。
音が大きくて、涼しくて、とても気持ちがよいところです。
一筋の水路が脇に伸びていて、メインの流れとは別の方向へ流れがあります。
まんのう町の方へ水が行くのでしょうかね。
奥には竹林があり、水路の脇にはカニも歩いていました。
小さなカニ、垂直な場所を器用にそのまま下っていきました。
カニがいれば、当然蚊も飛んでいます。
ちょうどここから木々の間を抜けるので、蚊もたくさんいました。
満濃池のゆる抜きとせせらぎ 親水広場と水上デッキ
分水堰を抜け、親水広場の方まできました。
普段は下の柵のところまで下りて行けますが、ゆる抜きが始まると地面が水に浸かり、水面が近くまできます。
この親水公園の景色も、ゆる抜きの時期ならではですね。
この先に水上ウッドデッキの遊歩道が整備されています。
満濃池の樋門から放水される水を見るには、このデッキからが一番見やすいです。
所々、傷んだデッキを補修してようで、新しい色が混ざっていました。
これがあるとないとでは、ゆる抜きの楽しみ方も随分ちがうなあと思います。
向かって左には、満濃池の水が増水した際にだけ水が流れる洪水吐があります。
なかなかここからの流れを見られないということですので、見られた方はとてもラッキーですね。
満濃池のゆる抜きとせせらぎ
デッキの正面にゆる抜きが見えてきました。
環境省が選定した「日本の音風景百選」というのがありますが、大窪寺の鐘の音とともに、満濃池のゆる抜きとせせらぎが選ばれています。
そう言われると、音、聞きたくなりますよね。僕もです。
08:46辺りからが、ここからの映像です。
考えて見れば、ただ水が流れ落ちるだけの内容なので、そんなに面白いというものではないのですが、今年2022年は雨が少なく取水制限が行われていた時期もあったから、水の音を聞くと、少しほっとします。
「今年も満濃池のゆる抜きが行われました」というニュースを見ながら、以前は何でこんなに大騒ぎするのだろうか、と思っていましたが、今は何となくその気持ちもわかります。
ゆる抜きにより水が出て、自分の田畑にその水が引かれてくるとなれば、農業をされている方はやはり安心するのだろうなあと思います。
だから例年知事が参加する神事があり、取水塔のハンドルを回す姿をみせるのでしょうね。
「皆さん、大丈夫ですよ!安心してください!今年も満濃池のゆる抜きはありましとよ!」
と高らかに宣言するような、そんな行事になっているように思います。
満濃池樋門
その放流される水の出口が「樋門」です。
写真の左の半円の部分ですね。
満濃池の樋門は、登録有形文化財となっています。
満濃池樋門 まんのういけひもん
満濃池樋門 文化遺産オンラインより引用
弥勒石穴建設で信望を得た軒原庄蔵が安政の地震で決壊した満濃池堰堤下の石樋に代えて建設するに始まる全長197mの底樋隧道とその出口。坑口周りに五角形迫石を用い、石造のコーニス,袖壁、柱頭付端柱とで坑門を飾る。
確かに五角形の石が門のところに装飾されています。
この奥には、197mもの隧道、トンネルがあるのですね。
もう一つの豊稔池ダムのゆる抜きは、もっと高いところから水が落ちる感じで、雄大さがあるけれど、満濃池のゆる抜きには繊細さがあります。
満濃池のゆる抜きとせせらぎ、確かに音風景に登録されるのも理解できます。
ウッドデッキの階段を上ると、満濃池の堤体、土手に出ます。
ここからは水の流れを上から眺めることになります。
僕は今回訪れてはじめて知ったのですが、正面に土讃線の線路があるので、列車が見えるのですね。一瞬だけれど見えました。
上から見るゆる抜きもなかなか迫力があります。
しばらく眺めていたいけれど、ここはまずまず人が来る場所なので、交替しながら撮ります。
満濃池の堰堤、池畔から
樋門から堰堤の階段を上って歩いて行きます。
6/15は、梅雨の真っただ中ということが多いので、曇りや雨の日がほとんどです。
まあ、それも含めて満濃池のゆる抜きのよさなのですが。
堰堤の最上部まで上がってくると、満濃池池畔に出ます。
護摩壇岩と呼ばれる場所と、堰堤は水で隔てられていることが多いのですが、今年は水が少ないのか陸続きになっていました。
さらに右側には取水塔があり、そこから先程の樋門の開け閉めをしているのだそうです。
満濃池の水位が低いので、今回は「おちょうな岩の跡」を探してみました。
この平たい部分のさらに下の方だと思うのですが…、
霊跡 おちょうな岩の跡
おちょうな岩の跡の案内板より引用
この前方下段に、石張りの平地があり、その地表の約五メートル下に、昭和五年まで使用されていた旧余水吐の床がある。幅員が約七メートルで、その全面がちょうなで剃ったようになっていたので、人々はこれを弘法大師のおちょうな岩と呼称して、大師霊跡の一つとして語り伝えてきた。
弘法大師は、金倉川の水をせき止めて、日本一の池を造るという難工事を成就するためには、岩盤を掘削して余水吐を造らねばならぬと、自ら設計して工事を監督され、短時間に満濃池を完成されたので ある。
満濃池は、その後度々修築されたが、大師設計のアーチ形の築堤は今日まで継承され、大師がみ手を下されたおちょうな岩の余水吐は、昭和五年まで 使用されてきたのである。
昭和五十七年十月 まんのう町教育委員会
(註)所在地 大字神野
平たい部分のさらに5m下になるのですね。
何度見てもこれという確信をもてる場所ははなかったです。
「ちょうなで剃ったようになっていた」部分、一度見てみたいですね。
取水塔前のアジサイも、少し前に時期が終わって数が少なくなっていました。
池の中から「ゴゴォー」という唸り声のような音が響いていました。
きっと池の底から水が出て行く時の音なのでしょうね。
ほたる見公園からこの取水塔まで歩き、満濃池のゆる抜きを楽しむことができました。
満濃池のゆる抜きとせせらぎは、ただの池の放水なのですが、香川県の歴史や文化、自然を凝縮したようないろいろ垣間見ることができるイベントです。
また来年、多くの方が参加して、ゆる抜きを見守ることができると良いですね。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。