国宝 神谷神社 (神谷神社) と表題に書くと、なんだ、また神社の記事か、と僕自身も思ってしまうけれど、本当に書きたいことは、「近たびスタンプラリーINさかいで」のお話です。
実は2021年2月から3月末まで、坂出市観光協会が坂出市内の観光地を巡るスタンプラリーを開催していました。
もう終わってしまったイベントですが、僕はそのイベントそのものよりも、一体坂出のどこを観光スポットにするのだろう、という興味があって、眺めていました。
内容を見ると、
スタンプスポット
①神谷神社
②城山頂上
③四谷シモン人形館淡翁荘
④与島パーキングエリア
⑤沙弥島ナカンダ浜
と、いずれも坂出の中でもメジャーとマイナーの中間くらいの観光スポットでありまして、僕も「訪れてみたいけれど、ここなかなか行きにくい」という感じの場所です。
しかし、一度くらいはこの機会に、とそのうち三か所を巡りました。
まあ、本当は5か所巡ってもよかったのですが、沙弥島と与島は何度も行ったことがあるから、今回は行ったことのない3か所を、と思い巡りました。
JAFのアプリの位置情報でスタンプしていく方式で、3か所まわると応募できたので、応募しておきました。
その後4月に入ってから、インターホンが鳴り「お届けものです」とのこと。
僕は結構宅配は配達日を管理しているから、これは何か当たったのでは、という予感。
余談ですが、子どもはこういう懸賞にとてもよく当たっています。貯金箱、ぬいぐるみ、室内テント、ポスター等々、僕が人生の中で懸賞で当たるものを一年でもらっている感じ。ちょっと思ったのですが、それは香川にいるということと年齢が関係しているのでは、と思ったりします。雑誌なんかだと、都道府県バランスよく、という考えになるだろうし(人口少ない)、子どもの数も少ないだろうから、当たりやすいのだろうなあと思います。子どもは全てハガキで応募というのもあるかもしれません。
だから、最初は子どもの何かが当たったのでは、と見てみると、僕宛の荷物でした。
僕が何かに応募して当たるというのは、本当に珍しいことで、前回は2016年の瀬戸芸の本以来の出来事でした。
ズシリと重たい荷物に差出には坂出観光協会の文字が。
おお、あれか!と開けてみた「近たびスタンプラリーINさかいで」の景品がこちら。
鎌田醤油さんの詰め合わせ3,000円相当だそうです。
おお、これは嬉しい。
amazonでは7個入りのがあったけれど、鎌田醤油の公式サイトには14個入りがありました。
ま、これをいただいたから、というわけではないけれど、神谷神社、城山山頂、四谷シモン人形館淡翁荘(鎌田醤油さんがしている)を訪れたことを書いておきます。
今回は最初に神谷神社。
国宝の社殿があるというのは知っていたけれど、行ったことがなかったので、神谷神社への行き方や駐車場、 国宝の神谷神社本殿のことにご興味がある方の参考になれば幸いです。
この記事は2021年3月下旬に訪れたことを書いていますが、その後同年4月にも再度訪れたため、一部写真を追加しています。写真のキャプションに「(2021年4月)」とあるものは追加した写真です。
神谷神社の場所
神谷神社の場所は坂出市になりますが、五色台の西の麓。
白峯寺やがもううどんさんなんかが近くにあります。
いろいろ行き方はあると思いますが、僕は高松から行くので浜街道、五色台トンネルを抜け、コンビニの角を曲がりました。googleはその一つ向こうの道を示したが、どちらもたいして変わりません。(一応使いやすいからここではgooglemapで説明していますが、現実世界ではほとんど役に立っていないことも申し添えておきます。)
しかし、神谷神社のすぐ近くは狭く細い道が続くので、注意が必要です。
もちろん慣れている方であれば、どうということもないのですが、最後の幾つかの路地が車一台通る程度の道幅です。(僕はそれを知っていたので、なかなか足が向かなかった理由の一つ)
地図で丸印を付けたところを見てみますね。
まあ、ほぼ普通の住宅街の中を抜けていくような感じです。
この小さな案内板の角を左へ曲がると、
鳥居があるので、ここかと思いきや、
まだこの先200mくらいあります。
しかし、この通りはストリートビューができず、僕も車から降りて撮ろうと思ったら、対向車が…。神戸ナンバーでしたから、県外からも来られているのですね。
しばらく待ってかわすと、そのまま奥の方へ進まざるを得ませんでした。
まあ、行けないという道ではないから、勇気をもって、慎重に行ってください。
神谷神社参道にて
神谷神社の前の参道はこんな感じで続いています。
途中には神谷荒神社。
すぐそばには神谷川が流れています。
神谷川、このまま林田町、大屋冨町を経由して瀬戸内海に注いでいるのですね。
ゲンジボタルの自生地とあるので、自然豊かな清流なのですね。
参道に戻ると、残念切りの石がありました。
無数の熊蜂が…という件は、本当にそういうことがあってもおかしくない雰囲気です。
更には末社もありました。
まあ、細い道だけれど、こうして見るとかわせないこともないですね。(運転しているとそうは見えなったが)
鳥居のすぐ右側へと道は続いていて、そちらへ駐車場の矢印が向いているので、そのまま走って行きます。
本当にこの奥に駐車場があるのだろうか、と思うかもしれませんが、ありましたので、是非進んでみてください。
神谷神社の駐車場の案内板がありました。
後程この道の奥へも行きましたが、ここに停めることをお勧めします。
駐車場には、停められている車種にもよるけれど、4台くらい停められそうなスペースがありました。
そんなに境内が広い訳ではないので、出入りがあるのだと思います。
僕が停めた時にはあった車が、20分ほど後の帰りには一台も無かった、という具合です。
国宝 神谷神社 の神門
駐車場に着いたので、そのまま来た道を少し戻ります。
ええと、3月下旬の素晴らしい晴天なのですが、人が少なく山が近いせいか、大変多くの虫の羽音が…。
一般の住宅のように見えますが、こちらが神谷神社の社務所だそうです。
(別の日に訪れたらお守りなども置いておられました)
ムムム、それにしても僕は意外と気にしない方ですが、「ブゥン、プンブゥン、ブゥゥン!」という感じで、何かの音が次々に頭付近を飛び交います。
最初は払っていたのですが、全く無駄で、これは長居できないのでは、という感じ。
神谷神社の由来などが記してありましたが、一部消えかけてしまっていました。
そして、湧き続ける羽音…。
最初は手水舎の方に何かあるのでは、と思って見ていましたが、そんなことではなくて、あたり全体から湧き出てくるような、そんな感じです。(あとで考えたらこの向こうは川だからなのかもしれません)
手水舎に掲げられた地図を見ます。
御盥漱とあって、何だろうと思っていたら「盥漱=かんそう、手を洗い、口をすすぐこと。身を清めること」だそうです。
そして、手前に見える立派な門は神門で、境内奥の建物が本殿になるのですね。
鳥居の神谷神社の文字は「神」の字が旧字体になっていました。「神社」の「神」はそうではないから、使い分けられていたのでしょうか。
そして、朱塗りの建物が見えました。
いやあ、僕はここに来るまで長い間勘違いをしていまして、この朱塗りの建物が国宝の神谷神社と思っていました。
随分新しい感じがするなあと思っていましたが、こちらは昭和のはじめに再建された神門なのだそうです。
まあ、そうは言っても90年以上前のものだから、なかなか趣のある神門です。
説明版によると「末社」なのだそうです。
これも随分昔からあるのだろうなあ、という感じ。(日の光で虫がたくさんいるのがわかるので近づくことはできませんでした)
きっと、春の季節を待っていたので、一斉に外に出て来たのでしょうね。
参道の方を見ると、人の気配はないし、すぐそばは山と川だから、ちょうどその境界に立っているという雰囲気です。
少し落ち着て気持ちを立て直し、お参りをします。
いやあ、この辺りに来ると、なかなか清々しい気持ちになってきました。
結構こちらも年月を感じさせる看板ですが、この神門は昭和の初めに火事で焼けて、本殿とは反対の方向へ倒したため、本殿の消失は免れた、とのこと。
その判断があったからこそ、今こうして僕は国宝の本殿を拝見できるわけですから、ありがたいことです。
おお、あの奥に見えるのが本殿ですね。
僕も帰ってから調べたのですが、香川、そして四国でも数えるほどしかない国宝建造物のうちの一つです。
国宝 神谷神社 本殿
国宝神谷神社本殿 – 坂出市ホームページより引用
神谷神社本殿は三間社流造りの神社として昭和30年に国宝として指定されて現在に至って県内でも数少ない国宝建造物であります。 三間社流造りの本殿は,檜皮葺の屋蓋・ヤリガンナ仕上げの丸柱・面とりの向拝の角柱などに鎌倉時代の建築様式がよく表現されており,この時代の建築としては,我が国最古といわれております。
大正時代に本殿の修理が行われて何枚かの棟札が見つかりましたが,その1つに建保7年に本殿を再建したことが記された墨書銘がありました。
このように神谷神社本殿は,鎌倉時代に再建され当時の建築様式を残してきている訳ですが,その名称は更に古い平安時代の「三代実録」や「延喜式神名帳」とった文献にも見い出すことができます。
なるほど、「県内でも数少ない国宝建造物」とありますが、実際には2021年の時点で香川県の国宝建造物は2件。ここ神谷神社本殿と本山寺本殿のみです。
神社に限ると、四国では唯一の国宝です。
大正時代に「建保7年」に再建した棟札が見つかったのだそうで、建保7年は1219年。
ムムム、源実朝が暗殺され、源氏が途絶えた年、今から802年以上前のことです。
事前に電話で予約すると中を案内してもらうことも可能だそうですが、僕は外からで十分でした。
伝わるところによると、昭和の初めの火事は大晦日に灯篭の火が燃えたとのことだったので、当時は大騒ぎだったのでしょうね。
横を見ると、先ほどの駐車場への道の反対側に収蔵庫のようなものがありました。
二つ設置されていて、社務所に近い方から、
駐車場に近い方には、こんな感じ。
神谷神社所有の宝物
国宝神谷神社本殿 – 坂出市ホームページより引用
木造随身立像 神谷神社には,本殿以外にも重要文化財や市指定文化財を所有されており,なかでも重要文化財・木造随身立像二体は,全国的にも珍しい立像で,非常に希少性の高い像といえます。
このほか写経大般若経・法楽連歌・舞楽面・木造狛犬・神号扁額・棟札などの宝物を所有されており,神社の周辺には多層塔・残念石・経塔など中世を中心とした史跡が数多く残されています。
なるほど、本殿だけではなくて、仏像や連歌、能楽面など貴重なものが収蔵されているのですね。
本殿の横にも鳥居がありまして、先ほどの説明版によると神谷地神社というのだそうです。
昔からの神社なのでしょうね。
※追記
2022年9月27日に激しい雷雨があり、雷が神谷神社の本殿に落ちました。
火災で屋根の部分が燃えてしまったと報道で知りました。
天災なので、仕方がないと思います。
また復元して元の姿に戻ると良いですね。
※追記終わり
こちらの地神社に大変申し訳ないなあ、とお参りしながら、隣の本殿を拝見します。
ちょっと壁が高くて半分くらいしか見えませんが、木造の立派なつくりです。
確かに、香川県の他の神社では見かけることが無い雰囲気です。
もしかしたら香川県で一番古い建築物になるのでしょうかね。
いや、それどころか、現存する三間社流造としては日本最古のものだそうです。
だからこそ国宝なのですね。
そのまま壁沿いに裏手へまわります。
ふっと裏手から見て、おお、この感じはどこかでと、思い出したのは出雲大社。
もちろん大きさや神社の格は全く異なるのだろうけれど、この中にぽんっと神谷神社が入っても、恐らく大半の方は気が付かないだろう、という感じがします。
それぞれ国宝で、一般の方の出入りが制限されているところも似ていますね。
まあ、僕が言うことではないのかもしれませんが、以前の特別史跡国分寺跡にしても、こちらの国宝神谷神社にしても、四国、香川のなかでは唯一というものなのですが、何かこう主だった観光地という感じではありません…。
何でも観光地にしてしまうのがよいとは決して思わないけれど、道路・参道の整備や駐車場を別の場所に移したりすれば、もっと多くの方が来て、この歴史的な建造物を見ることが出来るのでは、という気もします。
何となく地元の方が頑張って国宝をお守りしています、という感じが強いのですよね。
もちろんいろんな理由があるとは思うけれど、もう少し香川の方々に知って理解してもらう努力があってもよいのでは、という気もします。
神谷神社の裏手は広場のようになっていまして、これは祠?というところがありました。
公園とまではいかないものの、手入れされているところもあって、どこからどこまでが信仰の対象で、どこがそうでないのかが曖昧になっている感じです。
丸い石にも何か意味があるのだろうか、なんて少し眺めていたら、ムムム、海辺のカフカの石、こんな感じかもしれない、という気持ちになりました。
(この後4月に再訪した際には奥さんもいたから、似てるでしょ出雲大社に、と聞いたら似てる、と言ってました。)
看板に「ほたるの里自然公園」とあるので、この辺りは公園という位置づけなのでしょうね。
休憩所、となっているので入ってみました。(何といっても一度虫の羽音から逃れたかったので)
ええと、休憩所とありますが、本当に休憩するための椅子、テーブル、お手洗い、という設備です。
シンプルな、というか何もない小屋という表現しか浮かびません。林の中にあるからか、照明がないからか、中は少し暗いです。
この時、この場所には僕一人しかいなくなってしまい、そうすると、何だかとても居心地の悪さを感じてしまい、すぐに出ました。
(※これはやはり一人で行ったから、というのが大きかったようで、その後奥さんと一緒に行った時には、そんな風には思いませんでした。)
しかし、この記念碑を見たら、僕は何だか一つ思い出したことが。
坂出のどこかでホタルの里を作ろうという試みがあって、ほたる祭りを行っている、というのはここだったのですね。
2019年までは出来ていたことが、その後途絶えてしまいましたが、ホタルも残っているのでしょうか。
国宝の本殿も見たし、まだ虫の羽音は続いている(しかしホタルの里という文字を見たら、何となくそれも気にならなくなってきました)し、駐車場に戻りたいのだけれど、少し先の光の当たる方が、薄いピンク色に染まっていました。
これは、もしかして、と歩いて行きます。
開花の宣言があったけれど、まだまだ満開までには日にちがかかるだろうな、という日だったのですが、少し登って行くと桜並木が見えました。
まだ咲き始めたばかりで、という感じでしたが、辺りには桜の花の匂いが立ち込めていて、ここでもすごい羽音が…。
※そしてこの時、桜と虫の羽音に気を取られ、全く気が使ったのですが、この広場の入口横に、大きな石がありました。
これを見て来なければ、と4月に再訪問したのでした。
いやあ、これはなかなか立派な石です。
しばらく眺めていても飽きないような、そんな大きな石。
神様の石といて信仰の対象になってきたのでしょうね。
これは見ておいてよかったです。
もしお時間があれば、駐車場から50mくらいなので、ぜひこちらの影向石も見に行ってください。
もちろん桜をしばらく眺めていてもよかったのですが、僕はまだこの後に行くところがあるし、誰もいない中では、少し怖いような、そんな雰囲気がありました。
神谷神社の裏は自然と隣り合わせで、人里との境界線が曖昧になっているのだなあ、と感じます。
「氏子一同の協力により立派に完成した」という文言に、この地域の方が大切にされている宝、まさに国宝なのだなあ、という気持ちが伝わってきます。
忘れないようにと、スマホのアプリを起動し、スタンプを記録させます。
帰宅してからわかったことですが、この道の奥に大きな岩があったようで、ああ見てくればよかった、と思いました。
しかし、また訪れる理由のようなものを残した方が何となく良いような気もしました。
この後は城山の山頂へ向かいましたが、それはまた次回に。
とても気持ちの良い季節なので、もしお近くに来られた際には、立ち寄ってみてください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。