天水分と書いて何と読むのかわからず、「あめのみまくり」とか「あめの、ほら観音寺の、くりのつく、みくり?」なんて言っていました。
逃げ恥じゃないんだから、と思いつつ、実際には「天水分あめのみくまり」AMENOMIKUMARIと読むそうで、ちょうどひらがなを変換させると雨の水分、天の水分なんて出てきました。
「みくまり」を漢字で書くと「水分」と知っている方は、そう多くはないだろうけれど、なんでこの名前がお店についているのかは、読んでいただければわかります。
今回は観音寺市大野原にある豆腐とおばんざいのお店、 天水分あめのみくまり へ、お庭を見に行ってお食事したお話です。
天水分あめのみくまり の場所と駐車場
残念なことに、2020年はコロナの影響で豊稔池のゆる抜きはありませんでした。
(普段はあんまり意識していないけれど、ゆる抜きと仁尾八朔まつりがなかったことが、じわじわ寂しい気持ちになっています。今年は本当にあるといいなあ。)
しかし、豊稔池ダムファン倶楽部さんの投稿を見てたら、上樋と中樋からの放水を知ったので、とても助かりました。
さらに、その投稿を見ていたら、こんな投稿を見かけました。
9月6日(日)12時半『天水分』
4枚目 豊稔池の生みの親「加地茂治郎」さんの
生家にできた『天水分』(あめのみくまり)
5枚目 『天水分』の中にある石積み。
豊稔池ダムをイメージしている。
奥にある井戸の水を利用している。
豊稔池ダムファン倶楽部のフェイスブック2020年9月5日より引用
ムムム、知りませんでした。
豊稔池の生みの親と紹介されている加地茂治郎さんや天水分のことも。
これは一度は行ってみなければ、と思っていました。
豆腐とおばんざいのお店ができたようなので、行ってみようと思たのですが、人気のお店の様で、二度ほど満席(祝日前日とかだったから)でした。
奥さんも一度行ってみたいというので(食べ物があるとついてくる)、この日は予約して行ってみました。
そうなると、まずは場所です。
これも調べていたら、わかりやすいような、なかなか行きにくいような場所でした。
もちろんこの近くにお住いの方はそんなに苦労することなく行けるだろうけれど、僕はこの辺りに行くのは年に1回、2回程度なので、あの辺かなという感覚しかありません。
場所自体は高松自動車道大野原インターチェンジの隣なので、全くわからないということはありません。
はじめて行く方でも、まずは大野原ICを目指していけば間違いありません。
しかし、そこからが少しだけ大変でした。
簡単に言うと、今高速で通ってきたインターチェンジのぐるぐるしたところの真下に駐車場があります。
ムムム、そんなところに何かあっただろうか、という場所です。
(いや、何もなかったところに出来た新しいお店なのです)
僕は何度か調べた末に、間違って川沿いの狭い道を行ってしまいました。
奥さんが「大丈夫?目から来たらかわせるん?」なんて心配して言うものだから、前から軽トラックが来てしまいました。
幸い軽トラックの方の方が慣れていて、うまくかわしてくれましたが、お互い慣れていなかったら、大変だったと思います。
もちろん道はいくつかあるのですが、僕が行ってから思ったのは、高速から降りて、下の地図のように行くのが一番わかりやすいだろうなあと思います。
インター降りたら正面にガソリンスタンドがあるから、豊浜方面へ左折して国道11号線を走ります。
ちょうど200mくらいで信号が見えてくるから、その信号の手前でまた左折します
googlemapで見ていたら、細い道のように見えるけれど、実際にはそれほど狭い道ではありませんでした。
しかし、地元の方が生活道路として利用されていて、慣れているからぐいぐい飛ばしていますので、はじめての方はどうぞ慌てずに行ってください。
前方に高速道路の土手が見えてきたら、その手前を左折です。
運転しているとそこに道があるのか見えずらいのですが、大体拘束に沿って道はあります。
もしかしたらお昼時などは、他の車が次々にこの路地を出入りしているかもしれません。まあ、違ったら違ったで、落ち着いて行き直せばよいので、くれぐれも慌てず行ってみてください。
ここを曲がったところから車を降りて見ていきますね。
左折した交差点のもう一つ先に交差点があります。
こちらの交差点の高速下も車は通れるけれど、この交差点の方がやや狭いです。
こここまで来たら、前方にお店の看板が見えてきます。
なるほど、第1駐車場、第2駐車場、軽専用の駐車場があるのですね。
こちらが第2駐車場になるようです。
ちなみにこちらが誤って来てしまった細道。
通れないことはないけれど、という感じ。
お店の入り口前に第1駐車場があり、
さらに奥に行くと、軽専用の駐車場がありました。
写真を見てお分かりのように、訪れる方全員が車で来られていまして、店内のお客さんはほぼ女性でした。
若い方から、年配の方まで、地元の方から、そうでない方まで、幅広い方が来られていました。
帰りには、僕は黄色い道を行ったので、こちらの方がわかりやすいという方もいるかもしれません。
まあ、僕も一度行ったから、こうじゃないかなあ、という目線で書けるけれど、はじめて行く場合には、「あるかな?あるかな?」という感じです。
お友達同士で、あるいは連れて行ってほしいと頼まれて運転する方向けに長々と作って書いてみましたが、どうぞ慌てず、ゆっくり行ってみてください。
(※ちなみに全て2021年2月の写真ですので、時間の経過とともに変わっていることがあります)
天水分 あめのみくまり
住所 〒769-1611 香川県観音寺市大野原町大野原 5016
電話 0875-23-6604
https://amenomikumari.com
LUNCH 11:30~14:30 (L.O.13:30)
DINNER 17:30~23:00 (L.O.22:00)
MOJIRO gallery-shop 11:30~22:00
定休日:月曜日
(祝日の場合は翌日がお休み)
加地茂治郎さんの家
駐車場から下りて、門に向かいます。
一般的に、この辺りの方は大きなお家を建てることで知られています。
地元の方に聞いたら、何年もかけて建てることも多いのだそうです。
その中でも、ひときわ立派な門で、天水分あめのみくまり 初代創業明治年間加地茂治郎商店」と書いてあります。
この時点で既に2500文字くらいになっていますが、何はともあれ、お店の中に入らないとはじまりません。
引き戸を開けると、
おお、加地さんの胸像が置かれています。
いや、僕だって、加地茂治郎さんのことを、そんなに詳しく知っているわけではないですよ。
今回はじめてそのお名前を聞いたようなものです。
加地さん、豊稔池ダムの築堤に尽力された地元の方なのだそうです。
そして、その子孫の方が、このお店を開かれたのだそうです。
観音寺の大野原は古来から水の整備が遅れ、度重なる干ばつで慢性的に水不足な地域でした。
天水分の想い | 天水分-あめのみくまりのHPより引用
店主の祖先である加地茂治郎(1869年~1940年)は、疲弊した農民の生活の救済を目指し豊稔池ダム(2006年に重要文化財に指定)の築造に尽力しました。
時折、豊稔池ダムの説明で、地元の方々が協力しながら、という説明が出てきますが、加地さんは、その中のお一人だったのですね。
もうしばらく僕はここで写真を撮って眺めていたいところですが、そうもいかないので、靴を脱いでお店の中へ入ります。
奥の方には、ギャラリーのような場所がありました。
HP見てたら、ピアノのデザイン画を募集していましたが、あの奥のピアノのことでしょうかね。
確かに、綺麗にして誰でも弾けるようにしていたら良いかもしれません。
駅ピアノならぬ、ダムピアノ。
茂治郎さんも、まさか21世紀にギャラリーに自分の名が使われるとは思ってなかったでしょうね。
天水分あめのみくまりの豊稔庭
靴をしまい、玄関から上がると、お雛様が置いてありました。
店内は古民家を新しくした感じで、昔のものと新しいものが混ざっていますが、なかなか素敵な雰囲気です。
この左手にある大きなお部屋の席に案内されました。
もちろんじっと座っていてもよいのですが、どうしても僕は見ていたいものがありまして、店員さんに尋ねます。
「豊稔池を模したお庭があると聞いたのですが、写真撮っても良いですか?」
「はい、もちろん。ホウネンイケのお庭はカウンター正面です。隣の個室からも見られますよ!」
ああ、それはよかった。そして面白い。
店員さんだけ「ホウネンイケ」とカタカナにしたのは、これは話し言葉なので、なかなか細かいニュアンスを伝えるのは難しいですが、この地域の方がもつ特有のしゃべり方(女性の)があって、とても早口でチャキチャキとしています。(個人的な印象では大抵皆さん髪の色は茶色で、後ろでくくっておられる。)
僕の豊稔池の発音とも、高松の方とも、丸亀の方とも、また違うイントネーションがあって、リズムと言うかテンポと言うか、特有の拍子があるような気がして、なんか聞いていて面白いんですよね。
奥さんはそんなに違和感がないみたいだけれど、県外から来た方とこの地域の話し方がすごく特徴的で面白い、と話題になったことがあります。
なかなか難しいけれど、敢えて書くならば、例えば豊稔池のアクセントの「ホウ」が強く高くて、「ネン」で少し下がって、「イケ」が非常に早くなります。
これが会話の中でどんどん簡略化されたり、早口になっていくのか、最後には「ホゥネンィケ」に聴こえてくるような、そんな感じです。
聞いていて嫌とかそういうのでは決してなくて、とにかく独特なのです。
恐らくご本人たちは、至って普通に話しているつもりなので、こんな風に書くと「そうですか?普通と思うんやけど」とおっしゃると思います。
試しに書いてみたものの、話し言葉のことなので、自分でもわからなくなってきました。是非訪れて実際に聞いてみてください。
そして本題の豊稔池のお庭。
確かに正面にありました。
わあ、ほんとだ、これは豊稔池ダムだ。
もちろん、大きさや水の流れなどは、実物とは違うものですが、もし何に似ているかと言われれば、僕には豊稔池ダムにしかみえません。
横の個室もちょうどまだ誰もいなかったので、少しお邪魔してみました。
壁の感じなんかも、豊稔池の中に入ったかのような気になります。
ここから見た感じは、この辺になるのでしょうかね。
そう言えば、ゆる抜きの際にこの下でお弁当を食べている方がいました。
お店にある、小さなお庭だから、もちろん水が流れても迫力があるわけではないけれど、もし豊稔池ダムへ行き、水の流れを見られなかった方は、こちらのお庭でご覧になってみてください。
大野原の庭
入口から左の座った席には、全てにお客さんがいました。
なかなか写真を撮りにくいところでしたので、部屋全体の写真はありません。
新しいものに替えているところもあったかもしれませんが、欄間の彫刻も綺麗でした。
和室だった二間にテーブルと椅子を並べていました。
一間に二つずつのテーブルでした。
和室に置かれているものも、昔からあるものが混じっているのか、なかなか面白く拝見しました。
そして、もう一つのお庭の方も見てみます。
わあ、ガラス越しに日が当たっていて、素敵な感じの縁側です。
このガラス戸の向こう側が大野原と名付けられたお庭です。
入口にあった駐車場に近い方から写真を並べておきますね。
僕の印象では、大野原はもっと田んぼが広がっていて、という感じもしますが、植木を山に見立てると、その間を川が流れて、と見えるような気もします。
また季節によって、お花が咲いたり、鳥が来たりするのでしょうね。
HP見ると、入口のすぐそばは「THE LANAI GARDEN」となっていました。
お庭の感じは大体見たので、お店の中の雰囲気も見てみます。
先ほどのカウンターと縁側との間に二つほどテーブルがありました。
この後にすぐにお客さんが案内されて来たから、後ずさりしながら撮った感じが上の二枚の写真です。
この奥がお手洗いで、手前が男性、奥が女性となっていて、洋式の新しいお手洗いでした。
天水分あめのみくまり のランチ
あまりにもうろうろして写真を撮っていたら、徐々に申し訳ないような気持になってくるので、そろそろ席に戻ります。
ランチのメニューは何種類かありましたので、奥さんは「天水分御膳あめのみくまりごぜん」、僕は「豆腐料理の竹籠弁当」にしました。
ええと、この辺りではお豆腐が名産でありましたでしょうか、なんて気持ちが浮かんできますが、心の中にしまっておきます。
お料理が運ばれてきて、再びチャキチャキとした言葉を話す店員さんがお料理の説明をしてくれました。
本日のランチは、カモのロースト、寄せ豆腐にはこちらのおみそを、という説明だったと思いますが、1.5倍速くらいのとても早口で、リズムに韻が踏まれているような気がして、とても面白かったです。
いやあ、また聞いてみたいです。
お料理も普通に美味しかったですよ。(ちょっと男性には物足りないかも)
食後にコーヒーをお願いしました。
ゆる抜きの後に、どこか立ち寄れるところがあったらいいなあ、と思っていましたが、ここはゆっくり出来て良いですね。
夏のその時期なんかは、本当に混雑するのでは、と思います。
食べ終えて、最後に会計して、お外の建物の周りを見てみます。
まだ何かあるのか、と思いますが、これが結構大事でした。
豊稔池の水神社
一旦門のところに戻って、「MOJIRO」とあったので、外からも行けるのかと見てみました。
すると、その横に「大黒天」という記載もあったので、見てみます。
写真ののれんの先が入口になるのですが、その右側。
おそらく「MOJIRO」に入っていける道だと思います。
かつては農機具などを置く、納屋だったのでしょうね。
僕は詳しくは知らないのですが、これはもみすり機のようなものでしょうか。
その奥に通用口のようなところがありまして、そこをへ入ると、
おお、小さなお社が敷地の中にありました。
これはびっくり、と手をあわせていましたら、あら、この感じはどこかで、という気持ちになりました。
そうそう、豊稔池堰堤の左側を上った先の水神社。これにちょっと雰囲気が似ています。
そして、帰宅して調べたら、水神社には加地茂治郎さんが合祀されているとのことでした。
昭和28年
運営会社 | 天水分-あめのみくまりのHPより引用
豊稔池守護神(水神宮)の祠に、「天水分神(あめのみくまりのかみ)」と共に農民の父「加地茂治郎大人命(かじもじろううしのみこと)」として合祀される。
なるほど、豊稔池の天水分神(あめのみくまりのかみ)とともに、加地茂治郎大人命(かじもじろううしのみこと)がおられるのですね。
よく見ていたら、磯井如真さんと工芸高校の方が作成した記念碑にも、その名がありました。
そう考えると、なるほどお店の名前「天水分あめのみくまり」にも、なるほどと納得です。
苦労して造り上げた豊稔池で、豊かな大野原の地を潤し、開墾したのですから、このダムの守り神になっているのですね。
今回は豊稔池には立ち寄っていないけれど、何だかお庭や加地さんの生家を通じて、行ったような気持になりました。
是非豊稔池ダムに立ち寄ることがあったら、堰堤から左の階段を上って、水神社へもお参りしてみてください。
そして帰りには、天水分に立ち寄って、豊稔池から後に受け継がれてきたものを見てくれたら、嬉しいなあと思います。
最後まで読んでくださった方向けに付け加えると、普段はそんなことはあまり思わないけれど、今回この記事は構成が自分なりに書いていて楽しいものでした。
こういうことは年に数回あるかないかなので、またこういう記事を書いて行けたら良いなあと思います。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。