さて、神戸にある異人館を巡ったお話の続きです。
前回ははトリックアートと北野天満神社のことを書きましたので、後半は 神戸異人館 洋館長屋(仏蘭西館)に入って見たお話です。
もしご興味がおありでしたら、どうぞお読みください。
価格は全て2019年12月のものです。このき記事は8375字です。
目次
風見鶏の館と萌黄の館
WordPressを利用して書くブログにも少しずつ慣れてきました。
最初はどんなものでも少し時間がかかるけれど、慣れてくれば徐々にやりやすくなるようになるものですね。
北野天満神社から下に見えた風見鶏の家の方へ下りて行ってみます。
しかし、景色を動画で撮っていると、奥さんと子どもは先に下りて行ってしまいました。
奥さんは「プラトン装飾美術館に行きたい」と言っていたのですが、僕はもう少しこの辺りの異人館を見てみたいと思ったので、それぞれ別で行くことにしました。(いや、相談したわけではなく何も言わず結果としてそうなりました)
なかなか立派な建物です。
中に入ってみようかと思いましたが、一つずつ入ってしまうと先に進めないかも、とやめておきます。
ここで何となく気が付いたのですが、全部の異人館を一度で全部訪問する必要なんてないなあということです。
中を見たければまた来ればよいことだし、その後それほど興味が湧かなければ、見に来なければよいことです。
しかし、建築物としての外観は、時間をかけずに見ることができるので、さらっと見ていくことにしました。
知らなかったのですが、こちらは国指定の重要文化財なのですね。
正式には「旧トーマス住宅」となっていました。
旧トーマス住宅(兵庫県神戸市生田区北野町) とーますじゅうたく
旧トーマス住宅(兵庫県神戸市生田区北野町) 文化遺産オンラインより引用
兵庫県神戸市中央区北野町三丁目13番3号
ドイツ人の貿易商トーマスが建てた住宅で、設計はドイツ人デ・ラランデという。建築面積二一七・八平方メートル、二階建、地下一階で、半地下の地階は石造、ベランダは木造、ほかは煉瓦造とする。ドイツ風近代様式の傾向の強い、重厚な意匠になるもので、神戸における洋館のなかでも独特の雰囲気をもち、優れた遺例の一つである。
建物だけではなく、こちらの門扉、木柵も復元されたものだという説明がありました。
確かにこの門と柵があるとないのでは、随分印象が違いますね。
そして、なぜ異人館が今のような観光地となったのかについての説明もありました。
なるほど、僕ははじめて知りましたが、朝ドラで「風見鶏」というのがあって、それをきっかけにブームが起きたということなのですね。
どうして異人館巡りが人気なのだろうか、という長年の不思議が少し理解できたような気もします。
最近のところでは釧路や三陸に行ってみたいなという感覚と似ているのかもしれません。
風見鶏の館のすぐ下側にあは、もう一つ綺麗なグリーンの建物がありました。
こちらも同じく重要文化財に指定されている萌黄の館、小林家住宅(旧シャープ住宅)です。
小林家住宅(旧シャープ住宅 兵庫県神戸市中央区北野町) こばやしけじゅうたく
兵庫県神戸市中央区北野町三丁目77番地の2
北野町の重要伝統的建造物群保存地区内に建つ洋館。コロニアル様式になり、典型的な玄関ホール式の平面をもつ。二つの異った形のベイ・ウィンドーを設けた側面の意匠や、玄関ホールの空間の扱いなどは秀逸で、神戸に残る洋館の中でも特に優れたものの一つ。
―小林家住宅(旧シャープ住宅 兵庫県神戸市中央区北野町) 文化遺産オンラインより引用
もし次回来ることがあれば、ここには入ってみたいなという気持ちになりました。
扉の前に立つと、何となく入ってみたいという気になるお家です。
すぐその隣にもレンガ造りの門柱がありました。
ジャーデン・マセソンとありますが、「ジャーディン・マセソン」というイギリスの会社なのですね。
明治の文化遺産として、こちらに移築されたのだそうです。
プラトン装飾美術館(イタリア館)
ふむふむと興味深く歴史を感じることのできる場所です。
僕はこのままフラフラと心のままに異人館街を見て歩いても構わないのだけれど、スマホにメッセージが入り、そのまま放っておくわけにもいきません。
一応奥さんと子どもが向かったというプラトン装飾美術館へ行きます。
「石畳の小径」という名前がぴったりな細い道を東へ進みます。
中には入れませんが、サッスーン邸という結婚式場がありました。
なるほど、小さな洋館とブライダルというのは、相性がよいのかもしれませんね。
倉敷のアイビースクエアもそうでしたが、昔の洋館には、何となくそういう憧れ的な印象が強いようで、こうやって利用されているのですね。
サッスーン邸の角から不動坂を上って行くと、プラトン装飾美術館(イタリア館)がありました。
すでに随分前に子どもと奥さんは中に入ってしまっているので、今僕が中に入ると、また入れ違いになるかも、と思い外にて待つことにしました。
見ていたら、若い方が結構多く、10代、20代の方が次々と入っていきました。
確かに、この坂をすいすいと上って来られるのは、やはり若さですね。
画像右手にはカフェも併設されているようで、賑やかな声が聴こえてきました。
10分くらいすると、奥さんが出て来まして、「面白かったよ、入ってくれば」というので、中の写真を見せてもらいました。
入館料は700円で、JAFなどの割引はなかったそうです。
後でみたらシティループバス一日乗車券 大人680円小児340円の提示で100円割引があるのだそうです。
ミレーやフジタの絵があってよかったよ、という奥さんでしたが、子どもは「行こう、次」という感じ。
結局僕も写真を見ていたら、何となくもういいかな、という気になってきました。
先ほど見たトリックアートの残像というか、少しきらびやかな装飾を見るのに疲れたというか、脳が追い付いてなかったかもしれません。
美術品や映像を見すぎると、そういうことがありますよね。
- プラトン装飾美術館(イタリア館)
- 住所 〒650-0002 神戸市中央区北野町1-6-15
- 電話 078-271-3346
- 営業時間 10:00~17:00
- 入館料 700円
- 定休日 火曜日、12/30~1/2
オランダ坂を上って
意味ありげな見出しにしてしまいましたが、再び「石畳の小径」に戻り、中ほどにあった「オランダ坂」を上ります。
奥さんと子どもは「ええ!」という感じですが、せっかくだから行ってみようと上ります。
オランダ坂、それを言ってみたり、書いて見たりしたかっただけでは、という気もしますが、しばらくすると大きな洋館が見えました。
「ウィーンオーストリアの家」とあります。
モーツァルトをテーマにした異人館だそうで、入る?と聞くと、2人とも坂で疲れ切ったのか「入らない」とのこと。
さらに奥に上ると「うろこの家」の入口が見えました。
ここまで来たので、ここも入ってみる?と尋ねると、子どもはもう入らない、下のお店でお土産を買う、と言い出しました。
確かに、同じような建物に次々入って見学するって、なかなか興味がないと大変ですよね。
僕はこの上の異人館を見てみたかったので、再び別行動にして、北野天満神社の広場前再集合することにしました。
うろこの家から少し東に行くと、山手八番館があり、
その向かいには「北野外国人倶楽部」という建物がありました。
ドレスなんかを着られるサービスがあるようなので、子どもは頑張ってくればよかったのに、とも思いましたが、まあそんな気持ちではなかったのでしょうね。
元来た道を戻りながら、オランダ坂の西側の道を歩いてみます。
なるほど、先ほどのウィーン・オーストリアの家が反対側に抜けられるようになっているのですね。
後から気が付きましたが、その向かい側は「デンマーク館」になっていました。
アンデルセンの展示ということなので、ここも次回は訪れてみたいところです。
少し下ると、「香りの家オランダ館(旧ヴォルフィン邸)」がありました。
女性の受付の方が、
「いかがですか?オリジナルの香水を作れますよ」
とお声をかけてくれましたが、あいにく香水は使わないので、と答えます。
「なんだ写真撮るだけか…」という感じになってしまいましたが、オランダの総領事が住んでいた邸宅だそうです。
中に入ったら、建物の中は見られるけれど、全体の佇まいのようなものがわからないので、外から見ても素敵だとわかるといいなあと思いました。
まあ、もちろん建物の佇まいに需要があるのかどうかは不明ですが…。
再び石畳の小径へ下りて行くと、「ハンター迎賓館」という結婚式場がありました。
神戸異人館 洋館長屋(仏蘭西館)
再び奥さんと子どもと合流し、子どもの希望するお土産屋さんへ入りました。
雑貨屋さんみたいなところでしたが、あまり気が乗らなかったみたいで、すぐに出てきました。
ソフトクリームを食べましたが、暖かい日とは言え12月。さすがに食べ終わる頃には寒くなりました。
もう一か所くらいは皆で入ろう、と向かったのは北野通りです。
シャーロック・ホームズの格好をした方が数人いたので、どこに向かうのだろう、と思っていたらこちらの館でした。
こちらは興味がないということもないのだけれど、一昨日からUSJにて英国漬けになっているため、もういいかな、という感じ。
こちらもホームズのケープを着るサービスがあるようななので、もし次回来ることがあれば立ち寄ってみたいところです。
そして訪れたのはもともと入ってみたいね、と言っていた「洋館長屋」。
シャガールの絵がある、とガイドブックにあったので、それを見てみたいね、と三人で入ってみました。
洋館長屋(仏蘭西館)
洋館長屋(仏蘭西館) | 神戸北野異人館街公式サイト ~神戸の異国情緒を異人館から~より引用
下見板張りでオイルペンキ塗りの木造の二階建で、正面の玄関から左右対象に軒を連ねる珍しい異人館で、かつては外国人向けのフラットでした。現在の邸内はフランス美術品、豪華な調度品を中心に、アール・ヌーボーのガラス工芸家エミール・ガレらの作品やパリ期の藤田嗣治氏らの絵画等も展示しています。貴重な初期のルイ・ヴィトンのトランクは、はるか遠い外国からの海を渡って日本人にやってきた人々の船旅を思い起こさせるでしょう。
こちらは入場料大人550円、小人100円でした。JAFの割引で大人のみ50円引きだったので、3人で合計1100円でした。
受付の方に一応「写真や動画を撮っても良いですか?」と尋ねると「大丈夫です」とのことでした。
異人館は美術館ではないので、写真などを自由に撮れるところはよかったです。
明治41年に建てられた様式アパートで、「旧ボシー邸」というのだそうです。
中を改装し、アールヌーボーの美術品などを展示しているのだそう。
1階からはいると、それほど広い部屋ではないのですが、所狭しと調度品や絵画が飾ってあります。
ルネ・ラリックのガラスの器に、
藤田嗣治の絵画、母子像。
エミール・ガレのランプなどが展示されていました。
奥の部屋には「花弁状ソファ」がありました。
奥さんは楽しそうに見学していましたが、ここではっと気が付いたのは、僕はあんまりこうした調度品や家具には興味がないようです。
まあ、あんまりこうした十字の格子窓なんかは見かけることはないから、そこから降り注ぐ優しい光なんかは素敵だと思います。
さらに二階に進むと、ルイヴィトンのスーツケース。
自動車会社の元会長もこんな中に隠れて逃げていったのでしょうね。
せめてヴィトンの大きなスーツケースに隠れて行けば、金持ちなのに姑息という印象を少しは隠せたかもしれません。
まあ、お金を持っていれば、合法、非合法に関係なく、何でもできるのでは?という薄々感じていた疑念が、広く庶民に知れ渡ったのは間違いがないところ。
その他にはベッドルームや、
不思議な外国人の座る、リビングルームに、
書斎のようなエリアが続いていました。
次のお部屋には、再び花瓶などの調度品がありました。
綺麗な装飾で、一つ一つは素敵なものだと思うけれど、次々に出てくると、またか、という気にもなってしまいます。
最後は子ども部屋です。
シャガールの絵は最後の階段にありました。
小さな絵画ですが、素敵な感じではありました。
僕はゆっくり写真や動画を撮りながら見学して30分くらいいたけれど、奥さんと子どもは10分くらいで出たそうです。
確かに、その気持ちもわからないことはないです。
- 洋館長屋(仏蘭西館)旧ボシー邸
- 住所 〒650-0002 神戸市中央区北野町2丁目3-18
- 電話 078-221-2177
- 営業時間
- 9:30~17:00(冬期10月1日 ~ 3月31日)
- 9:30~18:00(夏期4月1日 ~ 9月30日)
- 年中無休
洋館長屋を出た後は、その隣のベンの家、ラインの館を見ました。
ラインの館は無料で入れるところで、1階は休憩所と観光案内所のようになっていました。
さすがに、この辺りで三人とも疲れてきたのと、お腹が空いて来たので、異人館ももういいかなという感じになり、そこで昼食の相談をします。
ビュッフェが続いていたので、何か違うものが良いね、 ということで、この後中華街のある南京町へ向かいました。
異人館ってどんな感じだろうかと思っていましたが、その一端が見られてよかたったです。
伝統的な建造物を見たり、それぞれの洋館にテーマがあって、その国の美術品や調度品などが観られる、という感じでした。
またすぐに行ってみようという気にはなりませんが、また時間をおいてきた時には、また今回のことを懐かしく思えるだろうな、という気がしました。
南京町の食事とHANAZONO CAFE、そして高松へ帰宅
何となく南京町に向かって歩き出したら、三ノ宮駅周辺は多くの人で混みあっていました。
ところどころにアニメ関連のグッズショップの看板が目についたのか、子どもが秋口から面白いと読んでいる「鬼滅の刃」のグッズが欲しいと言い出しました。
ムムム、確かに…、僕も経験があるけれど、ちょっとした都会に来ることの楽しみの一つはそういうところですよね。
「アニメイト」があるというので、そこへ立ち寄ると、レジはすごい行列だったそうです。
アニメやコミック、とても人気があるのですね。。
その後南京町に到着しましたが、こちらもすごい人波で、慌てて近くにあったお店に入ります。
子どもが「チーズドッグがある」と見つけた荟華源(フィーファーヨン)というお店でした。
僕は「海鮮汁そば」を注文したつもりでしたが、「海鮮やきそば」がやってきました。特に何でもよかったのでもういいやと美味しくいただきました。子どもはチャーハン、奥さんは五目汁そばを食べていました。(食べてしまって写真がありません)
土日は人が多いけれど、どこのお店でも美味しく食べられるので良いですね。
もう人が多くなってきたので、このまま高松へ帰ってもよかったのですが、奥さんはトアロード近くの雑貨屋さんに行ってみたいというので、行ってみます。
ガイドブックに出ていたロクガツビルというところだそうです。
確かに何となく雰囲気のある街の一角で、お洒落な雑貨屋や洋服がありました。
奥さんは熱心に見ていましたが、今度は僕と子どもが二人で時間を持て余してしまいます。
そして旅の最後に、カフェに立ち寄りました。
看板を見たらいちごがたくさんのっているパフェがあったので、これならば3人の希望に叶うという感じ。
ムムム、結構若い方に人気のあるカフェだったようで、子ども連れではやや場違いだったか、という気もしましたが、よく考えると、子どもも随分大きくなってきたので、場違いなのは僕や奥さんだったようです。
まあ、でもいちごがたっぷりのパフェは美味しかったようです。
美味しいと言いながら食べていたので、よかったです。
ずっと歩いて行ったので、最後にゆっくり休憩出来てよかったです。
心残りとしては生田神社にあるという源平古戦場を見られなかったことです。
いつも行こうと思いながら行けずにそのままになっているので、また次回の訪問する際には、一番に行こうと思います。
車に戻り、高松へ向けて帰ります。
どこから高速に乗るか考えた結果、生田川インターから乗ってみることにします。
三ノ宮の方から行くと、右折が必要だけれど、何となくマップで表示されていたのがわかりやすかったので、ここから阪神高速に乗りました。
高速に乗れば、そのまま明石、淡路島、四国方面に向かうだけです。
津田、志度を過ぎ、三木に差し掛かると前方が開け、讃岐平野が日没後の太陽に少し照らされています。
高松に帰ってくると、何だかほっとしますね。
まっすぐで広いわりに車が少ない走り慣れた道。
少し驚いたのは、高速に乗ってほぼ神戸からほぼ2時間で高松に到着したことです。
もう少しかかる印象がありましたが、高松道が4車線になったのでスムーズになったのでしょうね。
どうぞお出かけの際には、安全運転で行ってください。
長くなりましたが、年末の大阪USJ、神戸の異人館の旅の記事は以上で終わりです。
次回は年明けに初詣に行った八栗さんのことや、公開されていた天狗の絵図のことなんかを書く予定です。
またよろしければ、ご覧ください。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただきありがとうございます。