今回は徳島県の 蒲生田岬に行ったことついて書いておきます。
あれは確か一昨年の夏、四国最北端の竹居観音岬に行って、その記事を書いた時だったと思います。
西は佐田岬(当時僕はまだ「さた」と読むのだと思っている)、南は足摺岬だけれど、東はよく知らないなあ、と調べた記憶があります。
四国の最東端は徳島県阿南市にある「蒲生田岬」。
佐田岬は船から見たし、そして足摺にも行ったので、やはりここも一度は見ておかなければ、と思い行って見てきました。
僕にとっては、結構険しい道でしたが、その行き方を前半に、蒲生田岬灯台を見たことなんかを後半に書いています。
もし四国最東端の蒲生田岬や蒲生田岬灯台、そこからの眺望なんかに、もしご興味がおありでしたら、どうぞお読みください。
この記事の文字数は全体で約7506字です。
目次
蒲生田岬の場所と行き方
でははじめに蒲生田岬の場所です。
その前に「蒲生田岬」の読み方ですが、僕は最初「かもうだみさき」と読んでいましたが、徳島県や阿南市のHPでは「かもだみさき」と紹介されています。
でもいろいろ見ていると「がもうだ」とか「かもうだ」とも呼ばれることがあるようだから、皆さんの読みやすい用に読んでください。
僕は記事を書く時に変換しやすい「かもうだ」と読みながら書いているので、何だか自然と「かもうだみさき」と覚えてしまいました。
まあ、実生活では他の誰ともこの岬の呼称を使うことはないので、特に不便なところはありません。
淡路島の南側、和歌山の対岸に蒲生田岬はあります。
下の地図だけ佐田岬や足摺岬に比べると、高松からも近くてすぐに行けるのでは、と思いますよね。
高松市から行くと、実際にはこんな感じのルートが表示されましたので、それに従って車を走らせます。
僕の車のナビも最初、このようなルートを示していて、概ね間違いはなかったのですが、おそらく2時間20分~30分では着かないだろうと思います。
いや、もしかしたら何度もこのルートを通っていて、通うようなことになれば、慣れて早く行けるだろうけれど、そうでなければ恐らく約3時間です。
高松からは高松道、徳島道を通って徳島市内までは1時間かからずに行けるようになっていますが、そこからが長かったです。
距離としてはそうでもないのですが、車で混みあっているのと、信号待ちが結構長く続きます。
その道に車が集中するというか、スムーズに行けるような感じはしませんでした。
恐らく一つずつ市街地を経由しているのと、川を渡る橋で詰まるのでしょうね。
国道55号線沿いにある道の駅公方の郷なかがわで一度トイレ休憩。
あまりこちらの方に来たことがないので、一つ一つの観光地が新鮮です。
義経にまつわる史跡もあるのですね。
何か食べたい、と言っていましたがこの日はお休みでした。
結局この先の道沿いにも気軽に入れるような飲食店は見つからず、コンビニで購入した軽食になってしまいました。
行き当たりばったりになってしまったので、もう少し探してから行くべきでした。
そして僕がもう一つ忘れていたのが、岬に着くまでの細道です。
いや、行こうと思っている方にとっては、実際には忘れているくらいの方がきっとよいかと思います。
一度以前に行って見たいなあと思ったことがあって、調べたら細い道を30分くらい走る、とあったので無理そうだと諦めたことをこちらの県道に入って思い出しました。
ええと、途中までは路線バスが走るような道路なのですが、椿川の橋を渡ったあたりから、細道となっていました。
もう引き返したいくらいの気持ちになりますが、引き返すこともできないので進みます。
もしかして、そのカーブから対向車が来たらうまくかわせるだろうか、というが主な不安です。
しかし、20分から30分の間、この日の対向車は2台でした。
ほとんどが地元の方の車で慣れているから、あまり困るようなことはありませんでした。
「蒲生田岬温泉もう少し」なんていう小さな看板が立ててあるので、「もう少しだ…」と思いながら行きました。
おそらく横には綺麗な湾があるのだろうけれど、全く見る余裕はありません。
見通しのきかないカーブを9か所か10か所ほど超えました。
僕はゆっくり走りたいので、少し幅の広い道に出たところで後続のトラックに道を譲ること1回、何とか蒲生田岬の近くまで到着です。
ちょうど畑の真ん中の細道を走るような感じになります。
やや風の強い日で、道端にたくさんの枯れ枝が落ちて溜まっていました。
通行止めのためわざと置いてあるのかな、というほどでしたが、自然と溜まっていたようで、降りて脇へ寄せました。
そして、到着しました蒲生田岬の駐車場です。
蒲生田岬の駐車場
いやあ、遠かったです。
そして、もっとたくさんの観光の方がいるような印象でしたが、この日の先客はバイクの男性お一人でした。
振り返ってこうした写真を見ると、何だそんなに道は狭くないじゃないか、という気もしますが、実際にはそんなことはなく、狭かったです。
そして駐車場の他にはトイレがあるだけです。
奥さんと子どもは「ええ?ここ?」なんて言っています。
長時間車に揺られ、降りたら寒かったらしく、すぐに車に戻ってしまいました。
- 蒲生田岬駐車場
- 阿南市観光サイトhttp://www.anan-kankou.jp/docs/2011051600017/
- 所在地:〒779-1750 徳島県阿南市椿町字蒲生田1
- 駐車場:無料 約20台
- トイレ:有
しかし、僕はせっかく来たので蒲生田岬灯台は見てみたいところです。
「室戸阿南海岸国定公園 蒲生田岬駐車場」とあります。
なるほど、ここから南へ室戸へ続く海岸線が国定公園になっているのですね。
「かもだ岬四国最東端」と記した石碑があります。
確かに、海の向こうにはうっすらと紀伊半島が見えるだけです。
まだ新しい感じの句碑もありました。
恋の日の
白き灯台
黒揚羽
せいぎ
なかなか良い句ですね。白き灯台、見てみたいです。
さらに奥には大きな石のモニュメントがあります。
2011年に作られた「波の詩」というモニュメントだそうです。
背景に海が広がっていて、波の詩というのにぴったりです。
ハートの形をしているらしいから、入ってみたら、と車まで声をかけにいきましたが、寒いから行かないとのこと。
どこから見ても、なかなか良い景色なのですが、あいにく風に煽られた波飛沫もかかるので、まあ、仕方がないところです。
蒲生田岬灯台への遊歩道
この先に灯台があるけれど、と言っても「行かない」とのことでしたので、僕だけ行くことにします。
防潮のための扉がありましたが、少し押すと向こうへ扉が動きます。
綺麗に整備された遊歩道があったので、この遊歩道の向こうには、誰か一人くらいいるのでは、と思っていましたが、この日僕が訪れたタイミングでは、誰もいませんでした。
つまりこの岬の先灯台まで、誰一人としておらず、まあ良い方向に考えれば絶景の貸し切り、そうでない考え方をすると孤独で心細いところです。
しかし、まあまあ時間をかけてここまで来たのだし、灯台からどんな景色が見えるのかも確かめたいので、歩いて行ってみます。
最初は横に壁があるので、穏やかなのですが、その端に行くと海風がビューっと吹いてきました。
しかし、海の方を見ると、なかなか綺麗な景色が広がっています。
まずは徳島県椿湾の方面、奥に見えるのは「舞子島」というのだそうです。
更に奥にはぼんやりと陸地が見えています。
阿南市沖合の小さな島影も見えました。
海の向こうには、鳴門や淡路の方が見えているのだろうと思います。
少し東側に目を向けると、伊島という島が見えます。
もしかしたら勘違いかもしれませんが、2017年和歌山から徳島へ南海フェリーで渡った際、南の方に薄っすらと島と半島が見えまして、もしかしたらそれが伊島と蒲生田岬だったのかな、と思い出しました。
まあ、ぼんやり過ぎて、自分でも何が何だかわかりませんが、見えたような気がしました。
この海岸からだとくっきりとその島の姿がわかりました。
僕はもうしばらくこの波の音を聴きながら、この景色を眺めていてもよいのだけれど、灯台に向かわなくてはなりません。
奥さんと子どもはこの灯台まで続く階段の写真を見て「行かなくてよかった」なんて言っていました。
僕はもちろん登ります。
風が強いので、ゆっくりと一歩ずつ。
別に登って行くだけならば、途中で止まって振り返る必要なんかはないけれど、僕は立ち止まって写真を撮ります。
ムムム、こうしてレンズを通してみると「急」な感じもしますが、そんなこともありません。
手摺もあるので、風に煽られないようにしっかりつかまっていけば、大丈夫です。
階段の向こうには、灯台の白い建物が見えてきました。
あと少し。
蒲生田岬灯台
駐車場から約10分で蒲生田岬灯台へ到着です。
それほど大きな灯台ではないけれど、四角い窓のしっかりとした灯台です。
蒲生田岬灯台の説明版がありました。
この蒲生田岬灯台と和歌山の紀伊日御碕灯台を結ぶ線が、瀬戸内海の入り口となっているのだそうです。
徳島県と高知県にまたがる室戸阿南海岸国定公園に属する蒲生田岬。そのシンボルは、大正13年(1924年)に建てられた「蒲生田岬灯台」です。
四国最東端の岬 蒲生田岬から太平洋を望む – 徳島県観光情報サイト阿波ナビより引用
こちらの灯台は海抜約50mの高さに位置し、紀伊水道の大海原や周囲に浮かぶ離島など、壮大な景色を眺めることができます。
晴天時には遠く大鳴門橋や淡路島、和歌山県までも望め、どこまでも水平線が広がります。
蒲生田岬灯台の周りはこんな感じになっていました。
少し段差があって、その上にはベンチが置かれています。
背後には、今通って来た遊歩道が見えました。
やはり海抜50mでも、上ってくると景色が変わるものですね。
やや遠くまで見渡せるようになっていました。
奥さんから来る時に「なんで灯台ばかりに行きたがるの?」と尋ねられていましたが、きっとそれは周りが見渡せて、他には海しかない、というところに惹かれているのだと思います。
灯台の周りには、何があるというわけではなくて、ただ広がる海があるだけ。
でも、それが見てみたいのだと思います。
伊島の島の向こうが和歌山県日御碕(日の岬)になるということなので、ちょうどここから北(画像左側)が瀬戸内海になるのですね。
眼下には岩礁に波が打ち寄せています。
ブルーというよりは、グリーンに近い青で、きっと岩石の成分なんかも複雑なのだろうなあと思います。
もうこの記事を書ている時には、僕は暖かな部屋の中にいるのだから、その当時を思い出しながら書くのですが、海の方から風が強く吹いていて、
「ゴオオ、ビュウ」
という音がしています。
岩の間には、海の上を飛沫が舞うように流れています。
こういう現象には、何か名前があるのでしょうね。
僕もカメラを構えてみたけれど、姿勢を低くして何かに掴まっていないと、バランスを崩してしまうかも、というほどの風でした。
徐々に寒さも感じてきたので、これはここにはそう長くはいられないかも、と思い撮影を急ぎます。
春や夏、穏やかな天気の日には、きっともう少し違うのだと思いますが、冬の風の強い日には、灯台に行くものではありません…。
おそらくこの先が室戸へ続く海岸線になっているだと思いますが、そちらは見えません。
来た方向とは反対側に下りていく遊歩道の階段があったのですが、ちょっと険しそうなので、行きませんでした。(この時にはさらに先に道があるのではと思えた)
あとでわかったのですが、下の広場に続いているのだと思います。
ずっとこの岩場の波を見ていてもよいのですが、ちょうどこの写真を撮っているとメッセージが。
「まだ?早くして!」
そうだよね、誰一人いない冬の蒲生田岬灯台に行って戻って来なかったら待つ方は、心配だよね。
返事に「絶景だよ」とこの岩場の写真と海岸の画像を送ったら、「いいから早く戻れ」だって。
危ないとは少しも思わなかったけれど、寒さが身に染みて来たので、そろそろ戻ります。
最初は気のせいかな、と思ったのですが、陸地側をよく見ていると、赤い鳥居のようなものが見えました。
僕も帰ってから見間違いだったか、と思ったほどですが、やはりありました。
「岬神社」という神社がこの上にあるそうで、そのとりいなのでしょうね。
これも下からは見えなかったから、灯台まで来てみてよかったところです。
灯台にも近づいてみましたが、「手摺り老朽のため危険!立入禁止」と書いています。
ムムム、確かにこの雨風を受け続けているのだから、老朽化によって脆くなっているのかもしれません。
振れずに帰ります。
灯台からの帰り道
上る時には感じなかったけれど、帰り道になったら「こんなに急だっただろうか」と思うことはありますよね。
蒲生田岬灯台からの帰り道の階段はまさにそんな感じでした。
僕の場合には一つ安全に行く方法があるとすると、それは写真を撮らないことです。
手元の画面を見た後に、急に階段を見ると、「ううう、距離感が…」となることがあるから、降りる時には用心して降ります。
もう20年も前になるけれど、フィレンツェのドゥオモに上った際、帰りの階段がとても急で、日本の若い女性が下られずに困っていたことがありました。
僕と奥さんが先に行って、その後をついてきたら、ということで僕が先頭だったのですが、あの時もなかなか緊張しながら降りた気がします。
ついてきて、と言って転んだらかっこ悪いなあという感じ。
ここでも一人で転げ落ちたら、後々それを言われ続けてしまうので、ゆっくりゆっくり、降りました。
どうぞ行かれる方は、この階段の上りより、下りる時、しっかり手摺を掴んで注意を払って下りてください。
ああ、よかった無事に下りられました。
実はこの蒲生田岬灯台は「恋する灯台」にも認定されています。
どのあたりが「恋する」のだろうか、と訪れた当初は思っていましたが、もしかしたら少しどきどきしながら、その後に安心するというような感じが、それに当たるのかもしれませんね。
どうぞもしデートで蒲生田岬灯台に誘われたなら、風の強い灯台で、歩いて上らないといけませんが、車の中で待たずに一緒に上ってみてください。
来る時には気が付かなかったのですが、海の反対側には「広場」があるようです。
奥にある登り口からも灯台の遊歩道へつながっているのでしょうね。
行きの時には前に気を取られていましたが、下を見ると結構いろんなものが落ちていました。
一部歩きにくい個所もあったので、流木の枝や石などにも注意して歩いてください。
「記功碑」と記してあるのだと思いますが、文字はかすれていて読めませんでした。
何かの功績を記しているのだろうから、灯台関連の何かなのでしょうか。
「大正十四年○月」「正五位勲四等少将」などが見えました。
お不動さんなのか、石仏もありました。
道のような、階段のようなものがありましたが、先は見えません。
先ほどの岬神社に続いているのでしょうか。
少し雲の切れ間から太陽の光が差してきていました。
きっと青空広がる、穏やかな天候の時には、また雰囲気が違うのだろうと思います。
- 蒲生田岬灯台
- 所在地:徳島県阿南市椿町字蒲生田
- 灯台の高さ:11.5m
- 初点灯:大正13年 ※昭和47年に改築
駐車場の車に戻り、「ちょっとでも灯台見てみたら」と声をかけましたが、見ない、とのこと…。
そのまま元来た道を戻ります。
駐車場には1台のバイク、その後4台くらいのバイクのグループが来ていました。
バイクのツーリングなんかをする際には目的地にしやすいのでしょうね。
その後県道ですれ違った車は3台でした。
面白い喫茶店があるよ、とか徳島ラーメンでも食べて帰る?なんて聞いてみましたが、二人とも疲れていたのか、早く家に帰りたいとのこと。
帰りに「灯台も見ないのに、何でついて来てくれたの」と尋ねると、岬に一人で行くのは寂しいだろうから、と言っていました。
振り返って考えてみると、確かにそうだったかもしれません。
不思議なことに同じ道でも帰りはスムーズで2時間半くらいで帰宅できました。
何かタイミングみたいなものがあるのでしょうね。
この翌年には鳴門の四方見展望台の方へも行っていますので、よろしければあわせてご覧ください。
また機会があれば季節の良い時に、また立ち寄ってみたいなと思います。
それでは、今日はこの辺で。
いつもお読みいただきありがとうございます。